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不沈戦艦武蔵 沈み行く戦友  作者: 賀来麻奥
フィリピン日米戦
73/102

2つの海戦

マッカーサーの上陸部隊は予定より遅れて午後の5時ごろに上陸を開始した。島は赤黒く焼け尽きた土が辺りを包み、温度は高く靴を履いていなければ火傷してもおかしくないほどであった。

 島は小動物1匹残っていないんじゃないかと思うほど焼き払われ木々や草がほとんど灰や炭へと変わっていた。


 上陸しているのは第2海兵師団である。



一七二〇 スプルーアンスはサイド攻撃を仕掛けることにした。大編隊での攻撃に再度踏み切ったのである。被害は承知の上である。


 ヘルキャット40機、ドーントレス30機、アベンチャー40機の110機である。さらにはB25などが70機参加することとなっていた。レーダー誘導で時間通りに通せれば作戦は成功下も同然である。


 しかしその時レーダー室よりまたもや日本艦隊の接近を知らされた。この部隊は"黒豹"と命名され、彗星爆撃機10機が参加していた。全員ベテラン搭乗員で低空飛行できていたとの事である。


「雷撃隊なのか」あまりの低空飛行にスプルーアンスはそう思ったが爆撃隊である。あわてて発艦するヘルキャットより対空砲火が速かった。たちまち海面の水が蒸発するかのように両用砲が打ち込まれる。白い水しぶきを機銃弾が海面から数メートル跳ね上げている。彗星爆撃機が3機爆発した。破片はどれも炎を帯びており、1機の翼が近くの駆逐艦の甲板を叩いた。



 彗星爆撃機は行き成り急上昇を開始した。そしてそのまま一直線にそれぞれ降下を開始した。狙われたのは巡洋艦ペンサコーラである。ペンサコーラはロンドン海軍縮会議の影響を受けた条約がたで、大戦が始まり対空設備が増強された。


 しかしその対空装備の増強が報われることは無かった。そのまま第2主砲と艦橋の間に槍のように突き刺ささった。どうやら引き上げが間に合わなかったようである。そのまま500キロ爆弾を落して甲板やその下にあった装甲をぶち抜いて、胴体部分が穴に入り込みそのまま引火して火薬庫で大爆発を引き起こした。


 空母のタイコンデロガにも爆弾が命中した。ただし角度が悪かったため貫通せずに、飛行甲板を滑るかのように爆発し5インチ砲2基を破壊し艦載機を7機破壊したが、引火などにはつながらなかった。



 他1隻に駆逐艦の艦橋ガラス破壊、甲板1部損傷などの10機にしてはかなりの戦果を挙げた。彗星33型だったため速度570キロで逃亡し、対空機銃で落とされなかった4機はその場からは逃げ切れたが空母に帰還したのは2機である。そのうちの1機が水面に不時着し駆逐艦から救出され3人とも無事に救出された。どうやら足をやられていたらしい。


 

 同時刻 俺達は次第に暗くなっている夜空の中スコールに襲われていた。

 「銃が解けそうなくらい厚くなっているときに降ってくれればいいのにな」

「そんな事言っていると、本当にくるぞ」と竹浜が健太のつぶやきに応じた。俺達はすぐに艦橋に出れるように廊下で待機していた。まあ待機と言っても2層目だけどな。後40分もすれば握り飯が届けられるだろう。座っているのは廊下の例のマガジンが入った箱の上である。上が座るところになっている。10メートル向こうのほうにも2人くらい座っている。案外中のものより役に立っているじゃないかと、とんでもないことを思った。いやそうでもないか。



 そうのうち例のスコールの雨はそのうち少なくなり出した。日が沈みかけている時だった。いやもう沈んでいる用に暗いが明るみはまだ有る。雲の切れ間からもう沈みかけて明るみを失いかけた光が漏れ出していた。


 艦内はいつも軍艦特有のにおいがしている。ほぼ毎日のことで慣れているのだが、やはり空のほうが良い。中央甲板に出た。甲板は湿っているが武蔵は中央のほうが甲板が低く艦首・艦尾に行くほど低くなっていると言う特有の甲板である。これは重心を低く保つためである。これで航海時安定性が良くなり、沈みにくくなるのだ。転覆しにくくなると言ったほうが正確かもしれない。



