表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不沈戦艦武蔵 沈み行く戦友  作者: 賀来麻奥
崩壊する戦況
70/102

比島日米戦Ⅳ

 「おいおい吐くな。無理して食べるからだ」上陸用舟艇に乗って上陸地点に向かっている途中で吐く兵士は朝食で無理して食べた兵士だ。食欲がわかないのに食べたりすると必ず戻す。


 レイテ島に上陸し始めた米軍だが全く抵抗が無い。サイパン島のように万歳突撃でもしてくれれば楽なのだが…。万歳突撃とは銃剣で斬りこみを行ってくることである。

「バンザイ」といって襲い掛かってくることから万歳突撃とされた。その声は隣町まで聞こえたと言う。

 しかし気迫とは裏腹に戦果は乏しかった。相手が寝入っていたりしたり油断をしていたりしたなら弾薬を使わずに勝利が望める有力な戦法として利用されるだろうが、相手が重機関銃や大砲・迫撃砲でしっかり構えているのにかかわらずそれに突っ込んだらどうなるかすぐにわかる。


 陸軍は兵士自体が武器とはいえこれでは銃弾扱いである。



 だが、レイテ島は奇妙なほどに静かだった。大きな音はことらが飛ばしている艦載機だけだったのだ。

「おい敵は何で撃ってこない」

「全滅したんじゃねーのか。完全に地形がかわっているもんな」と兵士が楽観的な言葉を言うが静か過ぎるのも恐ろしい。

 しかし上陸したのは陸軍でない。陸軍を正規軍のなりそこない程度しか考えていない精強ぞろいの化け物集団だ。


「分隊前へ進め!!」小隊長が命令し島の中央部へと進んでいく。背中が小さくなっていく。そして100メートルほど離れたのを確認すると、今度は小隊が侵攻を開始した。


 戦車は必要ないとして揚陸されておらず、大隊規模で島を横断しだした。

「森で生まれた奴らだ猿に姿を変えちまったんだ」楽観的なギャグを飛ばしだした… 突然兵士の首が飛んだ。


 それに同調しもう1人が腸を打ち抜かれた。


 海兵隊は地面に伏した。

「くだらんジョークに腹を立てたんだ!」小隊長が冗談なのか叱咤なのかわからない声を上げた。

「スナイパーだ」そして金属音がなびく。その次に超えてくるのはあの世へいざなう音だ。

 

 威嚇射撃をしながら海兵隊はその地帯から身を翻した。平地しかないのにもかかわらずどうやって隠れてるんだと思いながらの撤退である。


 さて敵が見つかるとなればお手の物である。綿密な爆撃が行われる。

「それもぐらたたきだ」コルセアが爆撃を行い始めた。また駆逐艦3隻が沿岸部に接近し海上では豆のような主砲を容赦なく叩き込んだ。


 10分の射撃の後戦車が6両揚陸された。再び侵攻を開始し怪しいところには容赦なく榴弾砲をぶち込んだ。


 やがて何人か日本兵の死体が見つかった。アメリカ兵はそれを見つけると肩を打ち抜きどの腕を口の中へぶち込んだ。


 また拳銃でわざわざ頭をぶち抜いたりと散々な行為を行った。憎悪を晴らすためである。銃の底部で分隊規模で1人ずつ叩いて回ったりした。

 しかしそれを照準機から除いていた日本兵から頭を打ち抜かれるのだった。



 レイテ島に残されたのは時間稼ぎの狙撃兵や少数の歩兵で重火器はほとんどマニラ島に送られた。第16師団がレイテ島の防備をする予定だったが1個連隊を除きフィリピンへといったのだ。


 しかし1個連隊はジャングルへと逃げ徹底抗戦を行い続けたのである。また対空砲などは水平にして利用され戦車迎撃に使用されたがM3軽戦車ならともかくM4中戦車となると装甲を敗れず逆に榴弾を撃たれるというさまだった。


 


 マッカーサーはレイテ島が時間稼ぎとわかるとフィリピンへの攻撃の着手を早めることを望んだ。


 日本軍はフィリピンのマニラ島とルソン島、ミンドロ島の3つに防備を固めた。このうちミンドロ島も連隊規模しか置いていなかった。フィリピンのようにばらばらと島があるのはとても面倒だ。さらにこの次期日本軍を見限ったゲリラ兵士が日本軍を攻撃したりしていた。



