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【中編完結】ワン・ソード  作者: 九楽


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ワン・ソード 中編

 おじいさんは、話し出す。神と悪魔のことを。神は壮絶な戦いの末に悪魔を封印した。そして、神もまた悪魔の最後の抵抗により封印されてしまった。だが、悪魔は封印を解こうとしていた。自分を閉じ込めているこの星を滅ぼそうとしていた。そして悪魔は人間を作った。

「つまり、この星の中に悪魔が眠っているんですか?そんなおとぎ話みたいな話。」

「事実だ。そしてこの時代ももう少しで終わる。」

 聞きたいことが山ほどあるが、何から聞けばいいのかわからない。嘘のような話だが嘘をついている用には見えなかった。

「何でそんな昔話を知っているんですか。」

「私も見てきたのだよ。遠い昔を。」

 そういうとおじいさんは、左手から赤い封魔剣を発動した。

そこからは、意外と簡単な話だった。いや、すごすぎて頭に入らなかったというべきか。本当におとぎ話のようだった。

 

「人間はこの星を滅ぼす為に作られたが、神により何度も滅ぼされた。そのたびに悪魔は人間を作り直した。」

「作り直す?」

「そう。より強くな。神は、ある時にきりがないと思ったのだろう。神は人間に渡した。お前たちのいっていた封魔剣を。神は、約束した。悪魔を滅ぼせば人間には手を出さないと。」

 僕は頷いた。

「はい。」

「だが、散々滅ぼされたんだ。まずは、神を滅ぼすべきだという結論になった。そして、私は蒼き剣を作り神に突き立てた。そして、神を滅ぼした。」

「...。」

「だが、それが今思うと愚かだったのかもしれないな。結果として元の時代へ戻った時に私の知っている景色はなかった。もう一度時空移動しようと思ったが、できなかった。」

「悪魔は、滅ぼさなかったんですか?」

 僕は、訪ねた。

「悪魔は、理由は何であれ私達を作った。その悪魔を消すということは私達を消してしまうかもしれない。神もわかっていたのだろう。まあ約束は、破ってはいないな。」

「僕らは、どうすればいいんですか?」

「わからない。さあ、歴史を変える前に帰りなさい。戻れなくなる前に。」

「おじいさんは、この後どうするんですか?」

「世界が終わる前に悪魔にも突き立ててやるさ。こいつをな。さぁ帰れ。」

そういうとおじいさんは、左手を見つめた。

「でも、何かヒントを下さい。」

「ヒントか... 。これは、私の世界のおとぎ話何だが月には観測者がいるらしい。神も悪魔もいたんだ。もしかしたら存在しているのかもしれないな。」

「月にですか?」

「ああ。可能であればいってみるといい。今の時代では、無理だがな。さあ、私以外と接触しない間に帰りなさい。」

「ありがとうございました。」

 僕らは、誰にも見つからないようにシェルターを出て行き元の時代へ戻った。

 

再びマリーさんの家に戻った僕らは安堵した。

「よかった。元に戻れた。」

「なかなか大変だったわね。」

 そこには、見慣れた姿があった。

「おかえりー。どうやら無事みたいね。ユリスちゃんがいなくなってたからびっくりしちゃったけどまさか一緒にいってたなんてね。」

「本当にびっくりしまし...」

 そして経緯を説明しようと思った矢先に僕は再度気絶してしまった。」


「やあ、久しぶり。」

 また、あの夢だ。

「誰なんだ。」

「さて、神と悪魔を殺した存在と接触したんだね。どこまで聞いたんだい?」

 全く変な夢だ。

 だが、夢だとしてもひとつ気になることをいった。

「悪魔も殺せたのか?」

「おっと。知らなかったのか。」

「何者なんだお前は。」

「観測者には、会ったかい?」

「本当にいるのか?」

「いるよ。次の話しは、その後にしよう。」

 そういうと何も聞こえなくなった。出口を探しても何も見えない。そんなことをしているうちにまた声が聞こえてきた。

「さて、再びここに来たときにどんな約束をしてくれるんだろうな。君は。」

 

 そうしてまた半泣きのユリスと出会った。

「だからユリス泣くなって。」

「泣いてない。」

 やはり目が赤い。

「少年、大丈夫?」

 マリーさんが、声を掛けてきた。

「はい。また倒れてたんですか?」

 僕は、ソファーから起き上がる。

「うん。時空移動の疲れかもね。でも、ユリスちゃんから事情は聞いたけど本当にファンタジーみたいなことが起きてたんだね。信じられないけど。」

「みたいですね。」

「青い封魔剣が、神殺しの剣。赤い封魔剣が悪魔殺しの剣か。でも、変ね?」

 マリーさんが、悩みだす。

「変って何がですか?」

「なんで私には、両方効果があったのかしら。いえ、違うわね。なぜ、青い封魔剣が私達の魔力を吸えるの?」

「確かに変ですね。悪魔から作られたのなら赤い封魔剣しか人間には、効果がないですよね。」

「まあ、わかんないわ。少年、でもありがとう。少年のおかげで次に進めるわ。」

「次って?もしかして観測者に会いに?」

「少年、正解だよ。まだ、夜になってないから先に闘技場で戦っておいでよ。まだ、開始から3時間程度しかたってないから多分間に合うわよ。当然赤い封魔剣は禁止ね。」

「って、出場しないって連絡してないんですか!?」

 マリーさんは、とぼけた顔をする。

「ごめん。忘れてた。」

「あー!」

 ユリスが、突然叫び出す。

「どうしたんだ。ユリス?」

「忘れてたのよ。あのミリアって人あなたが何時間も来ないから不戦勝で優勝してブチ切れてたのよ。それをあなたに伝えようと思ってたの。」

「マリーさん、いかないという選択は有りですかね?」

「うーん。まあミリアとは長い付き合いだけどいった方が被害が少ないかもね。まあ、ご機嫌直しには、まだ間に合うわ。じゃあ、いってらっしゃい。」

 その言葉を聞いた後に気付けば闘技場にいた。そして、目の前には、無数の屍が積み上がっていた。いや、よく見ると死んではなさそうだが彼女は、そこに立っていた。すごい、笑顔で。


