連合艦隊VSオルデンドルフ艦隊=序章=
距離4万メートルに敵影らしきものを発見!!Z旗は上がった。
しかしそれを阻むものが現れた。
オルデンドルフ艦隊は現在2つに分かれておりアイオワ戦艦救出/援護のために重巡洋艦シュロップシャーと軽巡洋艦のフェニックス。マクメーン大佐率いる駆逐艦 6隻だ。
カワード大佐の8隻の駆逐艦は空母部隊の護衛に当たっている。しかし先の戦闘を見ての通り効果が無かった。
本海戦ではリー中将の第34任務部隊はソロモン攻撃に貼り付けられているためサイパンで停泊している。今から出撃しても後の祭りだろう。
戦艦ミシシッピ メリーランド ウェストバージニア ペンシルベニア テネシー カリフォルニアの6隻と
駆逐艦も6隻、重巡洋艦ルイビル ポートランド ミネアポリスと軽巡洋艦デンバー コロンビアに加えて
駆逐艦 6隻が現在のオルデンドルフ艦隊だ。
整理すれば巡洋艦3隻と駆逐艦14隻が別同部隊となっており戦艦6隻、巡洋艦5隻、駆逐艦12隻の大艦隊と今決戦しようとしているのだ。
今オルデンドルフ艦隊と砲火を交えているのは第1水雷戦隊、第2水雷戦隊の10隻である。1隻中破しているが知ったことかと、他の間と共に接近してくる。
「面舵一杯」と艦長が命令すると
「おーもかじー一杯」と舵を執り進行方向右に動く。後方に白煙が立ち上り水柱が上がった。水が飛び散り熱を帯びて蒸発する。
「ジャップの水雷戦隊か。戦艦部隊では無いのだな。よしこっちは砲撃で応戦させよ!戦艦部隊で迎え撃つんだ!」
第一戦隊「大和」「衣笠」駆逐艦四隻 第二戦隊「武蔵」「愛宕」駆逐艦三隻は給油艦より燃料を補給して大和型は5分の4、巡洋艦、駆逐艦はほぼ全部を補給したため給油艦6隻中2隻が空になった。
脱落艦が出ているが沈没したのでなく機動部隊と共にいる。あそこは他に第三遊撃部隊がいる。艦隊速度23ノットで大至急接近してきている。大和のような大型艦は燃料をがばがば食う。巡洋艦・駆逐艦も走り回れば燃料は減る。
「我が帝国海軍水雷戦隊はいかなる状況にも立ち向かい、敵を撃砕するのだ!」巡洋艦"熊大"が距離2万メートル圏内に入ったと見るなり魚雷を投下した。
「取り舵一杯!!」左へと船が進む。小型のためクルクルと小回りが利く。それをオルデンドルフの戦艦部隊がいっせいに砲撃を開始した。
「ミシシッピ砲撃開始」
「メリーランドも砲撃を開始!!」
「 ウェストバージニア砲撃開始」
「ペンシルベニア テネシー続けて砲撃開始!!」
「カリフォルニア砲撃開始しました!」
6隻の戦艦がかつては海の王者であったことを証明するように勇ましく咆哮した。
かかげられていたZ旗がパタパタ揺れ動く日本水雷戦隊は近づく水柱を見て敵も本腰を入れてきたかと睨む様に水平線を眺めた。
魚雷より速度が速い砲弾は夜というにもかかわらず正確に位置を捉えていた。しかし位置を捕らえていようとなんだろうと当たらなければ意味が無い。
「面舵一杯」進行方向右方向に舵を切れという意味だ。
「おーもかーじいっぱーい」復唱するようようにして舵を切った。水雷戦隊は進行方向を再び戦艦群に対して横を向けたものとなった。
このとき岸波が至近弾を受け艦尾がゆがんだ。再び魚雷を投下した。幾十の魚雷が扇形に広がる。
「取り舵40度。速力30ノットでそのまま」再び水雷戦隊は進路を変えた。
先頭を行く阿武隈が突如艦首を吹き飛ばされた。さらに後部にも命中弾を受け火災を起こし、浸水で船は傾いていった。同時に放たれた魚雷が重巡洋艦ミネアポリスと戦艦テネシーに3本ずつ命中した。ミネアポリスはトラックが通れるほどの穴が開いたためあっという間に何千トンという海水が流れこんだ。隔壁は水圧により押しつぶされて連鎖的に壁は破壊された。ミネアポリスはあっという間に沈没した。
