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不沈戦艦武蔵 沈み行く戦友  作者: 賀来麻奥
フィリピン日米戦
78/102

激突!!史上最大の海戦=襲撃編=

 ミシシッピの砲弾は武蔵の第1主砲に命中し、武蔵の砲弾は第1主砲前の甲板に落下した。

 武蔵の主砲の前部装甲は650ミリもあり、これを貫くならかなり近接しないと不可能である。数千メートルの世界であろう。いや斜角が付いているから0距離でないと不可能かもしれない。

 ミシシッピの甲板に落ちた砲弾は甲板を突き破ったが第2甲板に阻まれそこで大爆発を引き起こした。爆風が近くの内火艇を吹き飛ばし、4mの大穴が出来、メラメラと炎上し始めた。

 一方アラバマは零線を12機撃墜し20ミリ機銃を零戦部隊は使い果たし北の空に戻っていった。


 ミシシッピは現在第1主砲とその全部甲板に直撃弾を受けて損傷している。一方アラバマは至近弾と先ほどの零戦の機銃弾200発である。魚雷艇や、潜水艦なら沈没していてもおかしくない。

「いまだジャップの戦闘機が引き返した!陸軍の爆撃機を呼べ!」

 キンケイドはそう言った。


 その時マニラ島航空隊では熟練航空隊は全て飛び、ほかは未熟者や100時間以下しか飛んでいないものなので援助は不可能となった。


二二二〇 小沢機動部隊より東南側

 「西村長官!敵機です。いよいよ来ました」

「いよいよ来たか。おそらく武蔵の方に向かっているのだろう。一機たりとも上空を通させるな」

「電探が潜水艦を捉えました!副砲で攻撃しますか」

「ああ、副砲は準備しだい砲撃開始、並びに全艦対空戦闘開始!」


同時刻 マッカーサー輸送船団

 マッカーサーは日本軍の夜襲攻撃で怒りを覚えていた。先ほどタフィー隊からF4Fを200機出動させある程度鎮圧させたところである。

 その時だった腹の奥に響くような音ともに海面がざわついた。

 「何事だ!!」マッカーサーはいきなり鳴り響いた音に度肝を抜かれた。

「ジャップの雷撃です!現在駆逐艦が捜索しています」

「タフィー隊からもF4Fを出動し探し出すんだ!」

「被害は?輸送船団は無事か」

 伊406、伊407の2隻の潜水艦はマッカーサー輸送船団を発見すると、距離2万まで距離を取り魚雷を放つなり逃亡した。そのため潜水艦は逃げ出すことに成功した。

 これによりマッカーサー輸送船団は高速魚雷艇1隻、輸送船2隻、兵員上陸用LST1隻、が沈没した。水兵・陸軍兵員の合計で1000名が死傷した。

「待てよ!我々を攻撃したのならばキンケイド中将が危ない!」マッカーサーは1人その心配をした。


二二三〇

 キンケイド中将率いる2隻の戦艦ミシシッピとアラバマの艦長は武蔵を見てまさしく不沈艦の称号にふさわしいと感じた。

 普通の戦艦であればアイオワ戦艦のようにもう沈んでいる。それがまだ浮かんで主砲を撃ってきているのである。

「航空隊はまだ来ないのか?」キンケイドは叫んだ。

「いえ、出撃しておりもう到着している時間帯だそうです」

「それではどうして来ないんだ」その時武蔵の砲弾がアラバマの艦橋を破壊した。

 ミシシッピに乗船していたキンケイドは帽子を部屋の床に投げ捨て踏みつぶしそうになった。

「・・・ジャップめ、覚えておれ・・・撤退だ!」キンケイドは喚くように言った。それと同時に自分はオルデンドルフ中将のような扱いにされることを恐れた。が、ここで戦艦を失ってはいかない。航空支援を得てからの方が良い。

 いや、戦艦1隻程度なら航空機で十分だ。

「マッカーサー大将に報告せよ・・・輸送船団を東に退避させよと」間もなく速力25ノットで方向を逆向きに変え武蔵から去ろうとした。

「逃がすな!敵を仕留めろ」武蔵は最大速度で追うが敵の攻撃で距離は開く。

 武蔵は追い打ちで計30発の主砲弾を撃ったが至近弾さえも得れなかった。


20分前:西村艦隊

「なんとしても食い止めろ!武蔵を逃すのだ」西村中将は武蔵に対する敵攻撃隊の矛先を自分たちに向けた。栗田は戦艦長門を旗艦とした半数の巡洋艦と駆逐艦で小沢艦隊を守っている。

「今度は巡洋艦部隊が狙われています」

 この時西村艦隊を襲っていたのはB-25とF4U混合の総勢100機にも及ぶ爆撃隊である。

  その時巡洋艦に500キロ爆弾が命中し紅蓮の炎が巻き上がった。

「足柄被爆命中!落伍します!」足柄といえばグアム沖でも被弾した。運がないように見えるが沈まないだけいい。

「そうか・・・」F4Uが高速で舞う。爆弾を装備しているため最大速度より劣りに劣るが、それでも水上を這うしかない水上艦よりはるかに早いのは言うまでもない。

「西村中将!本艦大和に向かい敵機襲来!」爆弾が降り注いだ。

煙突に爆弾が命中した。しかし大和の煙突は蜂の巣装甲と呼ばれる開口部に穴のあいたネット状の物を貼り付けているため、弾力により爆弾や砲弾は跳ね返され煙は隙間から通るという良いとこどりの代物であった。

 もちろんこの爆弾もネット状の装甲に跳ね返されて空中で爆発した。だが、確かに煙突に被害はなく良いとこどりだが周辺からすればそうではない。艦橋の後方部などには破片がばら撒かれることとなった。

 さらに副砲砲身部に命中。砲身は曲がった様子はないが、砲塔は大和の弱点とされるほど装甲が薄い。爆発音と共に紅蓮の炎がわき上がり砲塔の前面装甲が消し飛ばされたかと思われたが、無事にくっいていた。

 「右方向に艦爆7、さらに15度左に陸上爆撃機3機!距離6500メートル」

「取舵35度」

「主砲3式弾装填完了」

「主砲3式弾、撃てぇー」大和は船体を動かす前に牙を敵機に向けた。有眼信管が敵機を捉えた。艦爆は素早く横転を行った。それでも2機がモロに被弾し1機は黒煙を吐き爆弾を海中に投下したりしながら空にとどまることができたが、1機は火だるまとなり大和の近くに墜落した。陸上爆撃機は回避できずエンジンが爆破したり機体が潰れたり、翼より火を噴いたりして堕ちていった。

「よし引き返していくぞ」この言葉通り攻撃隊は本来の目的を達するどころか1隻の撃沈艦も見ることがなかった。


 西村艦隊に武蔵と交戦していた3隻の戦艦の内1隻が沈没し、2隻は損傷をおい退避したという電文を受けたのは、さらにこれから30分間後のことである。現在の時刻は二二三〇。

 

 「ハルゼーの敵を打つのだ!」

「猿を空中から蹴落とし海中に叩き落とせ!」

 戦闘機、爆撃機、雷撃機がスプルーアンス機動部隊の甲板を蹴って西村艦隊がいると思われる場所へ向かっていった。

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