「やあ、君か待ってたよ。本当に長い間ね。」

「あの、ミリアさん?まずは、話を聞いてくれませんか?」

「私も聞きたいことことがあるんだが、聞いてもいいかな?」

 そういった後とてつもない衝撃波を放ちながら地面へ木刀を突き立てる。

 殺されるんだろうか僕は。

「はい。」

「私に殺される覚悟は、あるんだよね?」

 やはり、殺されるのか僕は。

「ミリアさん、信じてもらえるかわかりませんけどとんでもない事態になったんです。」

「どんなことになったんだ?」

 辺りには、見物客が多い。ここでいうのは、まずいだろう。

「いやそれは、ここでは言えません。」

 木刀を振り上げてさらに衝撃波を放ちながら地面に突きさす。

「どんなことになったんだ?」

 生まれて初めて女の子みたいな声が出そうになった。

「あっ後で必ず説明します。ごほんっまっまずは、これで話しましょう。」

 そして、僕は封魔剣を出した。これは、後から思うと失敗だったかもしれない。

「覚悟は、出来ているようだな。ならば望み通り地獄を見せてやろう。」

 全く望んでいないんですがといいかけたが更に怒らせることになりそうなのでやめることにした。

「全力でいきます。」

この1時間後、僕は地獄をみた後再度気絶する事になった。


激痛が走り僕は目覚めた。体が、ボロボロで動かない。

「本当にすまない。」

 ミリアさんが、隣に座っていた。思わずひぃっという声が、出そうになった。

「えっえーと。ミリアさん?」

「事情は、ユリスさんとマリーから聞いた。本当にすまない。」

 さっきまでの殺気は見事に消えていた。別人なのだろうか。そんなことを思っていると、ここで一つの問題が発生した。

「やばい。トイレに。」

「そうか。トイレはあっちだ。」

「いや、あの動けないんです。」

しばらく僕を見つめた後に口を開いた。

「わかった連れて行こう。」

 そういうとトイレまでおんぶされ便座へ座らされた。

「ありがとうございます。」

「後は脱がせばいいのか?」

 何をいっているんだこの人は。ミリアさんを見るとミリアさんは目を伏せる。

「いや、大丈夫です。それぐらい。」

 ベルトを緩めようとしたが、指に力が入らない。

「緩めてあげるから、手をどけて。」

「流石に恥ずかしいんで止めて下さい。やめっ。」

 必死に抵抗しようにも力が入らない。そんなときにマリーさんがトイレを運悪く通り過ぎる。

「ミリアあんたトイレで何やってるの?謝れとはいったけど、流石にそれはやり過ぎじゃない?トイレで襲うなんて。」

「マリー!!大体貴様が説明していればこんなことにはならなかったんだ!」

「無理よ。切れてるあんた何も聞こえてないし。」

 僕は、小さな声を出す。

「あの、トイレ。」

「大体、お前は昔からそうだ!」

「なによ!あんたが悪いんでしょ!」

「あの、そろそろ本当にやばい。」

 お願いだからお願いだから扉を閉めて!そして、そこに更に運が悪くユリスが通り過ぎる。彼女は、トイレに入ったかと思うとおもむろにズボンを掴み引き吊りおろした。

「はい。これでいいんでしょ?昔と対して変わってないわね。」

 そういった彼女は扉を閉める。閉める寸前彼女達の目線は僕の顔ではなく更に下を見つめていた。


絶望の中、僕は用を足し壁伝いにトイレからなんとか出ようとすると、扉の前から話し声が聞こえてきた。

「ユリスさん流石に今のは謝った方がいいと思うよ。」

 最初に聞こえたのは、ミリアさんだ。

「大丈夫ですよ。昔川遊びしたときに見慣れてますから。」

 ユリス、お前一体いつの話をしているんだ!若干笑うのを耐えているマリーさんが喋り出す。

「ふっふぅっふぅっ、ユリスちゃんちなみに昔っていつなの?」

「えっと5才くらいです。」

「ぷっぷっ。へぇーそうか。そっその時と対して変わってないんだ。」

「はい。全然変わってないですよ。」

 そこで二人が吹き出した。

「ダメだ。マリー。ふっぶっふっふっひっわっ笑うな。聞こえるっから。だっだめっだ。」

「そういうあんたこそ、ぷっぷっ笑ってるじゃない。さっ流石に少年これ聞いたら怒るから、ふっぷ。」

 ええ、全部聞こえていますよ。全部ね。

「ユリスさん、ふっふっわっ私はごめん先に戻るからまともに顔がみれない。」

「私も戻るわ。流石に今少年の顔みたら1時間は笑い続ける自信があるわ。」

 笑い過ぎだ。

「はい。わかりました。」

 しばらく時間が過ぎた。

「...。」

「ねえまだ?」

「...。」

「ねえ起きてるの?」

「...起きてるよ。」

「終わったんなら、早く出てきなさいよ。もしかして、出れないの?」

「先に戻ってろ。馬鹿が。」

「なによ。怒ってるの?あんたが、困ってたから助けてあげたんでしょ。」

「他にも方法は、あったはずた。」

「ないわよ。あれが最速よ。」

「いいから、先に戻ってろ。」

「わかったわよ。先に戻ってるから。」

どうやら、先にいったみたいだ。なんとか、トイレから這い出た僕は辺りを見渡すとユリスは、まだそこにいた。

「何だよ。まだ、いたのか。」

「...ごめんなさい。そんなに怒ると思わなくって。肩貸すわ。」

 結構反省しているようだった。だが、まだ許したわけではない。

「...。」

「ごめんなさい。でも、あの二人何がそんなに面白かったのかしら。」

 こいつわかってないのか?まぁ、昔からユリスは鈍感なところがあるからなあ。仕方ない。本当に仕方ないが。

「今回だけは、許してやる。次は、タオルでも巻いてくれ。」

「今度買っておくわ。」

「はぁー。」

 僕は、ここまで濃密な1日は初めてだ。思わず溜息が出てしまった。

ユリスと僕は、ゆっくり廊下を歩きながら話し出す。

「私、そういえば疑問に思ってることがあるの。」

「何が?」

 僕は、ユリスの方を向く。

「おじいさんが、青い封魔剣を作ったっていってたけど、おじいさんの世界では、私達の世界と違って赤い封魔剣が、普通だったのかな?」

「それは、そうなんだろうな。僕の封魔剣を見て驚いてたしね。」

「じゃあ、神様が勝った世界何だよね?」

 僕は、立ち止まった。

「どういうこと?」

「だって赤い封魔剣って悪魔殺し何でしょ?悪魔が、勝ってたらそんなもの使えなくするでしょ。」

「じゃあ、僕らの世界は悪魔が勝った世界だっていうのか?」

だが、確かに赤い封魔剣なんてみたことがない。でも、なんで僕は使えるんだ?

「それにさ、おじいさんなんで神様を殺したの?いえ、もっというと神様を殺すことができる封魔剣なんて人間に作れるの?」

「それは...。」

「もしかして、実は悪魔が生きていておじいさんを唆したんじゃない?」

「...。」

「私達も、実は悪魔に行動を制御されてるのかも。なんてね、ファンタジーすぎてほんと頭痛くなってきた。」

「いや、それはないよ。悪魔は、おじいさんが殺したらしいし。」

 ユリスは、不思議そうな顔をする。

「誰に聞いたのよ。そんな話?私知らないわよ。」

「いや、それは。いや、ごめんそれは夢だった。」

 僕は、頭を掻いた。

「しっかりしてよ。さぁ、部屋に戻るわよ。」

 ドアを開けるとソファーに座り目を伏せた状態のミリアさんと、明らかにこちらの方を見ないようにしているマリーさんが壁の方を向き立っていた。

「マリーさん、話しづらいんでこっち向いてください。」

 マリーさんは、後ろ向きで話す。

「少年、怒んない?」

「1時間も笑ったら怒ります。」

「やっぱり聞こえてたよね。」

「はい。」

「ふぅー。少年ごめん。」

 そこから、にやけ顔がこちらの方を向き僕の下へ視線をずらすとシュッと再度後ろを向いた。

「マリーさん?」

「だめ。このまま話す。」

「じゃあ、そのままでいいです。どうやって月にいくんですか?」

「ああ、それならいくつか考えてるけど今日は、中止かな。曇り空だから。」

 そういうと天井を指差した。

「そういえばマリーさん。マハド遺跡へいくことって出来ますか?」

「あそこは少年じゃ無理...いえ、ちょっと待ってそういえばさっき何かきてたわ。」

 マリーさんは、テーブルの上を探しだした。

「何を探してるんですか?」

「んー、あった。はい、少年Aランカー合格おめでとう。」

 そういうと茶色の封筒を手渡した。早く見せて見せてとユリスに急かされたので、急いで封を開けると金色でAとかかれたバッチとAランカーとかかれた証明書が入っていた。

「すごいわ、本当に取れたのね。」

「みたいだね。」

 これで、一つ目の課題クリアってとこかな。僕は、安堵した。

 「よし、少年さっそくギルドを作ってきなよ。」

 僕の肩をポンっと叩きながらマリーさんはいった。

「そうですね。よし、ユリスいこうか?」

 ふとユリスの顔をみると不思議そうな顔をしていた。

「何いってるの?」

「何いってるのってギルド作りたかったんだろ?」

「そうよ。でもあなた優勝してないじゃない。」

「なにいってんだよ。ほら優勝してなくてもAランカーになれたんだからさ作れるだろ。」

 僕は胸につけた金バッチをみせた。

「受付の人いってたでしょ。ギルドに所属してる人が優秀な成績を残せばつくれるってそれか闘技場で優勝して副賞で権利をもらえるって。あなたギルドに所属してないでしょ。聞いてなかったの?」

 まあ、確かにあまり聞いていなかった。言い訳になるが正直、ギルドを作ること自体にはあまり興味がなかったのであまり聞いてなかったのは認めよう。だが、こちらには強い味方がいる。事情を知ってるマリーさんがそんなへまをするはずがないじゃないか。

