マリアナ沖海戦=2=
「ソロモン方面に送った艦隊はどうした」とアメリカ大統領ルーズベルトが30秒ほど前に、扉をノックして報告に来た連絡者に言った。
「ソロモンの敵航空隊はガダルカナル島及びラバウルまたそのほかの航空隊を8割以上消耗させ滑走路をほとんど炎上させ、敵は滑走路の修復だけに1ヶ月はかかると思います」ルーズベルトは満足そうな顔をして「それで損失のほうは…」「はい。護衛空母4隻/駆逐艦2隻が撃沈され…2隻の護衛空母が撃沈されています。また艦載機は戦闘機40機、攻撃機も含めると70機を超えます」と言った。「まあ商戦改造船や機体はいつでも作れる。だが人員的損失はどうだ」と、肉食獣の目が獲物を捕らえたような輝きを対照的に暗くしたような目で聞いた。
「水兵が約200名死亡 300名が負傷し、その内100名以上が火傷などの重症でパイロットが100名ほど死亡しています」と事務的な口調で発言をした。
ルーズベルトが唸るような口調で「そうか」と言った。係員が退室した後「300名が死亡したか」と呟いた。
一方オハフ島の港では「ジャップがライター(1式陸攻がすぐに火を吹くためアメリカからライターと呼ばれた)でPaper aircraft carrier (紙空母)を沈めるとは嫌になるな」と水兵のシーフォンスが呟くと「全くだ。正規空母の連中なんか邪魔そうな顔で見てくるもんな」と同情するかのようにシャイニーが言った。「peperじゃ無くてJin(神)だったら安心なんだが」「いくら待っても俺達にはHair(髪)かpeperしか来やしねーよ」と言いながら自分の護衛空母を見渡した。
そのころ武蔵は敵の空襲を受けてはいなかった。その敵機は戦闘機と偵察機で編成されてていた。零戦が必死に機銃を打ちかけるが多勢に無勢。哀れ上空で散った。
敵の偵察機は高度な計器で正確なデーターを送っているらしく盛んにデータ受信をしているのが分かった。対空気銃や高角砲を撃つも1発銃弾が当たっていても無視しているごとく上空3000メートルを飛来している。
そしてしびれを対空戦闘を中止して敵艦との砲撃を交えることを艦長は命じた。シールド外の機銃員はさっさと艦内へ退避した。
この時既に双方の距離は2万8000メートルを切っていた。ギリギリまで引きつけて撃つ命令を下し、武蔵以下艦は速力を25ノットで敵艦に向かった。
外でたまに海中に何か重いものが投げられたような音がし船が少々振動している。どうも敵は射撃を開始してるようである。
その時艦内からの弾薬補給の命令が出たため俺は命令されたどおり行動に出た。
「距離2万メートルです。駆逐艦を向けてきた」「よし砲撃開始」武蔵の主砲が決められた角度に動き、目標目掛けて砲弾を放った。
…数十秒後。俺はこける様な振動を感じ取った。「敵弾右舷中央部に直撃!!被害を直ちに報告せよ!!」俺はこの瞬間やられたと直感的に感じた。しかし1分後にきた情報は耳を疑うものだった。それは「被害らしき損傷なし」!!それは本当であった。武蔵は2万メートル先からの敵砲弾をはじき返したのだ。実は俺は知らないが、この時の敵の砲弾は45口径40センチ砲であるが、武蔵の垂直装甲は角度付き410ミリ装甲で実質的にはそれを超える防弾を備えているのだ。ちなみにこの敵相手なら1万8000メートルまで接近しても問題ないらしい。あくまでも集中防御されている部分の舷側装甲だけでの話だが…。
敵戦艦は「サウスダコタ」「インディアナ」と判明した。こちらは大和と金剛がいるため3隻だが、金剛はどうしても砲戦では劣勢になってしまう。だが14インチ砲とて戦艦相手ならいざ知らず巡洋艦や駆逐艦相手となれば強大な戦力となしえるのだ。
そのころ前方1000メートルの地点にいる駆逐艦と巡洋艦はたくみな雷撃で敵を寄せ付け無かった。それはともかく敵戦艦部隊は俺達が同僚の乗り組員を金剛で救出してるのを知っているのだろうか。
サウスダコタが主砲を撃ったのとまた違う振動を受けたのはちょうど一四〇〇の時である。大和の46センチ砲がサウスダコタの甲板に直撃した。弾の角度があまり無く甲板こそぶじであったが副砲が火災で使用不能に陥った。優秀なアメリカのダメージコントロールは火災を沈下させようと迅速に消化ホースの先端を火災部に向けて水を噴出させた。
同時にインディアナ戦艦が急に砲塔の向きを換えた。そして偵察機もその砲塔の方向へ向かった。「ようやく来たか」猪口艦長は低い声で笑った。
それは数時間前分離した駆逐艦と巡洋艦の水雷戦隊だったのである。
愛宕に乗っていた中岡信喜 大佐は「我に続け」と命令をして敵艦に32ノットで肉薄していった。距離2万3000メートル地点で高雄が被弾した。金属の擦れるような音がした後、爆風で30人あまりが吹き飛ばされた。高雄は多量の浸水で右舷に7度傾いたが。必死の排水作業でどうにか沈没は免れそうだ。
そして距離2万メートルで駆逐艦朝雲が沈没した。そしてその直度全艦は何かを海中に投下して反転して逃げた。それを見たアメリカ艦隊は「ジャップのブルーキラー(酸素魚雷)がくるぞ!!各艦回避運動開始」といって機関を止めたりジグザクに動こうとしたそのときには既に遅かった。
アメリカ駆逐艦の乗員スパイナーは耳の受容器が騒音と平衡感覚を感じこれは尋常ではないと思った時、舷側には巨大な水柱が立ち上っていた。数人の兵士が空中を舞いデッキに叩きつけられ海中に投げられたとき船は2回ほど左右に揺れやがて左舷に10度ほど急激に傾いた。
すいません試験中で攻撃隊の話がかけませんでしたのでまた今度書かせていただきます。