表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不沈戦艦武蔵 沈み行く戦友  作者: 賀来麻奥
フィリピン日米戦
76/102

激突!!史上最大の海戦=咆吼編=

 お気に入り三件か二件かしてくれた方、ありがとうございます。

 二〇〇〇  

 

 零戦43型が飛びかかっていった鼻先には20機のP-38がいた。P-38は双発であり、双胴の奇妙なデザインの戦闘機である。最大速度は600キロをゆうに超え強力な機銃を備えている。そして航続距離も長く、長距離援護に持ってこいだ。

 零戦43型は一撃離脱戦法を恐れ高度を上げる。P-38も負けじと上昇する。


 しかし零戦の方が上昇力は長けている。みるみるうちに高度をあげ5000m地点でP-38を攻撃するに至って優位な位置を占め、そのまま照準器に入ると20ミリ機銃を打ちかけた。


 残ったP-38は低空に追い込まれて撃墜された。紫電はそれと同時に来た20機のA-20と2機のC-47を撃墜しにかかった。C-47は優れた輸送機である。今回は偵察と誘導を目的としている。

 一応こ激力を持たせようとしたらしく12,7ミリ機銃を3丁装備しているが旋回機銃が当たる確率は固定機銃の7分の1だ。

 A-20は紫電に攻撃を仕掛けられるとバラバラに爆弾を投下した。P-38も報われないものである。防御機銃として12,7ミリを12丁装備しているが、数発被弾すると操縦に難が出てくる。もっとも紫電は距離200いないで20ミリ機銃を放つ、それを受けて平然と飛んでいたら空飛ぶ戦車かなにかだろう。

 

 10分もしないでこの海域での第1回空中戦は終了した。

 


 日本機の損失は戦闘機部隊だけなら3機である。

 

 一方その雲の下にいる武蔵はさすがに被害を見せてきた。16インチ砲弾を3発受け後部甲板で火災が発生、3脚マストの一部が歪んで甲板上は黒く焼けただれて、一部血糊がついていた。



 武蔵は懇親の一撃を浴びせようと必死に砲撃を行っている。アイオワ戦艦もマストが完全に形を失い艦首が削れていて、対空装備が左舷側は8割を破壊していた。


 

 二〇三〇

 

 第2時攻撃隊が到着した。銀河爆撃機と零戦の30機程の部隊である。アイオワ戦艦が対空砲火が半減していて、駆逐艦も1隻沈んだため、これはかなりの効き目があると思われたが、相変わらずの誤認爆撃が多く、アラバマに至近弾1のみの戦果だった。

 数分すると攻撃隊は帰投した。


 

 その時だった耳をつんざくような風を切り裂く音が上空より飛来してきた。見るとF4Uコルセアが10機ほど、かなりの高度から急降下爆撃を起こしてきた。250キロ爆弾が翼下から切り離され武蔵に迫った。


 猪口中将が回避命令を出したのは遅すぎた。2発の爆弾が命中し1発の至近弾で再び浸水が起こった。また第2主砲の砲身に直撃し天蓋にも命中した。第2主砲は無事だったが浸水はおびただしいものだった。2000トンもの海水が浸水してきた。


 しかしさすが不沈艦である。自動注排水システムで数分で復元してしまった。ただ速力は当然落ち、最大速力は23ノットに減速した。

  

 武蔵はいかりの3式弾を打ち上げた。空を見ると雲が低く垂れていた。3式弾が雲の中に入ると明々と光った。それはまるで火山の噴火にも見受けられた。


 撃墜4機を確認した。


 

 追い討ちをかけるかの如くアイオワの砲弾が艦橋中部に直撃した。一部破損しガラスが爆風で割れた。艦橋内のものは立っていられなかった。


 

 「砲術長!」倒れていた猪口中将が軽く怒鳴るように重苦しいような声を出した。

「はい!」

「あの船を沈めろ!」

「了解!」

「他の物は被害報告急げ!衛生兵を!」


 砲術長はより正確に打ち出すため敵の距離と速力を再び観測させた。

「距離25800メートル 速力12ノット!方角右に+一度」


「全砲門、撃ち方用意!」砲術長、主砲砲術師をはじめとした全員が命中を祈った。


「撃ち方始め!」鉄板を引き裂くような火薬の爆発音と共に砲弾が9発砲口から噴き出した。



 「敵艦も発砲!!」


 

 1分して再び砲撃したとき、武蔵は発砲以上に大きく揺れた。三発が襲いかかってきたため艦内にいた人間まで転びそうになった。甲板上の艦橋や砲塔にいた人間は皆床に叩きつけられた。


「アイオワは?奴はどうなった」二回目の衝撃により額から血を流しながら猪口中将は言った。



 ・・・静寂が艦橋内を一瞬包んだ。まるで世界が停止したかのようだ。


「敵艦に命中!敵艦は炎上中!!」艦橋内は一瞬にして喜びに満ちあふれた。


 アイオワは四発の砲弾を受けた。その船体では保てなかった。装甲は二回り下クラスの16インチ装甲しか施されていないからだ。


 アイオワは煙突が裂けて艦橋上部を吹き飛ばし水線下に命中させられた。4000t以上の浸水が起こった。復元力が悪いアイオワは10°も傾いた。


 「ダメージコントロール早く復元を!!」しかしこの声も虚しくさらに3000トンの浸水によりアイオワは20度傾き沈んでいった。総員退鑑はその10分前に出された。 


 「敵艦はまだ2隻いるのだ!気を緩めるな」猪口中将の言葉で再び空気が変わった。


 二一三〇



 「ジャップの戦艦は現在炎上中・・・繰り返すジャップの戦艦は現在炎上中!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