水平線の炎、空の神風
サウスダコダって沈めてましたね…。アイオワ級戦艦ミズ-リと変えさせて頂きます。
前回のほうも変えています。
もう"戦艦越後太平洋戦記"と混じって頭が痛いです。ですが頑張ります!
スイマセンm(_ _)mでした。
アメリカ戦艦部隊はコロラドとニュージャージーの2隻が沈められていた。2隻のアイオワとミズーリが残っていたが、これは悲劇の始まりに過ぎなかった。
アイオワ戦艦にはスプルーアンスがのっていた。冷静沈着の彼もさすがに動揺を隠しきれなかった。
何しろ今乗っている同じ船が沈没したのだ。ただでさえハルゼーが死亡し、リー中将も幸い大した処分を受けなかったものの信頼が薄れただろう。そしてここで私が戦死すればアメリカ海軍は人材不足になる。ここで私が戦死すれば第3艦隊、第7艦隊を指揮するミニッツの手駒とでも言うべき第3艦隊の人材が枯渇していく。
だが今はそれどころではない。意識をしっかり持ち直したスプルーアンスは
「敵艦隊の頭とケツを捕らえろ!速度を生かして回り込むんだ!」持ち前の冷静さで命令を下して艦を操り自分は大和側に回りこんだ。
艦が細いアイオワ級戦艦は最大速度を出し切っているときは主砲を撃つことが出来ない。いや厳密に言うと射撃は可能なのだが、前後の揺れが30ノットを越した場合激しくなりまともな射撃が不可能となるのである。スプルーアンスは降って来る敵の砲弾を見て少しばかり身震いした。さっき突入してきたジャップどもはこんな感じだったのか。私が思っていたより勇敢だったんだな。だが私はこの合衆国の否、世界の平和のために戦わねばならない。
そのとき大和の砲撃が命中した同時にミズリーに武蔵の砲弾が至近に落下した。アイオワは左舷側の甲板に命中した。着弾した弾は第1甲板を木っ端微塵に吹き飛ばした。兵員室が爆風に襲われた。
水兵が慌てふためき走る音がサイレンのように艦内に騒音を響かせた。
幸い火災は小さくダメコンによりそれは解決された。
このとき米駆逐艦が4隻援護に来ていた。4隻は雷撃を敢行した。距離は16500だった。陸奥、金剛、榛名が応戦する。
「距離2万3000です」
「もっと接近しろ!ジャップを海の底に沈めるんだ」スプルーアンスは上半身をねじり返して答えを出した。
アイオワは当たらないのを覚悟で主砲を撃った。意外と軽い発射音が一定のテンポで6回なった。6回なったのは各6門が独立射撃をしたからだ。まっすぐ進んでいるから9門で射撃できないのは説明するまでもない。
果たしてこの脅しの射撃は日本軍にとってはどのように受け止められたのだろうか。その砲弾は戦艦榛名の方向に正確に向かっていた。榛名はこのとき死神に取り付かれていたのだろう。
いきなり黒い空から信じられないほどの速度で3発がなんともいえない音で落下してきた。音であらわすならこんな音がした。―――ドゥン。鈍いが何か鋭さを感じさせるような音だった。
榛名は艦底を一度あらわした。瞬間榛名に紅蓮の火柱が立ち上がった。紅蓮の火柱が立ち上った瞬間の音で榛名の大抵の乗組員はおそらく鼓膜を痛めただろう。雷が直撃したかのような閃光が再び艦内を襲った。
そしてコンマの差で起こった次の榛名の悲劇はとどめを刺すこととなった。戦艦ともあろうものがまるでタンカーのように真っ二つに裂けたのである。
「嘘だ!」俺は叫んでいた。俺はこのときシールドつき機銃座にいた。双眼鏡を一人が持っていた。距離2000メートル先など簡単に見える。榛名が爆発したのが見えた。
「轟沈だ…」俺はそこで言葉を失った。持っていたやつに返した。