「マリーさんそんなことないですよね。」

「...。」

 マリーさんは、喋らない。

「あのマリーさん?」

「...。」

 マリーさんは、喋らない。

「あのマリーさん!?」

「...えーと、てへっ?」

 可愛くベロをだしたマリーさんがそこにはいた。

「マリーさんもしかして僕達は勘違いをしてたんですか?」

「ん~。ミリア先生どうでしたかね。」

「まあ、君の封筒にこのカードが入ってなければそういうことなんだろう。」

 そういうとミリアさんは、緑色のカードをだした。急いで封筒を逆さまにしたが何も入っていない。覗き込んでも入っていなかった。

「入ってないですね。」

 そういうとミリアさんは緑色のカードを僕に手渡した。

「はい、あげるよ。これできみもギルドがつくれる。だからさっき笑ったことと闘技場でまあ色々したことは許して欲しい。」

「全然全然許しますけど、本当にいいんですか?」

「ああ、ギルドを作る予定もない私から見たらいらないものだよ。」

「じゃあありがたく頂きます。でも人からもらった権利で作れるんですかね。」

 マリーさんは、分厚い本を読みながら喋った。

「少年今調べたけどその辺は大丈夫だよ。問題ない。」

なぜもっと早く調べてくれなかったのだろう。

「ミリアさんありがとう。」

 僕達は御礼をいった後、マリーさんの転送術でギルド本部へ送ってもらった。

 ギルド本部へつくと前回の時のおじさんは、いなかった。変わりにきれいめの受付嬢がいた。

「あの、ギルドを作りたいんですけど。」

 僕は、緑色のカードをさしだした。

「はい、わかりました。これは...このカードの登録者と違いますので本人へ確認を取ります。少々お待ちください。」

「はい。」

 そこから五分程度まつとどうやらミリアさんへの確認も終わったようだった。

「はい。確認完了しました。ギルド設立完了です。説明事項としては、今後5年間所得に関して税金が免除されます。次に3000万ギルまでは、補助金として贈与されます。ただし、使用に関しては、ギルドへの運用へ関係するものとしてください。ここまでで質問は、ありますか?」

 3000万?3000万ってあの3000万!?

「いえ、あのーえっと特にはありません。」

 すごすぎて質問事項が思いつかない。規制がかかったのも納得だ。

「お連れの方は、ギルドへ入会されるのでしょうか?」

 ユリスが、前に出てくる。若干緊張しているようだ。

「はい。」

「お名前は?」

「ユリスです。」

「ユリスさんですね。ランクは、Cとなっています。登録しておきます。危険地帯には、行けませんのでご注意お願いします。」

「わかりました。」

「その他細かい注意事項として、詳しいことはこのハンドブックの中にかかれていますので御確認お願いいたします。」

 まあまあ大きめのハンドブック2冊がでてきた。ミリアさんの家にあったのもこの本だろう。

「では、最後にギルド名は何になさいますか?」

 そうだな。まあここまで色々あって本当におとぎ話みたいだしこれにしよう。

「フェアリーテー...。」

「却下!」

 ユリスがいった。

「何でだよ!」

「どっかにありそうでしょ。それに可愛い感じじゃなくて強くてカッコいい名前にしたい!」

「じゃあなにがいいんだよ?」

「ふふーん。実はもう考えてあるの。ギルド名は南にいる最強のドラゴン...その名もドッコンカイザーエンペラーキングドラゴンからとって...」

「却下。」

「何でよ。まだきいてないでしょ。」

「恐らくダサい。まずドッコンって何だよ。」

「ドッコンは、ドッコンさんが見つけたドラゴンなのよ。」

「やっぱり僕が決める。」

「えー。絶対カッコいいのに。」

「んーじゃあ二人の意見を半分ずつ採用してドラゴンテールなんてどうかな。」

「まあ...ドラゴンテールか...及第点ね。」

 落第点から及第点までもっていったんだがな。

「では、ドラゴンテールでよろしいですか?」

 受付の人が聞いてきた。

「はい。お願いします。」

「これですべての登録作業は終了しました。」

 しばらくするとマリーさんの声が聞こえてきた。

「少年そろそろ終わった?」

「はい。」

「じゃあもどすよ。」

 次の瞬間には、見慣れた空間に戻っていた。

 

「少年、ギルドは作れた?」

「はい、なんとか。」

「ほい、じゃあプレゼント。」

 そういうとマリーさんからビンに入ったドリンクを貰った。

「えーと、これは?」

「まあ、のんでよ。」

「じゃあ、いただきます。」

 緑色の液体に口を付けると不快な味が口の中へ広がった。

「まずっ。何なんですかこれ!」

「んー体軽くなってない?」

 いわれてみると体の痛みが消えていた。まるで回復魔法みたいだ。

「回復薬ですか?」

「そうそう。ほんとは、私がやってあげたかったんだけど疲れてるから今日は無理かなっとおもって注文しておいたの。」

「ありがとうございます。」

「さあ少年準備は、オッケーだね。」

「はいっ準備はオ...」

 オッケーですと、言おうとしたときに玄関のほうからドアを叩く音がきこえた。

「誰かしら?」

「マリーはおるかー?」

 ん?どこかで聞いたことがある声だ。

「この声ゴンじいかしら?はいはいちょっとまっていまいくから。」

 そういうとマリーさんは、玄関へ向かっていったので、僕もむかった。そこにいたのは武器屋の店主だった。

「お主やはりここにいたか。約束通りスポンサーになりにきたんじゃ。」

 そういうと大きな本を出した。

「でも優勝はしてないですよ。」

「いい細かいことは気にするな。さあ、お主好きな武器を選べタダでやる。」

「ちょっとこんなところで商売モードにならないでよ。」

 マリーさんは、不機嫌そうにいったが、続けておじいさんはこういった。

「あの件は、本当大変じゃったのー。誰かに聞いてもらおうかの。どっかのバカが街の中心の...」

「わーーー。わかった。わかったから手短にね。」

 お爺さんが何かを言う前にマリーさんの大きな声でかき消されてしまった。一体なにをやったんだろう。

「さあ、選べ。」

 僕は、本のページをめくった。本には、武器の絵と性質や特徴などがかかれていた。

「この剣は、少しイメージと違うな。次のページは...ん?あれ絵しか書かれてない。」

「ん?ああ、これはダメじゃ。たっくこんなとこに入ってたんじゃの。まあ、この前のロストテクノロジーのおまけ何じゃがタダのガラクタじゃ。とばしてくれ。」

「え?」

「え?」

 マリーさんと声が揃ってしまった。

「ほれ、もうちょっとしたらドラゴンの牙で作った剣があるんじゃが、これが傑作での。」

「ちょっとこの剣見せてもらえませんか?」

「こんなガラクタみてもしかたないから次のページを...」

 お爺さんが、何か言おうとし時にマリーさんは本の中に手を突っ込んた。何かの魔法だろう。本から手を引き出すと白銀の剣をマリーさんは、握っていた。

「はい、少年。」

 マリーさんは、僕に剣を手渡した。

「マリーお主何するんじゃ。壊れたらどうする気じゃ。」

「少年がみたいって言ってるんだから早く見せなさいよ。」

 二人で口論をしている間に僕は、この剣を眺めていた。まず、特徴的なのは、刃がついていない。模造刀なのだろうか?

だが、この剣はあの場所から見つかっているのなら何かあるのかもしれない。

「この剣ください。」

「そんなガラクタどうするんじゃ。刃もついてない...」

「さて、少年も好きなもの選んだしさようならー。」

「マリーお主は、まっ...」

 何かを言おうとしていたが、あっという間にどこかへ消えていった。

「さて、少年うるさいのが帰ってくる前に遺跡に飛ばすよ。あっちには、話はついてるから。準備はいいね?」

「はい。」

「まあAランカーしかいけないけどそこまで危険なとこじゃないから大丈夫だよ。本当に景色もいいし青いのどかな海が広がってるしリゾート気分を味わってきなよ。じゃあ、いってらっしゃいー。」

 

 危険なところではない、そう聞いたその一秒後に僕は地獄を見たのだった。まず、火の玉が見えた。ユリスがふざけてぶつけてくるそんなかわいいものではなく確実に当たったら死ぬであろう赤い火の玉が僕の右側を通り過ぎ後ろの建物を吹き飛ばした。

「ドッコンカイザーエンペラーキングドラゴンだ。全員逃げろー。」

 どこかで聞いたふざけた名前は、ユリスの冗談などではなく本当にそこにはいた。そして、ここから逃げなければ僕は死ぬかもしれないと思うほどの凶暴さと強さを感じた。

「マリーさん。聞こえますか!?」

「...」

 どうやら聞こえていない。周りをみても青い海ではなく火の海だ。逃げる場所もない。ならば本当に仕方ないが戦うしかない。僕は、さっき手に入れた剣を両手で持った。そして、あの火の玉を消滅させるため青い封魔剣と赤い封魔剣と同時に発動した。

