大海戦前
味方の被害は少なくないがこちらには陸上機がついている。少数艦上機で長時間攻撃かつ陸上機による短期攻撃を行えば効果的かもしれない。スプルーアンスはそう考えてニミッツへと打電し、マッカーサー、陸軍航空隊に知らされB-25 150機、B-24 60機が一時的にスプルーアンスの管轄化に置かれた。もっとも完璧に同調は出来ない。
一方日本艦隊は"武蔵"の到着を待つかどうかで話し合いとなったが十分な戦闘力を持っているとして武蔵の到着は待たず、シブヤン海へ航路を取り敵の攻撃を吸収するようにとされた。これでは被害担当ではないか?と猪口中将は心の中で"これでは身代わりのようではないか?"と思ったものの表面上では、あたかも冒険心を掻き立てられているような振る舞いをしていた。これで武蔵は指揮がことごとく上昇したらしい。
「どうやら敵の主力は北にいるが油断しているらしい」と後部甲板の兵士。
「いやいや、輸送船団があるからさっさと叩いてしまえと言うものではいのか」
「副砲の出番か?」前回役目も無く爆弾で装甲が破壊された副砲内部の人間は沸きあがった。
「輸送船に主砲はもったいないな」と砲撃手は不満そうにつぶやいた。
噂が艦内を渡っていた。そして輸送船団という供述は当たっている。どうにも運が良い。
マッカーサーは輸送船団を率いて北上しようと考えていた。レイテ島から侵攻するはずだったが本人のただの自己満足である。さすがにこれには驚いた軍部だったが、マーシャル参謀長はこの報告を受取るも、敵の主力は西から来ているため、こちらには来ても小規模なものと判定し、3個戦隊でもつけていれば十分とした。これについて米軍側は魚雷艇10隻、巡洋艦3隻、護衛空母2隻とタフィー隊を護衛としてつけることとした。
一方のグアム島ではいつしかの陸攻で強制着陸した兵士達の4名がグラマン戦闘機2機、B-29を2機を盗むと言う大胆なことを行った。
侵入してから火薬庫を爆破しつつも敬機関銃などを取得し、警備が薄い場所より盗み取った。奪われた米軍は12機で追いかけたが雲の中に逃げ込まれグラマン1機に被弾させたが撃墜は出来なかった。グラマン戦闘機に乗ったのは陸上攻撃機のパイロット達だが、気持ち悪いほどの軽さを味わいながら無事基地に帰還した。帰還するとき攻撃されかけたが必死に味方のバンクを振ったり上空に弾を撃つなどの行為をしたため同士討ちは避けれた。
さっそく各機体を調べる。まずグラマンF6Fだが、100キログラムを超える重装甲が注目された。また重量軽減の対策など全くされておらず、それであって機動性はある程度良好である。図ってみたところ零戦より広い。
それに加えて12,7mm機関銃の性能には目を見あるものがあった。弾道性能はすこぶるよく威力は20ミリ機関銃1号に匹敵する。さらに弾丸が小さいため携行弾数が多い。7,7mmと20ミリの良いところだけをとったような機銃だった。ただ20mm機銃並みの重さという欠点があった。対して20mm機関銃1号/2号は両方40キロも無いと言う異様な軽さである。
B-29の方は1式陸上攻撃機とは大違いだった。2200馬力の強力な4発エンジンを装備しているため零戦の最高速度を超える速度がである。それで重装甲かつ大容量装備に加え防御銃の数も尋常でなかった。
さらに移住スペースは大きくとられていた。
ここに来てグアム島の航空隊は4発エンジンでなくては戦略爆撃などができないのだなと理解したのである。
一三〇〇 グラマン20機・ドーントレス爆撃機12機が20分後とに3回出撃した。目標は機動部隊だ。このときマッカーサーは北上して2時間半がたっていた。目標の場所までは後半分である。
機動部隊はこれで金剛が命中弾を受け、空母に至近弾だが人的被害のみですんだ。
武蔵はシブヤン海へ突き進み、レイテ島北部へと侵攻した。米軍爆撃機などを見かけてはいるものの攻撃を加えてこないところ見ると、ここはまだ偵察レベルであることを察した。
一五〇〇 レイテ島を米軍が北の海岸まで1個大隊たどり着いた。このとき既にこの大隊の1個中隊が消滅していた。壊滅しているのである。さらに今まで駆逐できた日本兵は100人といない。倍くらいは入るだろうと米軍は見積もっていた。
レイテ島は前哨戦であることを察した米軍は航路をこのまま北に取ることとした。マッカーサーが北上したならあわせるのがいいだろう。しかし日本機動部隊を野放しにするのは気が引けるし、レイテ島がサイド攻撃を受ける可能性すらある。
ならば艦隊を分割する必要がある。追ってきている敵艦隊が主力であることはほぼ疑いが無い。そのため再度攻撃を受けても陽動程度の火力しかないはずである。それならばここにおいている艦隊は多く、引き連れていく艦隊を少なくしようと考えたが島への攻撃もいる。
考えた結果、戦艦3隻と空母4隻、駆逐艦を引き連れて、後は巡洋艦と空母に任せることとした。否、自分が今からこの戦力で戦うのである。敵機動部隊が攻撃を仕掛けてきても後2回でおそらく壊滅する。その間自分の艦隊が傷つかなければ問題はない。
一六〇〇 サン・ベルナディオ海域にマッカーサー部隊はたどり着いた。作戦開始は1時間後である。マニラ島南部から攻撃を行っていくと言う作戦である。
しばらくして艦隊を影で暗くする米軍機300機が上空に姿を現し爆撃を行った。艦上爆撃機でも絶えるものがあるかどうかすら疑わしいのにもかかわらず、陸上機でこれを行われたためマニラ島南部の日本軍ジンチは3つ前の地層から盛り返されるようにつぶれて形をなくし、重火器はほとんどが炎上して兵員は700名が戦死もしくは負傷した。
日本軍はルソン島南部には2個師団、中部に10個師団、北部に3個師団と計15師団、約22万人を配置していた。
このとき俺達は知らなかった。まさか侵攻先に敵の核心があるとは…。