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第10章 流れというもの

週末はそうやって、何の収穫もなく過ぎていった。

そして再び平日が始まった。


翔はいつものように朝を迎えた。

疲れがにじみ出る顔で目を開け、無意識のように手を伸ばしてコーヒーを淹れた。

3ショット。口の中は苦々しく、中は空っぽだった。


毎晩、薬の力を借りて目を閉じたが、彼はもう夢を見なかった。

何の場面も思い浮かばず、思い出すこともなかった。

ただ消えてからまた点く機械部品のように、何の感情もなく朝を迎えるだけだった。


出勤途中エレベーターの中。

翔はためらったが、静かに携帯電話を取り出した。

そして彼女に電話をかけた。

「このごろ··· 夢を見ることができません」

しばらく沈黙。 小さく続く均等な息遣い。


そして香奈の言葉。

「…意味のない連絡は控えてくださいと言ったはずですが」


堅苦しい話し方ではなかった。

むしろ、長い疲れの中から出た駄々のように聞こえた。


翔は静かに息を吸った。 何かもっと話そうとした瞬間、彼女が先に口を開いた。

「その都度反応する店ではありません。 流れがあります。 焦れば焦るほど、

むしろ遠ざかることもあります。ただ··· 任せてみてください。

ちょっとの間は、それでも大丈夫です。」


そして、電話を切った。


しばらくして、翔の携帯電話にメッセージが一つ届いた。


[松田·香奈]

これからこんなにすぐ電話されたら、出ません。

…でもメールぐらいは、たまに見てあげられますよ。


翔はその文字をゆっくりと読み上げた。

そして食卓の上のコーヒーを一口飲んだ。

口の中は依然として苦い。


しかし、心は—

ほんの少し、苦くなかった。

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