 発動した瞬間ドラゴンと目があった。大きな声をあげると大きく息を吸い込み風船のように腹を膨らませたかと思うとさっき見た火の玉の何倍もある火の玉をこちらに向けて放ってきた。

 

 斬りつけた剣が火の玉へぶつかると青い封魔剣は一瞬で消えてしまった。ただ、赤い封魔剣は火の玉を飲み込みあっという間に消してしまった。

 その光景を見たドラゴンは、こちらの様子を伺った後、翼を広げ空へ飛んでいった。

 逃げたのか?そんな感じではなかった。あれは、何かしかけてくる目だ。

「君!早く逃げるんだ。空から突進してくるぞ!」

 誰かの声が聞こえた。逃げるっていっても逃げ場所がない。

「マリーさんがいれば...」

「あれ?少年よんだ?ごめんトイレいってた。なに?忘れ物?」

「マリーさん早く戻...」

 僕が戻れば僕は助かるだろう。いや、僕しか助からないだろう。

「オッケーじゃあ戻...」

「まってください。マリーさんこの辺の人達を避難させたいんですけどできますか?」

「少年何の話?...状況がわからないからできないわ。」

 「じゃあ、僕を10メートル上へ移動させることってできますか。」

「それなら、できるけど少年どうしたの?」

「わかりました。」

「少年、今一体どういう状況なの?」

「ドラゴンに襲われています。僕が、合図したら10メートル上へ移動させてください。」

「ドッドラゴン!?わかったわ。」

 どこだ。どこにいる。神経を研ぎ澄ませ。いた!

 真上からとてつもない巨体が信じられないスピードでやってきた。まだだ。まだ早い。ギリギリまで引きつける。

「今だ!」

 地面へドラゴンが追突しとてつもない爆音とともに砂煙がまった。そして、僕は尻尾に乗っていた。

「少年大丈夫!?私も準備したらすぐいくから。」

「なんとか。マリーさんは、また僕を移動させる準備してください。もう、間に合いません!」

 ドラゴンは、再度空高くへ浮かぼうとしていた。

「...わかったわ。」

 僕は、尻尾へ剣を突き立てた。切れはしないが突き立てることはできた。ドラゴンの悲鳴が聞こえた。ドラゴンは振り解こうと尻尾を振り回したが、なんとか耐えきった。次の瞬間もうスピードで上空へ駆け上がった。下にみえる街が小さくみえた頃、突然動きが止まった。ドラゴンの魔力がつきたのだ。落下し始めた!?

「マリーさん!家に帰してください!!」

 次の瞬間、マリーさんの家のテーブルをぶっ壊し潰れた蛙のようになって倒れていた。

 

        「うぅ...痛っ。」

「少年!大丈夫...じゃないわね。はい、回復薬飲んで。」

「まずっ。」

 全員が僕をみて心配そうな目で見ている。だが、回復薬のおかげで多少痛みは、引いてきた。早くいかないと。

「一体なにがあったのよ。」

 ユリスが泣きそうな目で僕を見つめる。

「大丈夫だから。マリーさん早く戻してください!」

「少年。今度はミリアと私でいってくるから待ってなさい。」

「でも...。」

「でも、じゃないの。ユリスちゃんみててね。ミリア準備できた?」

 そこには、完全武装したミリアさんが立っていた。

「ああ、問題ない。とりあえず君が無事で良かったよ。休んでなさい。」

 マリーさんが詠唱を始めて数秒たった後二人は消えた。

「一体どうしたのよ。なんとか無事みたいだけど。」

「さっきいってたあのドッコイカイザーなんとかドラゴンってのがでて急に襲ってきたんだ。」

「本当にいたの!?伝説のドラゴンよ!本当にいるなんて思わなかったわ。不謹慎だけど、少しだけ見たかったな。」

「見るもんじゃないよ。危うく死にかけた。」

「でも、温厚なドラゴンなはずなんだけど伝説とは、違うのね。」

「ほんと、なんとか倒せたよ。」

「って倒したの!?それ...」

「少年ごめんやっぱりこっちきてくれる?」

 突然、マリーさんの声が聞こえた。

「まさか、まだ倒せてなかったんですか!?」

「そこは、問題ないわ。っていうかよく倒せたわね。こんな伝説ドラゴン。じゃ、少年呼ぶよ。」

 ふと、ユリスの方をみるといきたそうな目をしていた。

「ダメ、だからね。」

「もう、大丈夫何でしょ?一目だけでいいから。」

「...当然マリーさんダメですよね?」

「まあ、少しくらいいいんじゃない?じゃ飛ばすよ。」

「いいんですか!?」

 そういって数秒後には、さっきの海辺にきていた。そしてそこには、あのドラゴンが地面へ大きな穴をあけ倒れていた。

倒れていたが、意識はあるようだった。マリーさんの魔法で完全に捕縛されていたドラゴンは僕をじっとみていた。

「少年ごめんね。こんなにでっかいドラゴンだとは思わなくって。少し手伝って。」

「あれ、ミリアさんは?」

「近くの支部にいってるわ。このようすだとあるかどうかも怪しいわね。」

 僕達は、ドラゴンへ近づいた。

「返せ...」

 ん?

「ユリス何か言った?」

「いってないわよ。」

「返せ!!」

「うるさいな。マリーさん、さっきから誰かが返せって言ってませんか?」

「少年。打ち所悪かったのかもね。さっきからドラゴンがうなり声をあげてるぐらいしか聞こえないわよ。」

「まあ、ドラゴンが喋るわけないか。」

 僕は、更にドラゴンへ近づいた。

「お前もさっきの奴らの仲間か?許さんぞお前らは、皆殺しだ。」

「ドラゴンが、喋った!?」

「...お前、話せるのか。」

「今、話してるのは君であってるのか。」

「無事に返せば見逃してやる。だが、返さなければ皆殺しだ。」

「まってくれ。話が見えない。僕は、急に襲われたから戦っただけだ。事情を説明してくれないか?」

 ドラゴンが、じっと僕の方を見つめる。

「...すまない。確かにあの人間達の臭いがしない。私の勘違いだった。実は...」

 簡単に言えばこうだった。誰かが、ドラゴンの卵を盗み出しそれを取り返そうとしている。そして、もうすぐ竜王が到着すればここ一帯は消滅し海の中へ消える。

「...ってこと何ですけどマリーさんどうすればいいですか?」

「どうすればって何でドラゴンと話せるの?まあ、時間も無いようだしそこはいいわ。少年と話し出してドラゴンも落ち着いてるし信じるわ。ミリアに連絡をとってみるから、少年は、卵の特徴を聞いて。」

「まず、卵の大きさは?」

「あの岩くらいの大きさだ。」

「色は?」

「色は、この砂浜のような色だ。」

「マリーさん、大きさは3メートルくらいで色は白色から灰色みたいです。」

「わかったわ。うん、もうちょっとまってね。私も、いってくるわ。」

「私も探しにいきます。」

 ユリスがマリーさんとともに卵を探しにいった。

「ドラゴン、もう少しまってくれ。」

「...わかった。」

 しばらくたった後、水平線に黒い点が現れた。その数秒後に、目の前のドラゴンの倍はあるドラゴンが目の前に現れた。竜王が。

「...お前が、やったのか?」

 やったと言えば殺されるだろう。そんなことを考えていたら倒れているドラゴンが話し出す。

「まって。今この人間達が探している。この人間は、私達と会話ができる。」

「...わかった。少しの間まとう。で、これはお前がやったのか。」

 その竜王の尻尾は、倒れているドラゴンを指した。

「...まあ、そうです。」

「なかなか、やるな。ん?何か尻尾に刺さっているな。」

 竜王は、尻尾で器用に刺さった剣を掴むと眺めだした。

「...。」

「これは、お前のか?」

「...はい。」

「なかなか良いものを持っているな。よし、試しに壊してみるか。」

 竜王は、その一本の剣目掛けて様々な攻撃を放った。だが、壊れなかった。

「...。」

 これは、戦いになったら死ぬな。

「固すぎるヒビも入らんな。流石伝説の剣だ。返すぞ。」

 僕は返してもらった剣をまじまじとみたが、確かにヒビ一つ入っていなかった。

「この剣のこと知ってるんですか?」

「ん?その剣はこの世界で一番固い剣だ。さて、卵はまだかな?来るまで実戦といくか?」

「マリーさんまだですかー!?」

「少年あったわ。今いくから。」

 数秒後に、マリーさんは卵と共に現れた。

「これで間違いないかしら?」

「もっと近くに。」

 ドラゴン達も落ち着きを完全に取り戻した。ユリスが言っていた温厚なドラゴンというのは嘘ではないのだろう。

マリーさんから今回の騒動の詳細を聞くと原因は、盗賊が卵を盗みギルドの人達がそれを見つけ返そうとしたが返そうとしたらドラゴンに見つかってしまいまるで盗み出しているように見えたということだった。

