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不沈戦艦武蔵 沈み行く戦友  作者: 賀来麻奥
蹂躙され行く島々
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サイパンを救え!

 サイパンの制海/空権いまや敵の手中に有り。制海権なくして輸送船にて援軍送れず、制空権なくして爆撃・雷撃できず、おまけに敵は大艦隊だ。恐らくいまサイパン島では艦砲射撃・爆撃が行われていることであろう。

 敵の大型爆撃機がこのサイパンに来れば日本本土はともかくグアムや硫黄島などの日本近海の島々が次々に空襲圏内へ入ってしまうだろう。

 俺はそう思っていた。俺は敵の無数の機体が雨あられと襲い掛かってくるのを見た。それを2回波状攻撃として。少なくとも我が方との交戦を交えてあれほどの帰数だ。恐らく艦隊護衛として敵も飛ばしているとすれば600機はいよう。すると敵空母は8隻くらいは少なからずいる。そして戦艦は10隻、巡洋艦・駆逐艦などは何隻いることやら。


 俺はこの先の戦闘が不安になってきた。大本営でのデマ戦果報告を聞いている限りではある程度安心だが、あんな糞情報を信じている国民がかわいそうだ。俺の家族も…。


 俺は怪我をした肩を包帯の上からやさしくほぐすように握った。その後は健太・竹浜たちと機銃とその周りを掃除した。肩は深さ1ミリも無い程度の比較的浅い傷だった。しかし長さが10センチと結構長いのは辛かった。


 一方その時米軍は日本艦隊が撤退した情報を得て昨日未明にハワイより来る護衛空母4隻・巡洋艦1隻駆逐艦4隻・輸送船350隻とオーストラリアに停泊していた駆逐艦12隻・輸送船900隻を待っていた。これによる人員を約五万人をこのサイパンに上陸させうるつもりだった。


 これに対し沈黙の艦隊が動き出した。そのころサイパン島には日本兵は4万1000名がいた。米軍は日本軍の兵力を2個師団以下と考えており、艦砲射撃などで兵力差は3:1となりうると考えていた。この3:1というのはランチェスターの法則で1の兵力に対し3で挑めは必ず勝つということだった。

 実際の2個師団(=日本軍では3万以下)でなく3個師団近くいたのだからこのランチェスターの法則では二乗の法則を使用した場合2万5000程度の兵力を残して米軍が勝つということになる。ただゲリラ戦や丈夫な陣地を構えているため大体そうなるというくらいであろう。


 さて先ほど話した沈黙の艦隊とは皆さんご存知のとおり潜水艦のことだ。伊400型潜水艦を6隻で敵に可能な限り損害を出すことを命じた。

 この伊400型はかなりの大型潜水艦であり、乗員157名で攻撃機『晴嵐』3機が出てくるという奇想天外なものだった。

他にも40口径14cm単装砲1門・25mm3連装機銃3基/同単装1挺・53cm魚雷発射管 艦首8門・魚雷20本という武装であった。


 大型潜水艦は伊400型のみしか建造しないという計画のためここまで量産が出来たらしい。


 その艦隊は早くもサイパンの近くまで来ていた。




「偵察機ヨリ入電 敵大輸送船団見ユ 300隻以上ト認ム 海面ハ輸送船デ埋メ尽クサレテイル」


 ソロモン航空隊がこの報告を受け取ったときは驚愕した。 

 300隻を超える輸送船がこの太平洋を動いている、つまりどこかの島に侵攻するのだ。とすると1万名程度の兵士が送られる。


 このソロモン航空隊に残されたのは補助パーツなどをやりくりして1式陸攻7機、銀河爆撃機6機という攻撃陣用で精一杯だった。しかしここに「ソー1」という攻撃機が3機ここにあった。これは敵のエンジンやパーツを使用し作成したものだ。


 2個の1700馬力エンジンを使用しており大きさは1式陸上攻撃機に似ている。最大爆弾搭載量は1トンで最大速力500キロを出せるというもので翼下の防弾もされていた。といっても未知のものでおまけに海面に漂着したものでありまともに動くかどうかなど疑問であった。

 しかし今はそれどころではない。250キロ爆弾を積み下方に20ミリ弾を積むという実験を行った。いやはや短時間でこんなものを完成させるとは常軌を逸してる。

 

 そして1時間後護衛の零戦6機が燃料タンクもつけずに60キロ爆弾を輸送船に向け上空3000メートルより落下させた。米輸船団は高射砲を撃ち、護衛空母からF4Fが飛び出ようとしたが遅い。続いて雷撃と爆撃のあわせ技。最後に「ソー1」の爆撃と下方20ミリで攻撃だった。


 戦果は確認したのだけで2隻被雷、4隻炎上、5隻黒煙を吐く、というものだった。米艦隊の記録では輸送船6隻が瞬く間に炎上し物資が燃え出した。おまけに2隻が魚雷で沈没し、3隻が軽い損害を被った。しかも下方20ミリ機関銃で乗り組み員が肉片と化し、物資が破壊されたりなどの被害を受け、船舶に積んでいた物資は12隻分が無駄となった。しかし上陸兵士は1個中退程度しか損害が無かった。12隻など大した損害ではない。と思いがちだが75分の1が失われたのだ。これが多いいか少ないかは人の感覚によるだろう。


 


 ただ米軍は戦艦や巡洋艦にも戦隊を乗せていた。が4000人くらいでまともな装備など持っていない。


 

 そして沈黙の艦隊は猛威を振るい始めた。

   

 

 

 実史のラバウル航空隊でも零戦を自分たちでパーツで作るというのはありました。それで勝手に「ソー1」を作らせてもらいました。まあこんなのがあっても良いじゃないかな程度で。

 

 次回は沈黙の艦隊が猛威を振るいます。

 

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