前哨戦その1
5月20日 豊田副武連合艦隊指令長官は「あ号作戦」の発動を開始を発令、「あ号作戦」とは5月から6月にマリアナか西カロリン方面への侵攻が行われると判断していたが、タンカー不足によりマリアナ方面での決戦は無理があり、パラオ近海において決戦を行うこととした。そのためにグアム、サイパン、テニアンの兵力を強化して敵をパラオ方面へ誘い込み、機動部隊と基地航空隊によって撃破するという作戦を立てた。これが何度も言うが「あ号作戦」である。
そして前哨戦がはじまった。
5月27日 連合軍がビクア島におびただしい数の輸送船を引き連れて上陸を開始した。
日本軍の守備隊は歩兵1個連隊基幹の約12,000名であった。
これに対し日本軍は渾作戦すなわち、ビクア島の戦いを支持するための作戦を立案・実行したのである。
5月31日 敵中に孤立していたナウル基地を飛び立った海軍の偵察機彩雲が、メジュロ環礁に停泊するアメリカ軍の大艦隊を確認した。
6月5日 ふたたび彩雲がメジュロ環礁を偵察。アメリカ軍が出撃準備を急いでいることを確認。大本営は、アメリカ軍はマリアナ諸島を襲わずパラオ諸島に来襲するものと判断していた。というより、前述のタンカー不足により、「マリアナじゃ遠いから困る。パラオに来てほしい」と希望して後手に回ってしまった。 全くなんというか、希望で敵の動きが変わるわけが無い。日本軍はいつから魔法使いになったんだろうか。
6月6日 駆逐艦水無月に向かって3本の線が波状攻撃としてで2回むかっていった。突如水柱が立った。
「敵の潜水艦の攻撃だ」誰かが叫んだ。すでに航行不能であり、艦は傾いている。
磯部慶二 大尉艦長は死亡した。艦はみるみるうちに海のそこに沈んでいった。
6月7日、早波沈没 6月8日、風雲 6月9日、谷風 が米潜水艦の雷撃で立て続けに沈没した。
「米軍潜水艦に駆逐艦は全部いや、艦隊がけされるんじゃないだろうか」と、仲間の竹浜が冗談気味で言ったが、不安がいっそう集まっただけだった。
この竹浜がつぶやいたのは、ある任務から帰還した後だった。
少し前の行をみてほしい渾作戦を書いたままだ。これに参加したのだ。
この作戦は3回行われた。では見ていこう。
第1次渾作戦
6月2日増援部隊を乗せた艦隊はミンダナオ島ダバオを出発し、ビアク島へ向かった。艦隊は以下の編成で左近允尚正少将が指揮した。
艦隊を紹介しよう。
輸送隊本隊:重巡「青葉」、軽巡「鬼怒」、駆逐艦「敷波」、「浦波」、「時雨」
輸送支援隊:敷設艦「津軽」、「厳島」、第127号輸送艦、第36号駆潜艇、第37号駆潜艇
警戒隊:重巡「妙高」、「羽黒」、駆逐艦「白露」、「五月雨」、「春雨」
間接護衛隊:戦艦「扶桑」、駆逐艦「風雲」、「朝雲」
戦艦「扶桑」だがこれは欠陥戦艦と言われる。
ぜひ写真をみてほしい艦橋が「く」の字で砲をたくさんつけすぎ否、配置が悪く3,4砲等の主砲のせえで全門済射すると構造物が壊れるそうだ。
6月3日 部隊は敵哨戒機に発見された。さらに、陸軍の偵察機からアメリカ機動部隊発見の報告があったため、部隊は作戦を中止してソロンへ向かうよう命じられた。ソロンに到着すると陸軍部隊は揚陸され、艦隊は退避した。その後、機動部隊発見は誤報と判明したが、後の祭りだった。
そして2回目
増援作戦は再開されたが、高速の駆逐艦だけによる輸送に切り替えられることとなった。旅団全部隊を一度に輸送することは不可能のため、約600人が第一陣として運ばれることになった。
8日3時 部隊は駆逐艦 「敷浪」、 「浦波」、 「時雨」、「白露」、「五月雨」、「春雨」の6隻で再度ソロンから出撃した。12時30分、B-25による空襲を受け春雨が沈没したが、部隊はそのままビアク島へ向かった。22時頃、重巡「オーストラリア」、軽巡「ボイシ」、「フェニックス」、駆逐艦14隻からなる連合軍艦隊と遭遇した。連合軍艦隊からのレーダー射撃を受けたため退避行動に移り、連合軍艦隊も高速発揮できる巡洋艦艦隊であったが、かろうじて離脱に成功した。しかし、日本艦隊は至近弾などで損傷し、輸送も中止された。
至近弾がなんだというのかと考える人もいるだろう。
「たかが水柱がたつだけだろう」だって?
破片効果がすさまじいのだ。手榴弾も同じで破片で殺すのだ。爆風で殺すのではない。
そして3回目ついに姉艦の「大和」そして我が艦「武蔵」が第3回目の作戦に参加した。
ほかには
攻撃部隊:重巡「妙高」、「羽黒」、軽巡「能代」、駆逐艦「沖波」、「島風」、「朝雲」
輸送部隊:重巡「青葉」、軽巡「鬼怒」、駆逐艦「満潮」、「野分」、「山雲」、敷設艦「津軽」、「厳島」、第36号駆潜艇、第127号輸送艦
補給部隊:タンカー第2永洋丸、第37号駆潜艇、第30号掃海艇
俺たち2隻は攻撃部隊に含まれる。
部隊は6月12日 指定されたソロン沖バチャン泊地に集結した。
愛読どうもです。
いよいよ前哨戦も中盤に差し掛かります。