テネシーは中央部に命中した。バルジが魚雷の破壊力をもろに受けた。さらに各艦が一斉に撃ったとはいえ誤差がある。1本は遅れて命中したため開いた穴の周辺に1本が命中した。右舷に当たった。それを証明するように右舷は浮力をほとんど喪失した。ダメージコントロールが決死の活動を行い左舷に注水しながら右舷より排水作業を行った。
〇五三〇 そろそ敵艦を発見してもいい時間帯である。先ほど俺たちは補給艦より燃料をたっぷり入れてもらった。海上での燃料補給は潜水艦などに狙われたら一環の終わりであるが幸い攻撃を受けなかった。
第一戦隊 「大和」「衣笠」駆逐艦四隻
第二戦隊 「武蔵」「愛宕」駆逐艦四隻
第三戦隊 「那智」「足柄」「羽黒」駆逐艦四隻
以上の2つの戦隊は速力23ノットで航行している。艦艇が少ないのは損傷して機動部隊の周辺にいるからだ。あそこには第三遊撃部隊がいる(戦艦2 巡洋艦2 駆逐艦4)。
さて燃料の補給を得た俺たちは対空気銃を眺めながらまだ見えぬ敵艦に向けて進むこの戦艦にすべての信頼を寄せこの一戦に皇国の興廃が決する。
マストにはZ旗がひらめいた。「皇国ノ興廃此ノ一戦ニ在リ、各員一層奮励努力セヨ」
「距離4万メートル敵影らしきものが見えます」どうやら来るべき戦闘が始まるようだ。ただし同時にそれを見事に破壊する情報さえ入ってきた。
「距離1万メートル敵機です!!」俺たちの仕事がここで入るとは思わなかった。
時間は6時に近づいておりもう少しすれば日が昇る。
「主砲発射準備!!」その声を聞いたのは俺が爆風用のシールド付き機銃座で弾丸を配布していたときだった。
「主砲3式弾 仰角最大 撃ち方始め!!」その時になり始めてブザーが鳴り始めた…2秒くらい沈黙とも思える時間がたった。いや銃口の方面では走っている水兵の姿が見えるのだが、それがスローにさえ見えた。
直後…強烈な爆発音が耳を貫く。耳を塞ぎこむという行為を無意識にしていた。水兵の姿が煙に包まれて見えなくなった。
その後味方の出した爆風で7名が死亡し重傷者が40名出た事を聞いた。幸い出ていた数が少なかったためこのような被害にとどまったのである。これが何百人といたらどうなっていただろう。味方の爆風で死ぬなんてことがあるのだろうか。戦闘中で止む得ぬというときだったのならば仕方あるまい。しかし少々焦っていたというだけでこの有様なのか?冗談ではない。これが何百人と…いやもう言いまい。
はじめからショッキングなことが起こった。その3式弾はどうなったのか。
さらに水雷戦隊の阿武隈が耐え切れず重油の膜を残し沈んでいった。空気の泡が出てきた。そしてそこに先ほど撃った3式弾が落下した。調整がおかしかったらしい。重油の膜は破片などで重油が飛まつして3式弾の焼夷弾が作用して重油に見事引火した。ここで追尾していたオルデンドルフ艦隊の間の前にいきなり火の海が広がった。黒煙が吹き上がり空を汚す。
レーダー照準で確かに捕らえれてはいたがその黒煙と火災が問題だった。なにしろ風の問題で黒煙が襲いかかってきたのだ。その煙で駆逐艦は混乱し戦艦などは迂回しないと進めない。
新手の日本艦隊が来たが機動部隊が攻撃していることも分かっていたため水雷戦隊が敵と考えていた。それを逃しまいとして向かったら、火の有為が広がったのだからたまらない。巨体で速度が遅い戦艦がこの中を通れば何かしらの損害を受けそうである。海水で消えるのを待ちきれなかったらしく火災が起こっている正面の2隻の戦艦と巡洋艦や駆逐艦8隻は急に曲がった。そのせえで陣形は崩れた。中央では混雑し逆に停滞してしまった。
これを見た水雷戦隊は再び接近を開始した。
「距離は1万9000ですが」と先ほどと同じ位置で撃つと思っていたためその発言をした。
「いや!もっと接近するんだ!!距離1万5000メートルだ」33ノットで移動しているため分速で1キロを超える。ぐんぐん距離は縮まる。数分でその場所に着いた。ようやく米艦隊は混乱から建て直した。
戦艦群が進みだしたときは駆逐艦は再び反転していた。
一方こちらはドーントレス爆撃機の攻撃を受けていた。