 「今回は、世話をかけたな。これをやろう。」

 竜王は自らの尻尾を切り落とした。

「だっ大丈夫何ですか?」

「まあ、これぐらいは仕方あるまい。まあおそらく売れば人生1回くらいは遊んで暮らせるだろう。さらばだ、異なるものよ。」

 ドラゴン2体は、どこかへ卵を抱えて飛んでいった。今回は、疲れた。

「まさに、ギルド名らしい初陣だったな。疲れた。」

 僕は、砂浜に倒れ込んだ。星が綺麗だ。

「少年大丈夫?」

「はい。大丈夫です。」

 僕は、起き上がった。

「しかし、すっごいものもらっちゃたわね。」

「いくらくらいするんですか?」

「私も詳しいことわかんないけど100億ギルぐらいはするんじゃない?」

「へー。」

 100億ギルか。ん?聞き間違えたかな。

「すごいわね。ゴン爺に見せたら泣いて喜ぶわよ。」

「あの100億ギルって言いました?」

「ん?言ったよ?まあ売れないけど。」

「それだけあれば村に...売れない?売れないって言いました?」

「言ったよ。このクラスだと国宝扱いだよ。まあこの国の博物館にでも貸してあげれば毎年いくらかもらえるんじゃない?」

「いくらですか?」

「まあこの国貧乏だから毎年100万くらいかな。」

「...ユリスには、黙ってて下さい。なにするかわかんないんで。」

「オッケー。」

 その後、ここのギルドの人達が到着しお礼をいわれた。

「私の名前は、ドッコンです。まさか、あのまま倒してしまうなんてびっくりしたよ。本当にありがとう。」

 メガネを掛けひょろっとした男性が出てきた。ドッコン?もしかしてあのドッコン?

「あの、ドッコンさんがあのドラゴンを見つけたんですか?」

「いや、僕じゃないよ。僕のご先祖様さ。僕はドッコン13世だ。」

「そうなんですか。」

「さあ、みんな疲れているだろう。出来るだけお礼をしようと思って今料理を支部で作ってるんだがどうだい?」

 マリーさんが、急に話し出した。

「それだけじゃ、足りないわね。今回、この子がいなかったらこの島は、地図から消えていたのよ。料理なんていらないから3つの条件を叶えて欲しいの。」

「条件とは?」

「まず、マハド遺跡への全面立ち入りの許可。」

「マハド遺跡?あんなところに何しに?」

「出来るの?出来ないの?」

「...それなら問題ない。ただし、なるべく今日中に頼む。」

「オッケー。次に私と少年と後二人の大規模災害を防止した実績としてギルドへ支部名を使ってAランク取得への推薦。」

「それは、もちろん行うつもりだ。」

「オッケー。じゃ最後にこの尻尾を寄贈するつもりだけど出来るだけ高く毎年リース料払うこと。」

「まあ、復興で厳しいかもしれないがこれ目当てで観光客がくればある程度は、払えるだろう。善処する。さあ、条件は全てかなえるつもりだ。料理でも食べていかないかい?」

「少年どうする?」

「まあ、僕もお腹減りましたし30分くらいなら。」

「オッケー。じゃ飛ばすね。」

しばらく、僕達は見たこともない食べ物を食べてくつろいでいた。ミリアとユリスさん達は、なぜか男達に言い寄られていた。そしてマリーさんは...

「マリーさん、料理いらないっていったわりに一番食べてますね。」

「まあ、交渉術よ。交渉術。さて食べたし少年、日が落ちる前にいってきなよ?」

 僕が頷きマリーさんが少し詠唱を行った後、僕はあのシェルター前にいた。


「あなたが、例の人ですか?」

「うおっ。」

 誰もいないと思ってたのに急に話しかけられてびっくりした。フードをかぶって顔は良く見えないが声から察するに女の人だろう。

「えーとマリーさんの知り合い?」

「はい。今回は、私が護衛を勤めます。ドラゴンの件は本当に助かりました。まずは、これを着てください。」

 そういうとフードを手渡された。僕は、フードを着た。

「えーとこれは?」

「話は通してありますが、念の為、禁止区域に入るので顔を隠します。では、このボードに乗って私に捕まってください。では、移動します。」

「うおっ。」

 これ捕まらないのかなと思っているとボードが宙に浮き辺りの探索を開始した。

「どうですか?」

「さっき来たときと古くなってるけどあまり変わらないな?」

 そういうと急ブレーキをかけた。

「さっきもきたんですか!?」

「いやあの1000年前に。」

「変な冗談言いますね。まあ、嫌いじゃないですけど。」

 そういうと辺りの探索を再開した。特に面白くもなくただの廃墟と言う感じだ。

「最後にあの家行ってもらえますか?」

「わかりました。」

 あのおじいさんの家だ。僕達は、ボードに乗ったままドアをゆっくり開けた。

「お兄ちゃん。久しぶりだね。」

 あまりに驚いてバランスを崩して落ちそうになった。

「うおって君は、あの時の?」

 そう1000年前にいた子供だ。

 だが、ここにいるはずはない。

「誰と話してるんですか?」

「見えないんですか?」

「やっやめてください!幽霊とか苦手なんです。そういう冗談は、嫌いです。」

「お兄ちゃん。こっちきて。渡すものがあるの。」

「あっちに行ってもらっていいですか?」

「あっちですね。」

 そこは、特に何もない。ただの部屋だった。

「お兄ちゃんここの床壊して。」

「わかった。少し床壊しますね。」

「えっ壊しちゃだめです。あっ。」

 壊した床から何か出てきた。灰色の瓶に栓がしてある。

「なんだこれ。これは何なの?」

 誰もいない。あれは、本当に何だったんだろう。

「ちょっと見せて下さい。これは、大発見ですよ。さぁ早く帰って中の物をみましょう。」

 ビーっと何か機械音がなりだした。

「何の音?」

「警報システムですね。壊すから。でも、大丈夫です。マリー先輩。聞こえますか。そっちに送って下さい。」

「ぐぅー。ぐぅー。」

 まさか寝ている?

「先輩起きてください!」

「ぐぅー。ぐぅー。もう食べられない。」

「マリーさん!」

「逃げましょう。捕まったら牢屋行きです。」

 僕達は、急いで現場を離れた。しかし、特に追跡してくるものはいなかった。ドッコンさんがうまくやってくれたのだろう。しばらくするとマリーさんから連絡がきた。

「少年終わった?」

「マリーさんが寝てたから大変でした。」

「そうですよ。先輩。」

「ごめんごめん。まあ無事だったんだしね。じゃあ、少年は先に返すからフード着てるんだっけ早く脱いで彼に渡しなさい。」

 彼?彼女でしょ?そんなことを思いながらフードを脱ぎ僕は宴会場へ戻った。

1時間程度だっただろうか、僕は再度宴の席へ戻ってきた。

「少年あーん。」

「ちょっとマリーさん。うぐっ。」

 美味しいデザートかな。

「さて家にかえるかな。少年帰るよ。」

「ミリアさんとユリスは?」

「疲れて帰っちゃったよ。私達も帰るよ。」

「先輩待ってください。」

 後ろから声が聞こえる。さっきの彼女だ。振り返るとそこには、男物の服をきた彼女が立っていた。

「何で男物の服を着てるの?」

「男だからだ!」

 ええー!