 このときスプルーアンスは空母をハルゼーの代わりに指揮して艦載機での攻撃を日本艦隊に行おうとしていた。潜水艦で情報は得ている。


 第1次攻撃隊(戦闘機30機 爆撃機60機 雷撃機20機)は南西に向かって進んだ。



 

 俺たちはと言うと…すっかり補給を終え排水作業も終了した・ただ破壊されたのが艦首という事もあり修理は長い。幸い浅いところに当たったためどうにかなりそうである。

 リベットが打ち込まれた鉄板や木の杭などで補正した。元々艦首は防御がなされていないため仕方ない。


 後30分で出港できる。



 〇六三五 空母から対潜用の艦載機が飛び回っている連合艦隊では米軍潜水艦も先ほど小破という損傷を受け駆逐されている。


 これに彩雲も飛ばした。その彩雲より電報を受電した。

「セ・セ・セ」敵戦闘機に追尾されていると言うものだ。つまり敵の編成隊が来ているというのだ。針路をこちらに向けていると言う。1分前から通信が途絶えている。

 連合艦隊は空母を取り囲み輪型で対空陣を設置していた。


 そして現れた110機の大編成である。

「長門」「金剛」「比叡」「霧島」「大和」「伊勢」「日向」から有眼信管の3式弾の洗礼を受けた。これは大きさにもよるが大体200メートル四方へと広がる。空母からでた艦載機は零戦43型は30機で上空待機だ。他のは格納庫に収納している。


 

 米軍攻撃部隊で真っ先に向かってきたのが爆撃部隊だ。そして3式弾の威力を真っ先に受けた機体でもある。駆逐艦から受けた対空砲火では1機も墜ちなかった。巡洋艦から異変があった。そう20センチの有眼信管を受けたのだ。


 すさまじい爆発が機体に付きまとうようにひろがっくる。一番前を飛んでいた3機は蒸発するかのように空中で四散した。

 高射砲は間に合わなかったため普通だがこれでも1機の撃墜を確認した。


 そして空母の対空砲のメインである高射砲が有眼信管だった。そして戦艦舞台なのがうなりにうなった。20機ほどに固まっている場所を発見しそこに向けて主砲をぶっ放した。

 たちまち海上は黄色い煙で視界を奪われ轟音が耳をつく。噴煙と火山のような爆炎の塊が上空で幾輪ものバラを咲かせた。そして"さいた"のは爆炎の花だけでなくこの3式弾は米軍爆撃機の機体を裂いたのだった。

 

 20機が上空から消し飛ばされた。空母や戦艦の高射砲や機銃が追い討ちをかける。大和の対空機銃は100挺を超えている。そして噴進砲が発射された。こればっかしは闇雲の発砲となったが五機の撃墜が確認された。追い討ちのように巡洋艦から再度発砲があった。

 爆撃隊はそれでもめげずに爆弾を落とした。しかしその数は20機にまで減少していた。零戦43型はF6Fと死闘を繰り広げていた。ただ数はこちらが多かった。これは致命的な配分ミスである。機動性で勝る零戦は上位にたった。

 

 爆撃隊の命中率は25パーセントと言う高確率で成功した。長門に爆弾が1発命中したがさすがビッグ7である。さして損傷は無い。悲運だったのが巡洋艦能大だ。2発が命中し1発が至近弾となった。魚雷発射管にいきなり命中し爆発したところで至近弾を受け舵が故障しもう1発が命中し沈没することとなった。瑞鳳にも命中した。幸い甲板上に機体は出していなかったし火災は小規模で修復も可能レベルだった。千田は対空機銃が全て吹き飛んで死者30名を出させた。


 雷撃隊は零戦に追い回され撤退していった。


 110機での大編成は70機以上が撃墜/修復不能なまでに痛めつけられた。


 冷静なスプルーアンスもこれには驚きを隠せなかった。これは敵が最新の戦法を編み出したと言うことである。完全に私の失態だ。


 スプルーアンスは作戦を大至急練ることとした。


 そのさなか日本機動部隊が逆に攻撃を仕掛ける準備をしていた。日本軍の損害は零戦十機と偵察機一機と微々たるものだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