「ん?なんだ?榛名だけじゃないぞ…あれは金剛だ!!」機銃座の中で俺たちは発狂しかけていた。
金剛も榛名のように1発を受けていた。舷側装甲に直撃した。小さなは穴が開いた。この老朽艦は1発程度で沈んだりはしない。…だが30年ほど使用しているこの船で始まった浸水は止まらず、穴は広がっていった。
ここで戦況がやや反転しつつあった。
一方米軍にも再び悲劇が襲い掛かった。金剛戦艦は打たれる前に放った砲弾が1発米駆逐艦に命中した。撃沈した。
しかしこれは序の口だった。否、驚愕の始まりだった。距離2万メートル圏内に入ったのと同時にミズリー沈没の報告が入った。それはミズーリ撃沈などというのはどうにでもなるようなものであった。
数分前戦艦ミズーリは大和と武蔵の統一射撃に若干怯えつつも勇敢にも立ち向かっていった。
しかし待っていたのは地獄だった。レーダーに何かを捕らえた。と同時に…
「艦直上!敵急降下!!」報告員の叫びは寝言でもなんでもなくまぎれもない叫びだった。
「バブル・ジークか?」マリアナで解決されず今なお問題視されているバブル・ジークはどこに現れるか分からないものとされていた。
伊号潜水艦より飛び立った晴嵐だ。800キロ爆弾を縛り付けた3機が乱れずにミズーリに向かっていった。急な出現に対空砲が唸るときには…。
ミズリーは33ノットで航行中である。回避行動がしにくいが速度も速い。しかし今回は動きがおかしい。糸のごとく向かってきた。
800キロ爆弾を抱えたまま3機の機体はみるみるミズリーに接近した。そして…。
「何!自爆だと!!」スプルーアンスは入ってきた報告に驚きを隠せなかった。そして"何故だ”という疑問の言葉がまるで具現化して出てきそうなほどの驚いたような顔をしていた。
「マリアナでも見られました。バカ・コリジョンではないでしょうか」
「馬鹿な特攻…」スプルーアンスはこぶしを作りワナワナ震わせた。それは恐怖ではなく日本の上層部に対する怒りだった。
これは後にグアムの神風と呼ばれた。
駆逐艦はそのあと長門の正確なる射撃をアイオワに浴びせた。アイオワの艦橋に突っ込んでいった。
―――グワァン!!文字通りに体さえ揺れ動かされた。スプルーアンスの白い軍服が赤く染まっていった。
「ジャップ!」と短くはき捨て長官室に入っていった。
アイオワはお返しに距離2万をきったくらいで砲撃を行った。遅れて大和、武蔵も砲撃を開始した。27発の砲弾が上空で交差しそれが敵をめがけて落下していく。
さらに駆逐艦が主砲で陸奥を砲撃。1発命中。しかしこの豆鉄砲の攻撃は陸奥の怒りを買うこととなった。
交差した砲弾は初弾から功績を残した。アイオワは2発大和に直撃させた。この距離でくらえば大和も無事ではない。
舷側装甲がぶち抜かれた。装甲の角度で幾分か被害を軽減できた。だが浸水が始まっている。大和は4度傾いた。ここで最新システム自動注水システムが起動した。1500トンの海水を吸い込んで大和は水平に戻った。
アイオワは6発の弾丸を受けた。上層構造物が破壊されていった。紅の炎に焼き尽くされ黒煙が視界を奪う。レーダーも故障し航海能力も戦闘能力も指揮能力もありとあらゆる能力をアイオワ戦艦は失った。
燃える城はいい射撃目標となった。長門は復讐に燃え8門で砲撃をする。
「測距始め!撃ち方用意!!」その装填は訓練を超えるすばやさだった。
「撃ち方はじめ!!」轟音とともに8門の41㎝砲は空に吸い込まれていった。
陸奥は怒りに任せて駆逐艦を真っ二つに裂けさせスクラップにさせた。残る2つも逃れれなかった。
我が武蔵も駆逐艦に攻撃目標を移した。
その時駆逐艦が放った魚雷が迫ってきていた。