武蔵撤退
第5次攻撃隊の攻撃は艦隊すべてに攻撃してきた。
「くそ暇があれば空襲だ!!」温厚な人柄の竹浜が呪詛を吐き捨てた。それと同時にやってきた攻撃隊は、狂ったように突っ込んでくる。
黄色いような煙に巻かれている外を見ると、大和が見えた。直後大和に煙がもうもうと立ち上り水柱で見えなくなった。「あ、やられた」と俺は叫んだが、水柱が崩れ始めると大和のマストが見えた。
しかし安心している場合ではない。変な音が耳鳴りを強くさせたので空中を見る。
またも黒いものが降ってきたが、しだいに細長く見えたため安心した。爆弾は命中するときは丸くな見え、外れる時は細長くみえるのだ。
しかし次の瞬間閃光が走った。目が見えなくなり俺はかがんだ。轟音が耳を麻痺させる。爆風と共に熱風が走り背中が燃えそうになった。何かが俺の頭にあたった。鉄兜をしていなければ俺の頭にはコブができていただろう。爆発音が消失した瞬間俺は目を開いた。ぼやけて見えないが望遠鏡のようなものだ。その望遠鏡を見た瞬間俺は叫んだ。望遠鏡の持つ部分に腕があり肩からわずかな筋肉でかろうじでつながった人の頭があった。それは目が飛び出し口から臓器物のようなものが飛び出ていて、皮膚が1部めくれ骨が見えていた。俺の叫び声は2度目の爆弾命中の轟音によりかき消され、俺の意識はそこで消失した。
この攻撃で武蔵に最低爆弾4発、魚雷3本命中、軽巡洋艦1隻撃沈を主張。エンタープライズ攻撃は武蔵に爆弾と魚雷集中するが当たらず、利根に爆弾2発命中、駆逐艦2隻に爆弾命中との戦果を挙げていた。
「…だ…い…か」「ただい…だいじょうぶか」誰かが何かを言っている。俺は確か爆弾の爆風で床に叩きつけられたような…死んだのか?
「おい、只一大丈夫か?」ハッとなって俺は目を見開いた。すると竹浜と衛生兵と数人の水兵がたっていた。ここは病室だろうか?台の上に俺は寝かされていた。気のせいか左側に6度くらい傾いているような気がする。
「お、起きたか」最初にたまに顔をあわせる水兵が言うと竹浜が「お前3回も空襲があって目を覚まさなかったんだぞ」と言った。横を振り向くと大量の人間がうめいている。俺は気持ちが悪くなった。衛生兵が俺の顔で察してなにか容器(和紙製のものだが)をもってきてその袋の口をあけて俺に渡した。おもいっきり俺は吐いた。
2回ほど吐いたら気分がよくなった。「もう大丈夫です」というとその汚物入り和紙袋をもってどこかにいった。
「只一、武蔵は引き返す」と急に竹浜が言った 何をいっているのか最初は分からずたださっきより傾斜がきつくなっていないか?と思っていた。
この時武蔵は速力18ノットでしんぱいそうに、駆逐艦清霜が横に付き添いながらコロンへ向かっていた。左舷に4本右舷に2本の魚雷が命中。爆弾10発命中。この攻撃を普通の戦艦が受けていたら沈没しているだろう。
まことに関係ないがその時リンガ泊地近くの航空隊では零戦42型が実は43型だという事実を受けていた。制作当時は同じエンジンをのせるつもりだったが違うエンジンに変えたため1桁目を1増やさなければならないのだ。2桁目が機体のデザイン。1桁目がエンジンである。
そのため零戦42型は零戦43型なのだ。制作した次の日、零戦43型であることに気がつきあわててなおしたが零戦42型の名前が執着していた。
そのためここの航空隊では「これは零戦42型ではなく零戦43型だ。死に方=(42型)ではないからこれからは死亡者がでらんぞ」と隊長が言い士気をあげたというが定かではない。
話を戻す。武蔵は夜の海を進んでいた。
一八〇〇 米軍潜水艦が偵察していた。
「大和型戦艦と駆逐艦1隻を発見 現在18ノットでリンガ泊地に向かっている模様」
毎回愛読ありがとうございます。