比島決戦か…
5月1日
日本軍の航空兵力は機動部隊としては数が少なくなりつつあった。零戦43型は大量にあり搭乗員もある程度の技量を得ていた。
しかしこの物語は自重を呼びかけているためなんとか日中戦争を抑えている事は冒頭で触れた。そのため満州自体の防衛に陸軍兵力をそこまで拡張する必要性が無い。
このとき日本海軍がどれほどの航空兵力を温存していたかと言うと総数にすればかなりに及ぶ。搭乗員が使いこなせる事を考えれば以下の通りだ。
第3航空軍団、同教育部隊、第2,5,航空軍団と第1,6,8航空師団で戦力としての総数は約3500機である。
まず南西に第3航空軍団(教育部隊も含める)は南西方面で900機。数が非常に多いのは第4航空軍を併合しているからである。
第6航空軍団は濠北に270機。満州には第5航空軍団は満州に150機で事実上対中ソ用である。
そして台湾には第8航空師団400機。これは第5航空軍団の1部と本土からの援護を得ているからである。(しばらくして第6航空軍団となる。)
第1航空軍団は本土防衛用で1200機という桁違いの機体を保有している。そして第6師団は北東で250機が配備されている。
残りの330機は全てフィリピンに配備されている。そして大西中将はフィリピンで決戦を起こすべきとして新型の零戦43型と攻撃機をどんどんフィリピンに送り込んだ。第2,3,4,7航空師団を新たに再建した。なにしろ陸軍まで似たような機体を作り出したため効率は良くなり、日中戦争が無いため工作員がいる。生産効率はアメリカには及ばないが零戦43型は早くも300機が作られている。大本営はもう300機を送り込む気でいた。
ただ問題なのはそれを載せる空母の問題だ。2隻が沈み搭乗員も300人以上が失われた。燃料自体はまだ後2回分はあるし、今のところ損傷間は直ぐにリンガ泊地へと向かわせるつもりだった。
大本営はこのとき講和へと動いていた。無理も無い話しだ。ただでさえ船は失われているのに航空機でも押されてはたまったものでない。
現にサイパン島を取られてからB-29の爆撃を受けている。こうなってしまった以上、敵に大損害を被らせて講和への機会をつくるしか方法は無い。
そこで決戦場所とされるのがフィリピンである。少なくとも敵は今回の2倍の兵力を持ってくるつもりだろう。本海戦により敵機動部隊も結構な損害を被ったはずである。
しかしまた空母に戦闘機だけというパターンでは駄目だろう。と、いうのも敵はおそらく1500機近く配備してくるつもりだろう。これではいくら現存空母に艦載機を載せても無駄と言うものだ。
ここはあえて正当法で攻めるべきなのだろう。逆に今度は攻撃機だけ乗せるべきなのだろうか?フィリピンの戦闘機部隊が制空を取ってくれっるのを期待するか…。
しかし戦は数である。質が同じとしたらフィリピンは1000機で向こうは恐らく1500機か。ランチェスター戦略なら、2:3で4:9と2分の1程度になってしまう。
すると弱者はやはり局地戦か・・・。
アメリカでは・・・。
ルーズベルトは執務室に入ってきたハリー・ポプキンスに息揚々と語った。彼はルーズベルト大統領の側近でありいろいろ活躍している。
ルーズベルトは
「今度こそジャップの艦隊を全て海の底に沈めることができる。見たまえ」と資料をポプキンスに押し付けるような勢いで渡した。
B―24 360機 B-25 460機 A-20 150機 C-47 200機 P-38 460機
P-40 120機 P-47 420機 P-61 32機 偵察機 176機
F6F 600機 SBDドーントレス360機 TBFアヴェンジャー 360機 連絡機200機
合計3898機
空母14隻、護衛空母19隻、戦艦3隻、巡洋艦22隻、駆逐艦60隻、護衛駆逐艦4隻、防空駆逐艦12隻、潜水艦8隻、高速魚雷艇39隻、輸送船/商船1800隻、総合兵力20万3000
「これは…」ハリー・ポプキンスは4000機近い機体に驚いた。
「ハハハ、どうだねこれがわが国の力だよ。戦艦がやられようが航空兵力があるではないか」とルーズベルトは声を出して笑うのだった。
サイパン島からこの陸軍機の反復攻撃で島の部隊を叩き潰すなり、機動部隊でジャップの艦隊を叩く。そうしてフィリピンに上陸すればいい。
これが大体の考えであった。
1500機どころか4000機あったのである。もっとも計画上の機体のためもしかしたら、3500機くらいしか配備されないかもしれない。
圧倒的な質量が日本を襲う。よもや日本軍に勝ち目はあるのか?