外伝 =終局への戦い=
最終回です。
戦艦大和の主砲がひっきりなしに撃たれる。アバラマの射撃のほうが正確だが、双方まだ決定的な戦果は出していない。
駆逐艦と巡洋艦の戦いは日本側の勝ちだろう。駆逐艦がすでに6隻沈められていた。また残った巡洋艦も沈没はしていないが、矢矧の砲撃が命中したりしている。
その時、大和が第1主砲の直撃弾を受けた。
閃光が艦上を1時期覆った。が、主砲は何事も無かったかのようにそこにあった。
しかし「艦長、主砲1番砲塔旋回不能です」艦橋に緊張そして衝撃が走った。大和は46サンチ砲(46センチ砲)を9門搭載しているが、主砲が1基減ると6門になる。基本的に主砲は8門以上ないと命中率は悪くなる。しかしなくなったわけではない。旋回がしないだけだ。
「全主砲砲角そのまま、俯角修正1度下げ 撃てぇ」
上空では彩雲や烈風が飛んでいた。烈風はグラマンとの死闘を演じていた。
その頃長門の艦隊は、駆逐艦3隻が突撃していく。残りの空母から申し訳ないばかりの艦載機が出てくる。烈風は上空で待機している。さらに出てきたのは爆撃機や雷撃機で戦闘機はあまりいない。
新鋭駆逐艦の射撃により2機が火達磨になった。近づかない機体は烈風に食われた。
「ジャップがふざけやがって」1機のグラマンが急降下しながら射撃をした。ちょうど降下した場所にいた烈風は煙も吐かずそのまま海に水柱を上げた。爆撃機や雷撃機はとりあえず攻撃をすることに専念したが、魚雷対策が採られている新鋭駆逐艦には効果が無く、(潮にもそれなりの改装はしてある)
爆撃機はまともに当たらない。そもそも機体が30機と少ないのが原因だろう。
それでも至近弾を出したがそれまでだ、烈風にボコボコに叩きのめされた。もはや機体が無い空母部隊をかばうため、駆逐艦が動いた。しかし日本艦隊はたくみに動き駆逐艦や空母の進路を妨害させる。
長門が再び有効射撃距離に空母を捉えた。「撃て」長門の砲弾が天高く舞い上がる。そして数分後
「近弾 500 俯角1度上げ 方位角修正」長門の射撃は驚くほど正確だった。一応レーダー射撃を長門は行っている。今海戦は全ての艦がレーダー射撃をできるようになっている。とはいえまだ試作的な物だった。
「魚雷発射」潮が魚雷を発射する。アメリカ駆逐艦1隻が遂に当たってしまい、少しずつ沈んでいった。
「全砲塔、撃て」
アメリカ空母ハンコックに死への砲弾が向かっていた。
艦橋が轟音と共に砕け散った。甲板では火事が発生した。
「どうなってやがる」ハンコックの水兵が叫んだ。レイテ湾はそろそろ日が沈みだしていた。赤い太陽が波間に沈んでいった。
「おい、そこの・・お前…艦長はなにをしている?…どこ・・にいるんだ」ハンコックの水兵が腕から赤い血を噴出しながら目の前の兵士聞いた。
するとその兵士は天を指した。「艦長は死にました。私達も同じ所にいけますよ」
ハンコックの甲板では死体が転がり、艦橋などが破壊されつくした。そこに駆逐艦が肉薄してきた。あくまでも駆逐艦の潮だが。
魚雷が3本放たれた。その3本の魚雷は静かにハンコックに延びていった。
そのころ大和のほうの水面にはアメリカ艦隊は駆逐艦4隻と戦艦と空母が遁走し、水面には血が付いた残骸がスコールや雨により洗い流されいるだけだった。大和の至近弾はそのまま水面を進んでいきアバラマを沈めたのだ。スコールが来なかったら全滅できていたかもしれない。
とりあえず我々は勝った。今回水雷戦隊は大戦果を収めた。しかし戦艦や航空の勝利も大きなものだった。
第1次、第2次レイテ沖海戦で我々は勝ったのだ。そして長門のほうより「我、敵空母2隻 駆逐艦ヲ6隻撃沈セシメタリ。我方ノ損害ハ航空機10機と極メテ軽微ナリ」
「勝った」皆がそう叫んだ。「万歳」との声も聞こえた。
大本営発表 「昨日12月25日 比島の航空隊及び機動部隊はアメリカ機動部隊及び陸上航空兵力と交戦状態に入れり。我が航空隊はは奮闘しB-29を40機撃墜セシメタリ。又「レイテ」灣に侵入を企圖せる敵船團並に護衛部隊を攻撃し左の戰果を得たり。駆逐艦8隻撃沈 1隻撃破 巡洋艦4隻撃沈 航空母艦2隻撃沈 戦艦2隻撃沈 1隻大破 航空機200機撃墜破 我がほうは航空機30機喪失するも喪失艦無しと一方的な戦闘を展開セシメタリ」
この報告に日本中は歓声に沸きかえった。
アメリカ側は太平洋に持てる海軍全ての戦力のほとんどを喪失し、マリアナ島が空襲を受けてもおかしくない状況に入った。しかし兵力はもう少ない。ヨーロッパ戦線から海軍力を抜き出すしかない状況に入った。
その後、最悪な予想通りマリアナ島は空襲された。僅か1ヶ月後のことだった。B-29の戦略爆撃隊は壊滅的な損害を受け、作戦の遂行は不可能となった。また陸軍のロケット攻撃機がアメリカ軍をなぎ倒していった。
一方の日本側も80機ほどの航空機の損害を受け、これ以上の戦争継続は困難となった。
そこで講和に入った。アメリカは単独講和に応じ、イギリスもこれに同意した。イギリスが同意したのは、アメリカがヨーロッパ戦線からアメリカ軍がいなくなると状況が悪くなるからだ。
ソ連はドイツを目指していたが、米英が日本の講和に応じると戦闘を停止せざるを得なくなった。
1945年1月15日 終戦。
その日空は青く澄みわたっていた。
いままで全ての話を読んでくださった方に感謝します。半素人意見も入っている小説に目を通し、感想や評価をつけてくださりありがとうございました。
零戦43型 烈風 4式弾 4式90砲身30ミリ機銃等、開発計画があったものや無かったものを架空兵器として登場させていただきました。皆様どうでしたか?
面白かったといっていただければ、とてもうれしいです。
しかし福島のほうは早く復興作業が進むことを祈るばかりです。