 この顔と声で男なのか。色々ともったいない気がするな。

「ごめん。」

「まあいい。勘違いにはなれている。マリー先輩、約束守って下さい。それか、連れて行って下さい。」

 マリーさんは、渋々答える。

「わかったわよ。連れて行くわよ。」

「やったー!」

 こんなに喜んでいる彼女、いや彼をみると本当に女の子にしか見えない。マリーさんが、詠唱を唱え終わるとあっという間にマリーさんの家についていた。僕の意識以外は...。

「また、ここか。」

 暗闇のなか僕は宙に浮かんでいた。

「久しぶりだね。」

「さっきあっただろ。」

「ここは、時間という概念が存在しないんだ。だから、よくわからないんだ。」

「変な夢だな。で、何のようだ。」

「本当は、観測者と会うまでは会わないつもりだったんだけどね。君が面白いもの持ってるから見てみたくってね。」

「面白いもの?」

「この二つだよ。」

この二つ?いつの間にか僕の剣と遺跡で見つけた瓶は取られていた。

「返せ。」

 体が思うように動かないし見えない。

「すぐ返すよ。この剣は、特に何もない。...いや、この剣は硬さが変化するのか。それ以外はよくわからないな。はい、返すよ。」

 いつの間にか剣は、僕の元へ戻っていた。

「お前は、一体?」

「そして問題は、この瓶だな。ん?なるほど。なかなか面白い。僕でも確かにそうするか。はい、返すよ。」

 瓶も僕の元へいつの間にか戻っていた。

「この瓶は、何なんだ?」

「開ければわかるよ。またね。」

「おい、ちょっと待てっ。」

 気配が消えた。何なんだこの夢は。後ろから気配がする!さっきのやつだ。

「上手く定着したようだね。この時と。少し羨ましいよ。」

「おい、まってて。...また、気配が消えた。」

 おかしいな。今回は、夢から覚めない。いつもならユリスが泣いてるんだけどな。多分1時間くらいは、たってると思うんだけど。

暇だな。僕は、ライト代わりに封魔剣を発動した。何もない。というか床もない。やっぱり夢か。うーん、瓶でもあけてみるか。僕は、暇つぶしに瓶をあけて中をのぞき込んだが何もなかった。

「何もないっぁぁあああ。」

 頭に激痛が走る。これは、なんだ。この景色、あれ僕とユリスがいるこれはおじいさんの記憶?これは、あの後の続きだ。そして僕は激痛の走るなか記憶をめぐっていた。


 気がつくとユリスが思いっきり泣いて抱きついていた。みんなも心配そうに僕をみている。どうも僕は気絶したあと、うめき声をあげて暴れまわっていたらしい。

「大丈夫だから、そろそろ離れて。そういえば僕が持ってた瓶知らない?」

「ほんとに大丈夫なの?えーと瓶ならあなたが暴れて壊しちゃったわよ。特に何も入ってなかったみたいだけど。」

「そうか...。あのマリーさん、僕...夢を見ていたんです。ただ夢にしては、あまりにもリアルで...もしかして何か関係あるのかもしれません。みんな、聞いてくれませんか?ユリスにミリアさんも、そして君は...。」

「セインです。先輩夢の話なんて聞いてどうするんですか?」

「黙って聞いてなさい。」

 僕は、夢の中の出来事を話し始めた。

「少年は、もしかしたら記憶を一部引き継いだのかもしれないわ。」

「引き継ぎですか?」

「そう。少年の話が正しいとしたらこの星のコアにとてつもないエネルギーがたまっているわね。で、微妙なとこだけど悪魔が作ったシステムもおじいさんが悪魔を倒しちゃったからシステムだけが残っちゃったてわけね。」

「あの、先輩何の話してるんですか?」

「少年、このまま行くと少年が生きてる間は赤い封魔剣があるからいいけど、いずれこの星は、大爆発するかもしれないわ。」

「...先輩無視しないでください。って大爆発って何ですか!?」

「うるさいわね。黙って聞いてなさい。まあ大爆発かこの世界から魔力がなくなって生物みんな死ぬわね。」

 

 僕は、マリーさんに尋ねた。

「マリーさんどうすれば良いんですか?」

「これは、わからないわね。早急に月にいって見るしかないわ。少年、あと聞きたいことがあるんだけど、この剣で悪魔を殺したのよね。」

 僕が持っているマリーさんは白銀の剣を指差す。

「はい。おじいさんの記憶だとこれは固定化するもの...いや実体化させる事が出来るらしいです。神とか悪魔とか。」

「つまり少年が幽霊をぶん殴りたいときは、この剣を使えば出来るってことね。他に私に何かいってないことある?」

「他にですか?...ユリス、僕達が過去にいったとき僕にそっくりの子供がいたよね?覚えてる?」

「ええ、いたわ。そっくりだったわね。」

「もしかしたら、あれは、...僕だったのかもしれない。」

「少年、どういうこと?」

「おじいさんの記憶の中でわかったのは、おじいさんが実は悪魔の魂をもっていて、あの子供はこの時間軸のおじいさんだったっていうことです。つまりこの子供も悪魔の魂を持っている可能性がありました。そして、おじいさんは死の間際その子供をどこかへ転送しました。」

「少年、色々とすごい話ね。子供は、どこへ飛ばしたの?」

「わかりません。最後のところは、断片的でよくわからないんです。ただ、僕は子供の頃ユリスのおじいさんに拾われました。考えすぎかもしれませんが、それが赤い封魔剣を使える理由なのかもしれません。」

「...いずれにしても、大変なことになりそうね。」

マリーさんは、大きくため息をついた。ユリスが、僕の目を見て話し出す。

「でも、変じゃない?」

「変って何が?」

「まず、瓶は子供の幽霊みたいなのが瓶の在処を教えてくれたんでしょ?あなたがその子供だったら変よね?」

「まぁたしかに。」

「それに床の中に瓶が入っていたんでしょ?死ぬ前の人がそんなことできるかしら?」

「できないね。」

「それに悪魔の魂を持っているかもしれない危険なあなたをなんでこの時代に送ってきたの?」

「わかんない。」

「実はただの夢何じゃないの?」

「...。」

 実はたちが悪い悪夢かもしれない。そう思い始めてきた。シリアスな感じで皆に話していたが、ただの夢を話していただけならものすごく恥ずかしい。そんなことを考えていたらマリーさんが口を開いた。

「まぁまぁ、ユリスちゃん。ある程度は、魔法で説明できるわ。まず、幽霊みたいなのは幻覚をみさせる魔法ね。意外に自分の姿って客観的に見れないから他人の方が作りやすいのよ。」

 僕はよくわからないが頷いた。ユリスの方は、何か気にかかっているようだ。

「でも、そんなに長く魔法って持つんですか?」

「わからないわ。ただ...いえ最後に話しましょう。次に床の瓶だけど後から床の中に入れたんじゃなくて最初から入れておくの。その後にそれを媒体としてやればできるわ。」

「最後のは?」

「最後のは、一番やっかいね。本人に聞かないとわからないわ。あと、ただ...ってさっきいいかけたけど、私たちは過去を変えてしまったのかもしれないわ。」

「え?」

 僕はつい驚いてしまった。

「おじいさんは、子供を幻覚にしたのなら何か理由があったのよ。この時代にその子供を知ってる人。そして、推測だけど少年がいかなければ魔法は発動しなかったのかもしれないわ。限定型魔法の魔力は、消費し辛いの。」

「僕が?」

「そうね。少年が何か関係している可能性は高いわ。さて、こんなことをしていても次に進まないわ。まず月にいく方法なんだけど最初考えてた方法には無理があったわ。少年が寝てる間に色々テストしてみたんだけど難しいわ。」

「マリーさん、どうするんですか?」

「うーん。おじいさんはどうやってその話を知ったのかしら、もしかしたら誰かがいったことあるのかしら。」

「先輩。さっきから何の話何ですか。過去を変えたとか月にいくとか。」

「あんたまだいたの?そろそろ帰りなさい。私が送ってあげるわ。」

 マリーさんが、詠唱を始めた。

「まっまってください先輩。月にいく方法なら聞いたことがあります。」

 その言葉を聞きマリーさんは詠唱を止めた。

「...嘘じゃないわよね。」

「先輩、ほんとにほんとです。」

「どこにあるのよ。」

「わかりません。」

マリーさんは再び詠唱を始めた。

「マリーさん、話だけでも聞いてあげたらどうですか?」

 セイン君は高速で頷いた。

「ったく何を知ってるのよ。」

「先輩、ここから北の方にノイド山脈があります。」

「あの雪山ね。」

「はい。そのてっぺんに小さな祠があったんですけど人間が月に移動する壁画が書いてあったんです。まさかあんなところにあるなんて思いも知りませんよ。ドッコン先生すごいですよね。」

