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不沈戦艦武蔵 沈み行く戦友  作者: 賀来麻奥
フィリピン日米戦
75/102

激突!!史上最大の海戦=飛翔編=


 一八三〇

 フィリピンのマニラ島の地下からは航空機が引き上げられていた。いままで備蓄して備蓄し尽くした航空機、燃料、弾丸、爆弾、魚雷を今こそ使う時が来た。


 紫電改24機 零戦43型12機 銀河爆撃機12機 1式陸上攻撃機20機 4式重爆撃機12機  計80機

 百を超える発動機の爆音の元着々と魚雷と爆弾の装備、並びに最終点検を繰り返して出撃した。

 機動性に若干難がある銀河爆撃機が1機戻ってきただけで済み戦果を待ち望んだ。


 一九〇〇

 上陸したアメリカ海兵隊は100名の被害を出しつつも目標範囲を占拠した。同時にその時武蔵とミシシッピ、アイオワ、アラバマの1対3の戦闘が始まっていた。最も駆逐艦が2隻いるが、これもそっちのけ扱いである。リー中将より敵戦艦迎撃を任されたキンケイドが乗船しているのは大和より60メートルほど小型であるアラバマである。


 「アイオワを狙うべきだな、やつは16inの50口径砲身だからな」前海戦の水柱などで敵の砲身クラスなどを察している猪ノ口中将は敵をアイオワに定めた。


 一方のアメリカ艦隊は目標は決まっている。周りの駆逐艦には目もくれず武蔵だけを狙った。レーダー射撃のため目測の場所だけは間違いない。砲弾が正しく飛んでいくかが問題なのである。

 

 アメリカ艦隊のアラバマが先に命中弾を出した。むしろこれで日本艦隊が出したら奇跡とでも言うべきだ。16in砲×27と18in砲×9なのでアメリカ側に軍配があがるに決めっていた。


 武蔵はその1弾をものともせず射撃を続けた。武蔵の右舷に命中したが相変わらずの410ミリの装甲は破れなかった。

 

 しかし対何インチ装甲だろうが何発も砲弾を受ければ少しずつ材質が痛み、それをとめるリベットなどが緩むのだ。


 「アイオワ戦艦速力12ノットで3時の方向へ直進して航行中」再度武蔵は弾道計算と敵の進路方向と速力に基づいて、適切な角度と方向を主砲に伝達する。


 1、2、3番主砲が本海戦で7回目の射撃を行った。未だ命中弾は出ていないが、この砲弾で敵艦を挟叉した。

 その報告を聞いて猪ノ口中将は砲術長に

「見事である砲術長」と言うと

「恐れ入ります長官」と返してきた。


「よし全門発射に切り替えろ」




 キンケイドは3対1で戦闘をしているのにもかかわらず自軍が一向に的にダメージを与えることができてないことに焦りを感じつつあった。


 海はいつもより時化ていて若干揺れが大きかった。反面大和はその太い全幅が幸を期して安定した射撃を行えた。


 キンケイドは艦橋下の部屋にいた。アメリカ海軍と日本海軍では違いがある。ほとんどのアメリカ海軍の艦長が艦橋下の部屋などにいるのにかかわらず、日本軍の長官は艦橋でどっしりと構えているのだ。



 戦艦アイオワ艦長は向こうが1発当てることにはこちらはレーダーと3倍の砲門ということで5発程度当てれると計算した。確かにそれに近いような数値であり、見方には命中していない。


 しかしタフな戦艦である。45口径どころか50口径の16インチ砲弾さえ跳ね返しているのだ。いい加減沈んで欲しいところである。


 

 

 一九三〇


 日本軍機動部隊は武蔵が戦艦3隻と交戦中という電文を受けていた。場所はレイテ島というよりフィリピンに近かった。敵がわざわざそこで迎撃したのは意味があるのだろう。

 わざわざそこで迎撃しなくてもレイテ付近で待機して丁字型で迎撃したほうが効果的である。


 つまり輸送船団が現在フィリピン南沖で活動している可能性が極めて高い。


 日本軍は航空隊の練度の低下に伴う夜間の攻撃を停止していた。




 一九四〇


 武蔵がアイオワに最初の命中弾を出して5分がたった。命中二発で後部艦橋をスクラップとし、そこにいた副艦長らを一瞬で蒸発させてしまった。もう一発は主砲に命中したが、どちらかというとかすったという方が正しくそのまま向こうの海面に落下し多きな水柱を立てた。