 すると雲の切れ目から何かが見えた。目を凝らしてみようとすると。

「3時の方向!敵機7機確認右舷迎撃急げ!」


 機銃員は…。斜め後ろにいるじゃやないか。


 速くしろと言わんばかりにこちらを見ている。メインの弾薬庫から弾薬をさっさと運び出し届ける作業が始まる。

 一瞬雨のせいで滑りそうになる。



 タオルで機銃座を拭きながら

「速く」と怒鳴るように聞こえる。爆音も近くなり甲板上にドタドタと足音が響いた。何の合図も聞こえずに高角砲がうなった。続いて機銃がうなる。敵機は総数9機だった。


 大型の爆撃機である。普段見ない大物である。高度が低いが明らかに爆撃体制である。軽く800キロ爆弾は持っているのであは無いだろうか。


 実際爆弾は潜水艦用として100キロ爆弾や250キロ爆弾、60キロ爆弾などというう小型爆弾だった。だが双発である。250キロ爆弾でも4発はつんでいる。


 でかいが速度はそれなりに速い。じりじりと距離を縮めていた。1機は偵察機用だったのか列を離れて、遠くを旋回していた。



「取り舵40一杯」

 

 噴進砲が鉄の壁を作成した。殺気弾薬をやった機銃座は中々撃たなかった。そして向こうが反対側の舷側に映ろうとしたとき、ドドドと重い音が聞こえた。俺は弾薬を配布し終えメインの弾薬庫から再び取り出そうとしたときに巨大なその機体が燃えているのを発見した。

 同時に

「ザマァミロ」と騒音の中その荒々しい声が聞こえた。思わずフッと笑いが出そうになった。自分自身スカッとしたのだ。しかしこれは恐ろしいことである。敵とはいえ人間を殺している人間の声を聞いて気分が良くなるのだ。それも罵声である。



 気を取り直せといわんばかりに敵機の爆弾飛来音が聞こえた。反射的に伏せた。それは海上に落下したが水しぶきが顔にかかり煙がのどを刺激し、ふたたび戦場であることを確認させられた。


 3時の方向よりきた機体は7時方向へと着きぬけた。この間2機が撃墜された。護衛の駆逐艦もパッパッと散発的な射撃を行う。


 


 雲の切れ目へ消えていったように見えたその6機は6時の方向より姿を現した。


 今度は副砲が咆哮した。命中しなかったが敵がびっくりして分散した。右に4機、左に2機がきた。すると武蔵は取り舵40度が今頃聞いたらしく曲がった。


 そのため右の4機が空回して左の2機も爆撃しにくくなった。反対側の機銃がブワッと一斉に放たれた。


 だが1機の爆弾が煙突へと落下していった。


 ガシーンと金属音と共に爆弾は跳ね返され破片を甲板にばら撒いて爆発した。煙突には金属の網のようなものがあり爆弾や砲弾を跳ね返せれるようになっていた。


 右の6機は再び攻撃しようとしたらしいが駆逐艦などと一斉に攻撃すると、1機が黒煙を吐いて、1機

は墜落した。


 

 この戦いで7名が負傷した。こちらの戦果は3機撃墜 1機損傷である。



 

 一七五〇 マッカーサーやキンケードの元にこの情報が届いた。米軍は有る程度有力な部隊が接近していることを確認した。



 一八〇〇 俺達が握り飯をほおばっているとき、機動部隊には米軍機100機が襲い掛かっていた。あらかじめ来週を予知していたが昼間と比べると暗く照準が少し悪い。


 それでも3式弾で14機を撃墜させることが出来た。3式弾は戦艦サイズで合えば3編成くらい1弾で消し飛ばせる。

 日本機も哨戒はしている。しかし攻撃隊約50機は容赦なく襲い掛かってきたのだった。


 

 

 「すぐに陸軍機を向けさせろ」マッカーサーはそういったが夜であるし、かなりの数を今まで飛ばしていたため疲労も有る。機数は限られる。



 リー中将はキンケードに戦艦迎撃をたくした。キンケード中将は戦艦3隻をもって迎撃することを決意した。



 2つの海戦はやがて大海戦へと変化していった。

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