「目印は、置いてきたの?」

「いえ、あのドッコン先生が。」

「使えないわね。」

 若干セイン君は泣きそうになっていた。

「まあまあマリーさんセイン君のおかげでヒントもつかんだしドッコンさんに聞いてみましょう。」

「そうね。セイン連絡ぐらいは、取れるわよね?」

「ひゃっい。取れます。まだ寝てないと思うんで連絡してきます。少し待っててください。」

 そういうとセイン君は、詠唱を唱え帰って行った。


「マリーさんってセイン君のこと嫌い何ですか?何か当たりがきついって言うか。」

「少年、嫌いってわけじゃないのよ。ただ...」

 何か言おうとした時にミリアさんが話し出した。

「あれは、5年前だったかな。当時、彼の事を女の子だと思っていたマリーがいきなり...」

「ミリアーー!少し黙りましょうね。悪いことを言おうとしてるのはこの口かな!!」

 マリーさんはミリアさんの口を塞ぎだした。

「私は、ただほんっとのことを...言わないから手をのけてくれ。」

 マリーさんは、様子を伺いながら手をのけた。

「マリーさん、あの何があったんですか?」

「少年、知らなくていいこともあるのよ。」

 僕は、その言葉で思い出した。

「ミリアさん。この町の中心ってなにがあるんですか?」

「ああ、初代ギルド長の銅像がおいてあるよ。まぁ、レプリカだけど。」

「レプリカ何ですか?」

「昔、誰かが銅像を爆発させて粉々にしたんだ。ただ、次の週には元通りになっていた。犯人も目的もわからないまま終わった不可思議な事件だったよ。なあ、マリー。」

「へえー。」

 もしかして、マリーさんが犯人なんじゃないか。マリーさんの方を向くと、マリーさんの声が頭の中で聞こえた。

「少年。それ以上話すと夜スッゴいことするからね。」

 マリーさんは、すごい笑顔でこちらを見つめていた。

「はい、わかりました。」

「ほんとよね~。私も小さい頃だったからよく覚えてないけど変な事件もあるわよね。少年、何か気になることでもあったの?」

「いえ、なにもないです。」

 そんなことをしているとドッコンさんをつれセイン君は帰ってきた。

 

「やあ、セイン君からなかなか面白い話を聞いたよ。さあ、コートをきたらいこうと思うんだが誰がいくんだい?」

 ドッコンさんは、厚着のコートを着て話し出した。マリーさんは、少し考えているようだった。

「私と...少年がいくわ。ミリアとユリスちゃんとあとセインは、居残りね。まぁすぐ帰って来るから。」

「先輩、僕もですか!?」 

「あんたが来てもしょうがないでしょ。早くコート脱いで少年に渡しなさい。」

「ええ!?」

 セイン君は、渋々コートを脱ぎ僕にコートを手渡した。僕はあまりセイン君の顔を見ないようにコートを着た。

「さあ、出発するわよ。少年、準備はいい?」

「はい、ドッコンさんお願いします。」

「よし、準備はできたようだね。さあ、いこうか。ノイド山脈へ。」

 そこは、とてつもなく寒かった。息が真っ白になり本当に氷の世界だった。本当によくこんなところ見つけたな。

「ドッコンさん。これが、壁画よね。」

 マリーさんが、壁画を指差した。確かにこの祠から月に向かっているようだった。

「その通り。近年遠隔自動操作型の機械が出来てね。まぁ、各地に配置した中の一つが見つけたんだ。だが、この周囲を探してみたがこれ以上の発見はなかったよ。」

「それって月にも行けたりするのかしら?」

「それは、出来ないだろうね。空も飛べるが少ししか飛べないからね。」

「マリーさんこの辺りみてきていいですか?」

「少年、いいけど目の届く範囲にしてね。」

 僕は、壁画を見ながら進んだ。確かに月にいっている。ドーム型の施設があるようだ。ん?何か落ちている。それは、指輪だった。僕は、暗がりの中しゃがみこんで試しに指輪をはめてみた。

「マリーさん、指輪見つけました。誰かが落としたんですかね?」

 振り返るとそこには、誰もいなかった。僕は、周りをみた。

そこは先ほどの景色とは違い。無機質な空間だった。上を見ると青い大きな星が輝いていた。

「ここは?まさか、月?」

「そうです。ご主人様。」

僕は、声の主をみた。それは、ただの球体だった。その球体の言葉を信じるなら僕は月に来てしまったのである。

 

「ご主人様ってこの僕が?」

「はい。その指輪をしている方は、ご主人様です。」

 球体は淡々と答え出す。こいつが観測者か?

「ここで何してるの?」

「記録をとっています。」

「何の為に?」

「ご主人様が記録をしろと命じたのです。」

「僕が?」

「いえ、違います。」

 どうやら違うようだ。当たり前か。

「いつからとっているの?」

「1億1286年5カ月24日5時間25分前からです。」

 そんな前から何のためにとっているんだ?さっきの質問を少し変えてみよう。

「前のご主人様は、なんで君に記録を取れっていったのかな?」

「神と悪魔の討伐の為です。」

 ってことは、おじいさん?いや、時代が違う。

「悪魔と神の状態は?」

「活動停止中。」

「この星の状態は?」

 そこからは、マリーさんの予想通りだった。システムだけが残り暴走している。

「以上です。」

「他にこの星を危険にしているものはないの?」

「現状では、ありません。」

 言い方が気になるな。質問を変えよう。

「将来的に危険を及ぼす可能性があるものはないの?」

「悪魔は2体いましたが、そのうちの一体が突然消え1000年間存在を確認出来ません。」

 やはりあの子供...僕は悪魔の魂を持っていたのかもしれない。

「その悪魔は僕か?」

「いえ、違います。」

 違うのか?

「違う?」

「はい。存在を確認出来ません。」

 よくわからなくなってきた。次の質問に移ろう。

「どうやったらシステムは、無害化出来るの?」

「蓄積媒体の破壊、悪魔による制御停止又は封魔剣を使用したエネルギーの循環。ただし、媒体の破壊は星の連鎖崩壊の危険性有り。」

「封魔剣は、マリーさんがいってたやつか。このままだといつ崩壊するの?」

「およそ1年後です。現在、循環があり期間が伸びました。」

 1年後だって!?

 僕は2つの封魔剣を発動ししばらくの間重ね合わせた。

「これでどのくらい?」

「現在2年程度と予測されます。」

「ちなみに循環してなかったらいつ崩壊してたの?」

「昨日の時点で崩壊可能領域に入っていたのでいつ崩壊してもおかしくはありませんでした。」

本当にギリギリだったんだな。

「ちなみに限界まで循環かけてどの位持つの?」

「1000年程度と予測されます。」

 だからおじいさんは、僕をこの時代に飛ばしたのか?まずはマリーさんへ報告だ。

「どうやって帰ればいいの?」

「指輪を外して下さい。」

僕は、言われたとおり指輪を外した。外すと元の祠に戻っていた。

 

 「少年どこ行ってたの!?急にいなくなってびっくりしたわよ!」

「あのー信じてもらえるかわかりませんけど月にいってました。」

「少年寝ぼけてる?」

「寝ぼけてませんよ。この指輪を指にはめたら月にいってたんです。」

「うーん。確かに魔力を感じるわね。」

「やあ、見つかったのかい?外に出たのかと思ったよ。」

僕は、二人にこれまでの経緯を話した。

「非常にまずいわね。1000年間は、大丈夫そうだけど。」

ドッコンさんは、どうやら混乱していた。

「頭が痛い。頭を冷やしに少し、外に出てくる。」

「僕が未来にいって1000年ずつ魔力を循環させるのはどうですか?」

「うーん。案としてはいいけど少年が死んじゃうかもしれないわ。不確定要素が多すぎる。それにいつまで続けるの?1000年後?10000年後それとも100000年後?きりがないわよ流石に。」

 そんな話をしているとドッコンさんは、鼻水を凍らせて帰ってきた。

「少し冷ましすぎた。そろそろ帰ろう。もういいだろう。」

「もういいわ。ドッコンさん、お願い。」

ドッコンさんは、詠唱を唱えた。そして、再び僕の体だけがマリーさんの家についた。

そこは、いつもの暗闇だけが広がる空間だった。


「いるんだろ?でてこいよ。」

「やあ、観測者にあったんだね。」

「お前は、誰何だ?」

「君の心が壊れないくらいの昔話をしよう。今そっちにいくよ。封魔剣を発動してくれないか?」

「何の話だ?」

 僕は、封魔剣を発動した。向こうから青白い封魔剣が近づいてきた。段々と顔が見えてきた金髪に、それに...どことなくマリーさんに似ている。いや、そんなわけない。だが胸のあたりを見ると菱形の痣があった。