 一方の武蔵は敵艦と2万3000mほどの距離を保っていたが既に8発の命中弾を受け、7番高角砲に加え、周辺の機銃座が破壊され艦尾の水上機収容クレーンとカタパルトを破壊された。しかしこれによって直接沈没の原因にはならなかった。


 爆煙と硝煙の匂いが立ち込め砲弾が付近に着弾するたび海面の水は蒸発する。甲板い人がいたら火傷をおこしそうなほどの熱風が海面に立ち込めていた。



「遠弾・遠弾・・・命中です!」武蔵も何発かの命中弾を繰り出していた。アイオワは実際対45口径の40センチ装甲しか貼られていないためその2クラス上の弾丸に襲われてはひとたまりもないのだが、運がいいのか致命的な損傷を与えられない。


「火災を起こさせてみよう。3式弾に換装をあれなら新型の信管もついている」


 

 一九五〇 

 「全砲塔が三式弾への換装が完了し、これより射撃を行います」

「うむ」猪ノ口中将がそう答えたとき、あきらかに発砲とは違う揺れを感じた。



 

「うぁ・・この揺れは?」俺は右舷側の漏水などが生じた場合はて伝えということで右舷中部にいたのだがこの揺れからして砲弾が命中したのだろう。どうやら少し前の敵砲弾の命中で普段この作業をしていた兵士がちょうどその場所にいたため、死傷し兵士が少ないらしい。簡単な説明を受けたが足でまといになりそうで仕方ない。


 揺れといっても毎回揺れているより大きいくらいの揺れである。


「左舷方向に命中!三〇〇トンの浸水です」

「逆だったな」

「そうだな」

 武蔵は一度傾いたが速度に支障はなかった。自動注排水システム作動により傾きは直された。


 航空機が接近しているという報告もその頃入ってきた。



 マニラ島では第2時攻撃部隊が出動している時だった。


「そろそろ第1次攻撃隊が戦果を出す頃だろう」



 敵航空部隊の攻撃と思われたがこれは味方であった。


 アメリカ艦隊は早くも高射砲と機銃弾の雨を浴びせた。対空砲火の精度はやはり現在もこちらのほうがいい。


 三式弾の砲撃は停止された。同士打ちでも起こしたらたまったものではない。


 銀河爆撃機が先に攻撃をしたが誤確認でただしく爆撃をしたのは5機だった。銀河爆撃機はこのうち3機が撃墜されたが、そのうちの1機の600キロ爆弾がアイオワ戦艦に命中した。三番主砲の天蓋命中した。閃光がアイオワ戦艦をおおった。爆発音が轟いた。


 アイオワ戦艦にとっては幸いなことに3番主砲の破壊のみで格納庫にまでは届かなかった。最新鋭の4式重爆撃機は1トン爆弾を積んでいたが7機撃墜され、5発の爆弾は外れてしまった。爆撃隊の戦果と同時に雷撃隊の戦果も定まった。

 1式陸上攻撃機はアラバマに雷撃を行った。しかし予知していたかのようにアラバマは回避行動を行い、またたくまに3機撃墜し右舷部隊の雷撃を避けた。

 左舷からもきたがこれも器用に回避できた。


 しかし、巻き込みを受けた駆逐艦があった。


「クソッ、なんで巻き込まれるんだ」攻撃を受けた駆逐艦の悪態をついたが、虚しく2発の魚雷を受け捻れるようにして沈んでいった。


 

 その時、別の方向から陸軍機が飛行してきた。


 アメリカ軍機のマークがついていた。


 これを発見すると零戦43型がこれに勢いよく飛びかかっていった。



 二〇〇〇

 

 「西村中将頼みましたよ」

「はい」

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