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不沈戦艦武蔵 沈み行く戦友  作者: 賀来麻奥
激闘マリアナ沖海戦
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日本機動部隊最後の戦艦撃沈

 彗星を駆って敵空母に迫った雪夫だが、攻撃態勢を整えたその瞬間に後ろに続いてきた彗星が爆発したのがわかった。それと同時に高射砲が真横で爆発した。おそらくもう少し右側によっていたら、海の藻屑化していただろう。グラリグラリと機が揺れる。高射砲が至近で爆発しているのだ。


 彗星は2人乗りの艦上爆撃機である。この時高射砲が自分の機に飛んできたのが解った。後ろに雪夫が乗っていてそれで操縦士の丘島に「右によけるんだ」と指示した。すると後ろのほうに破片が刺さったらしく強い衝撃を感じた。幸い変わったところは無い。

 そして雪夫さんの彗星は米軍の戦艦の上空についた。実際空母を狙いたかったが、これ以上重たい爆弾をつけて飛んでいると間違いなく落とされる。そう考えたための決定であったし、戦艦に爆弾を命中させるのは本望だ。



 彗星は急降下を開始。機首を増したに下ろすと、敵の対空砲も平行線に飛んできた。

 雪夫は250キロ爆弾を投下・・・・・・爆発音が聞こえた。命中だ。命中した艦はサウスダコダである。命中場所は・・・第3主砲の砲身である。その時すでにサウスダコダは主砲を装填していた。そこに250キロ爆弾が命中し砲身を揺らしたらどうなるかわかるだろう。そう少ない確立で誘爆するのだ。

 サウスダコダは天に見放されていたらしい。轟!40センチ砲弾が爆発し、第3主砲が吹き飛んだ。そしてその破片が弾薬倉庫に注ぎ込まれた。2回目の大爆破が起こった。信管が作動したのだ。

 こうなってはアメリカのダメージコントロールも手がつけられない。おまけに破片が飛び散ったり、爆発などでそのダメージコントロールも死亡している。

 そしてその火災は人というものに燃えうつった。「熱い助けてくれ!!オイ!ヘンリー助けてくれ」

 乗組員のジョンが壁にもたれかかってる友人のヘンリーの肩を押した。

 しかしヘンリーの反応が無い。「おいヘンリー!!」そして彼はその状況がわかったとき絶叫しながら降り注いだ破片によって切り裂かれ死んでいった。ヘンリーは首から上が無かった。

 そして最終的に機関室そして副砲や高射砲や機銃にまで火災が及んだ。艦長は総員退艦の命令を出すまもなく、爆風によって割れたガラスによって動脈を切られしんでいった。

 命中してから20分もたたないうちに、サウスダコダは轟沈した。

 

 

 雪夫たちが乗っていた彗星はすでに母艦に帰還していたため爆弾命中による大火災が起こったとことしかわからなかった。

 他の攻撃隊の戦果は空母2隻少破、重巡洋艦1隻大破にとどまった。

 日本軍の全体の損害は90機(零戦30機、彗星41機、天山19機)もの航空機を失った。

  

 その時日本の最新鋭空母に危機が迫っていた。

 8時10分 空母大鳳が米潜水艦アルバコアの雷撃を受け、発射された6本の魚雷のうち1本が命中。

 すぐに応急処置がされて損傷そのものは軽微。(前部エレベーターの陥没)であったため、当初は戦闘続行可能な状態であった。

 

 日本軍はその後も攻撃を続けた。


 9時15分 乙部隊(空母隼鷹、飛鷹、龍鳳)から第二波の第三次攻撃隊49機(零戦17機、零戦爆戦25機、天山7機)が発進するが、別働隊と誘導機が進路(目標)変更の受信を逃した上、本隊も米第58任務部隊を発見できずに引き返し、7機(零戦1機、零戦爆戦5機、天山1機)が未帰還となった。


 10時15分 第四次攻撃隊50機(零戦20機、九九式艦爆27機、天山3機)が発進した。第四次攻撃隊は攻撃後にグアム島かロタ島経由でヤップ島へ向かうように指示されたが、米艦隊を発見できずにグアム島付近で戦闘機の迎撃を受け26機(零戦14機、九九式艦爆9機、天山3機)が撃墜された。

阿部大尉の彗星隊はグアム島で燃料補給を受け、翌日「隼鷹」へ帰艦するよう命じられている。


 10時45分 彗星9機・零戦6機が発進したが、発進直後に彗星2機・零戦1機が故障で引き返し、さらに索敵中に彗星1機・零戦3機が行方不明となった。この隊は偶然米軍機動部隊を発見したが、F6Fの迎撃で落ち着いて狙うどころではなく、阿部は1時間ほどF6Fに追跡されてロタ島へ不時着した。


  阿部の部隊に雪夫達は含まれていない。何故なら機体がズタボロになっていたからだ。飛んでいたときは良かったが機体の後部がへし曲がっているのだ。いやそんなに曲がってはいない。



 大鳳の修理作業の後、10時28分に大鳳、翔鶴、瑞鶴から第五次攻撃隊18機(零戦4機、零戦爆戦10機、天山4機)が発進したものの、米第58任務部隊を発見できず、ほとんどが引き返し、一部は不時着、9機(零戦爆戦8機、天山1機)が未帰還となった。10時30分、乙部隊(隼鷹、飛鷹、龍鳳)から第六次攻撃隊15機(零戦6機、彗星9機)が発進し、本隊8機が13時40分頃に米艦隊を発見、空母を目標に攻撃した。しかし、全く戦果を上げられず、9機(零戦4機、彗星5機)が撃墜された。


 任務が終わった後の米軍パイロットは日本攻撃隊に対する感想を述べていた。「海戦当初と比べ弱くなったたな」などはまだいいが、「どうやら日本人はサルに逆戻りしたらしい。前より弱くなっている。その内軍艦の上でのんきにバナナを食いだすかもしれん」など冗談半分に言うパイロットもいた。


 この時日本の空母は天に見放されていたどころか、死神に取り付かれていたらしい。


 11時20分 日本機動部隊に接近した米潜水艦カヴァラが空母翔鶴に4本の魚雷を命中させた。翔鶴は致命的な損傷を受け、14時10分に沈没した。


14時32分 大鳳が突如大爆発を起こし、16時28分に沈没した。この大爆発の原因は魚雷のダメージにより気化した航空燃料が艦内に漏れており、艦載機の着艦の衝撃で気化燃料に引火したものとされる。

 いずれにせよこの最新鋭空母は1本の魚雷で沈んだのだから、1発の爆弾で沈没したサウスダコダと同じく、ドンマイな船である。


 

 その時、俺達にあるうわさが流れていた。

 「おい。聞いたか武蔵が敵に突っ込むって話?」と只一が友人の竹浜に言うと

 「ああ聞いた聞いた。ということは機動部隊は勝ったのか?」と、竹浜は興奮気味に言った。

 この時俺らは何も聞かされてなかった。そう空母が2隻沈んで、航空隊かなりが撃墜されていたことも。



 

 次回は6月20日のマリアナ沖海戦を記します。

 

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