「まさか、マリーさんの弟?」

「半分正解。」

「半分?」

「そう残りの半分は、君だよ。」

「何をいってるんだ。」

「昔ね、この空間に魂と体が離れてしまった者が流れ着いた。」

「……」

「そして僕は、一つの案を思い付いた。僕は、この世界から出れない。ならこの子が変わりにでてもらえばいいって。」

「さっきから何をいってるんだ。」

「こういったら思い出すかな。…お兄ちゃん?」

 僕は、うろたえた。

「まさか、あの子供!?どういうことだ?」

「僕の魂と体を引き離し、君の魂を僕の体へ。僕の魂を君の体へってことさ。お互いが理外の存在となったから出来たんだけどね。その点は、君に死んでもらって感謝してるよ。ここまでは、大丈夫かい?」

「なんでそんな事を?」

「さっきもいっただろう。ここから出れない。僕の魂には、この世界の悪魔が住み着いているんだ。今は眠っているけどね。さぁ観測者の話を詳しく見せてくれ。」

 彼は僕の頭を撫でだした。何だか気持ち悪い。

「なるほど。まず、悪魔を起こすのはオススメしない。これは...まずは、君の持っている白銀の剣で僕を貫いてくれないか?」

 僕は、言われたとおりにやった。すると何か刺さった気がした。

「何だこれ?」

「やった。やったぞ!僕は自由だ!それは、悪魔だよ。その剣で叩き潰せ!」

 僕は、わけも分からないものを叩き潰した。そしてそれは、動かなくなった。

「これでいいのか。」

「よし。次は体を元に戻そう。」

 鏡?いや僕が目の前にいる。僕は、彼になっていた。

「何をした!?」

「これが元の身体だよ。やはり自分の身体が一番しっくりくるね。……さて、最後に君を殺して終わりだ。」

「何だと!」

「君には、感謝している。だから、ほんとの事を教えてあげよう。君は、本当に死んでいるんだ。つまり、魂と身体はあっても魂と身体をつなぐ精神がない。僕の精神のつながりだけを貸していたにすぎない。だから君は、マリーの弟ではない。誰でもない存在なんだ。」

「やめろ。」

「精神は1つしかない。つまりここからでれるのは一人だけなんだ。ここは、苦しい。何もない。こんなところで生きるよりは死んだ方がいい。」

「お前が決めるな!」

「そうだね。君はどうしたい?」

「お前を倒す。そして僕がでる!」

「そうだね。君と最後に遊んでいくのも悪くない。」

 僕は、落ちていた白銀の剣をさっととり間合いを取った。彼も赤い封魔剣を発動し構えた。

そして、戦いが始まり激闘の末…決着がついた…。…僕の勝ちだ。

「僕の勝ちだ。僕が出て行く。」

「わかってるよ。ほら、体を戻すよ。」

「も...戻った。」

 見なれた体に戻った。体は、少し痛く動きづらいが。まさか!?これが狙いか!?僕は、身構えたが相手は襲ってくるつもりはないみたいだった。

「そんなことしないよ。本当に...勝ちたかった。勝って外にでて色んなとこにいって冒険がしたかった。僕だって夢ぐらい見たっていいじゃないか!!」

 彼の虚しさが伝わってきた。

「...。」

「...君にさっきひどい事をいったけど。誰でもない存在ってのは、当たり前のことだよ。裏を返せば、君は君自身ってことだ。それにね、さっき確信した。僕の魂は、死んでいる。」

「え?」

「仮に外にでてもすぐに体は崩壊して死ぬだろう。でも、君には感謝している。悪魔を殺してくれたんだ。君に、2つお願いがあるんだ。僕が、今から赤い封魔剣と青い封魔剣を重ね合わせる。これで循環は、可能だ。その後、その白銀の剣で僕の体を貫き固定してくれ。」

「そんなことしたら...」

「いっただろ。この世界でいきるのは、苦しいって。終わらせてくれないか?」

「...もう一つは?」

「約束してくれないか?僕が、本来生きていたら出来たことを君にしてほしい。」

「わかった。」

「最後に聞きたい。君は、帰ったら何をするんだい?」

「僕は...」

 僕は、これからのことを話し出した。これからしたいこと、しなければならないこと、全て話した。

「そうか...ありがとう。」

 彼は、封魔剣を重ね合わせた。そして僕は...。

 


「少年どこにいってたの!?急にソファーに倒れ込んだと思ったら急に消えちゃって。みんな外に探しにいったわよ。」

「マリーさん。」

「どうしたの?」

 話すべきだろうか。僕の魂はマリーさんの弟だ。ただ、それだけ何だ。これを知ってマリーさんは、喜ぶのだろうか。悲しむのだろうか。

「マリーさん...後で部屋にいっていいですか?大事な話があります。」

 僕は、話すことにした。今まで起きたことを。

「うん?いいけど。まぁまずは、みんなに連絡ね。」

 みんなが、帰ってきた。僕のことを見ると泣き出した。ユリスは、本当に泣き虫だな。

「貴方びっくりしたわよ。急に消えちゃって。」

「君は、どこにいってたんですか?」

「とりあえず先輩から離れてもらっていいですか?」

「詳しい話を聞きたいんだが?」

 僕は、深呼吸した。

「もう深夜3時です。今日は疲れました。明日にしましょう。」

「少年のいう通りね。今日は、寝ましょう。ドッコンさんとセインは、戻ってくれる?後日連絡するわ。」

「先輩、僕もですか?」

「あんた、男でしょ。」

「そんなこといったら、彼だって...。」

「セインくん。今日は、帰りましょう。私達も復興があるのですから。」

「そう...ですね。」

 そういうと、二人は帰っていった。

「私もかえるよ。ポチの様子が気になる。マリー良かったら家まで返してくれないか?」

「わかったわ。」

 マリーさんは、詠唱を終えるとミリアさんも自宅へ帰った。

「ユリス。先にホテルに帰ってくれないか?少しマリーさんと話があるんだ。」

「わかったわ。私は、寝るけどもう消えたりしないでよ。」

「わかってるって。」

 マリーさんが、再度詠唱を行うとユリスは消えてホテルへ戻った。

 「で、少年話って何なの?」

 僕は、今までの経緯を話した。

「これが僕が消えてる間に起きたことです。」

「そっかぁ。」

「あのマリーさん?」

 やはりいうべきでは、なかったかもしれない。

「ごめん。今日は疲れちゃった。少年、一緒に寝よ?」 

「一緒にですか!?」

「ほらいくよ。」

 僕は、マリーさんのベッドの中に入った。

「やっぱり不味いですよ、マリーさん。」

「お休み。」

 僕も疲れが溜まっていたのだろう。いつの間にかねてしまい、気付けばお昼になっていた。

 「マリーさん、起きてください。もうお昼ですよ。」

「少年?もう平和になったんだし今日くらいいいじゃない?」

「そうですけど。マリーさんあの...昨日の話何ですけど。」

「少年、その話はいいの。少年は、少年だし魂だけでも生きてるってことがわかってなんか楽になったわ。話してくれてありがとう。さあ、もう一眠り。」


 そこから僕たちは幸せな日々が続いた。まず、僕は、ドラゴンの件で二つ目のAを獲得した。残念ながら他の人達は無理だったようだが今後の評価にはプラスされAランカーが取りやすくなるようだ。ただ、マリーさんが悔しがってギルド本部とドッコンさんへ抗議しにいくって聞かないのを止めるのは大変だった。

 そして、一番びっくりしたのは竜王の尻尾を見に観光客が激増したおかげで数年は1000万ギルを払ってもらえることになった。僕とユリスもギルドを成功させ村に病院を作ることに成功した。次の月には、お医者さんがいくことになっている。こんなにも早く達成できるとは、思わなかった。

 だが、この幸せは長くは続かなかった。すぐにその話をしてもいいのだが、あまりにもシリアスな話が、続いたので、まずはユリスとの冒険話を一つしよう。なかなか笑えると思う。当事者としては本当に大変だったが...。

  

 


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