86. 女の戦い
陸程文は物置部屋に歩いて行き、徐雪嬌を引っ張り込んだ。
息を吐いた。
「危なかった。」
徐雪嬌は笑った。「そんなに彼らが怖いの？」
「何を言ってるんだ！」陸程文は言った。「あの連中は皆、特殊な技を持った山奥の人間で、武術が高く、俺を殺すのに二の手も要らない。」
徐雪嬌は言った。「彼らは私たちを信じてくれると思う？」
「たぶん信じたはずだ。」
陸程文は言った。「でなければ、とっくに飛びかかってきて説明してるだろう。」
「じゃあ次はどうする？」
そうだ、次はどうする？
洛詩音はプレジデンシャルスイートで待っており、銅坨王の三人もこのホテルに泊まっている。
【彼らは打ち合わせをしていたのか？もしそうなら、俺はもう演じきれないかもしれない。】
【洛詩音一人でも手強いのに、さらにこの三人の高手が加われば、俺は全身全霊で逃げるのは難しい。】
【ダメだ！危険すぎる。まず雪嬌を逃がさないと。彼女を巻き込むわけにはいかない。】
陸程文は考えて、突然笑った。「雪嬌、万全の策を思いついた。」
「え？」徐雪嬌は全て聞いていたので、もちろん陸程文が自分にリラックスした演技をしていることを知っていた。「聞かせて。」
「こうだ、君はまず帰って、家で俺の合図を待って。俺が準備できたら連絡する。」
徐雪嬌は彼を見た。「私が心配なの？」
「そうじゃない、俺には計画がある。」
「もう！計画なんてないでしょ、私が心配なんでしょ？正直に言ってよ。」
陸程文は言った。「どうして人の話が聞けないんだ？計画があって、君の助けが必要なんだ。」
「もう！心配なら心配って言えばいいのに、計画なんて言い訳しないで。ねえ、ここには誰もいないよ。私を抱きたいの？ここで？」
陸程文は徐雪嬌の意図を知っていた。「もういいよ、出よう。」
「ふふ。」
陸程文は急いで鉄坨王たちにメッセージを送り、状況を説明した。
そして、プレジデンシャルスイートの前に直接行き、徐雪嬌を見て。「中に入ったら俺の目配せに従って。」
「わかった！」
ドアベルを押すと、洛詩音がドアを開け、徐雪嬌を見て一瞬驚いたが、すぐに笑った。「お二人さん、どうぞお入りください。」
陸程文は中に入り、ソファに座った。「さあ、何の用だ？」
「何か飲みますか？」
「余計なことはやめて、用件を言え。」
「別に用事はないです。ただ、あの日助けてくれたお礼に、また会いたかっただけです。」
陸程文は言った。「冷清秋にいったい何をした？」
「彼女どうしたの？まだ起きてないの？陸お兄ちゃん、本当に彼女がなぜ突然気を失ったのかわからないんです。血糖値が低すぎたのかもしれません。」
陸程文は考えた。「これからは俺を『若様』と呼んでくれ。他の呼び方は聞き慣れない。」
「ああ、若様、そんな呼び方がお好きなんですね。若様？」
徐雪嬌はもう洛詩音のこの騒々しい態度に我慢できなかった。
この女はまさに全世界の女の敵だ！
どんな女でも、彼女の母親でさえ、彼女の親友でさえ、100%陰で彼女を「あの淫乱女」と呼ぶだろう。
いや、彼女の母親でさえ、自分が淫乱な娘を産んだと思うかもしれない。
この女はまさに極致の淫乱女だ！
見た目は普通で、立ち振る舞いも特別変ではないが、ただただ緑茶と淫乱女の雰囲気を漂わせている。
このような女は男にとっては極上の女神だが、女にとっては極上の高級淫乱女だ。
淫乱女というのは、高級であればあるほど、同性からの恨みを買う。
みんな女なんだから、あなたが何を考えているかわからないわけないでしょ？何を装ってるの？
ただのバカな男たちだけがあなたを聖なる女神だと思っている。私たちの目には、あなたはただの計算高い女、緑茶女、淫乱女……女の中の女だ！
徐雪嬌は負けずに、心の中で罵った。
今日は戦闘服を着てくればよかった！
シンプルなミニスカートにタイツじゃ、この女には勝てない！
この女、なんと大きなバックのドレスを着て、高級アクセサリーで飾り、特にそのハイヒール、どうしてあんなに足が長く見えるの？
恨めしいけど、この淫乱女のスタイルは本当に文句ない。この足は私でも羨ましい！
悔しい！
洛詩音は徐雪嬌を見て、上から下まで見渡し、心の中で考えた。
ふふ、もう20歳くらいかしら？
まだまだ青いわね、ふふ、天真爛漫なプリンセスドレスね、ふふ；綿のタイツ？幼稚だわ。
でも靴が一番単純ね。
小娘さん、ファッション誌を何冊か読んでから出直してきなさい！
こんな格好で、私と男を取り合おうなんて、ちょっと子供だましじゃない？
私のこの格好なら、あなたを一瞬で倒せるわ。
女同士の戦いは、ほとんど相手が何を考えているかわかっている。
徐雪嬌は洛詩音の目を見て、彼女が自分の服装が幼すぎて、成熟した女の風格がないと嘲笑っていることを知った。
徐雪嬌は冷ややかに笑い、胸元のボタンを二つパチパチと外し、中で扇いだ。「この部屋、暑いわ！」
陸程文は女の戦いを知らない。
彼が気にするのは現実的なことだ。彼は用事をしに来たのであって、あなたたちが何を着ているかちらっと見ればそれで終わりで、心には留めない。
「みんな大人なんだから、お互いにごまかし合うのはやめよう。はっきり言って、何が欲しい？どうすれば冷清秋を救う気になる？あなた……」
陸程文はその時、横を見て、一瞬固まった。
徐雪嬌には二つの特徴がある。一つはロリータ風を完璧にこなし、本当に高校生のように清純で、賢く、可愛らしい。
二つ目は胸が本当に……爆発的だ。
童顔巨乳、まさに彼女のことだ。
今、胸元のボタンが二つ外れ、中を覗くと、二つの白い大きなボールが半分以上見え、白くて眩しい。
陸程文の頭は一瞬真っ白になった。
心の中で思った。
【いいボールだ！このガキ、何を食べて育ったんだ？どうして全身の肉が一箇所に集中してるんだ？】
【マジか、普段は服に包まれてるからまだいいが、これが突然猛虎出柙だと、マジで目の保養だ！】
【片手で握れるか？無理だな！これで揉み回し放題だったら……】
陸程文の頭がぼーっとしているのを見て、徐雪嬌は自分が勝ったと思った。
顔に得意げな笑みを浮かべた。
洛詩音は驚いた。
また聞こえた！
幻覚じゃない！
陸程文の心の声が聞こえる！
この男……ボールで遊ぶのが好きなのか？
洛詩音は思わず自分の胸を見た。無駄だ、この点では、どうやってもこの小娘には勝てない。
くそ、この娘はどうやって育ったんだ？どうしてこんなに変なの？
細い腕、細い足、くびれた腰……なのに胸だけはこんなに強い！
悔しい！
おいおい？私に挑戦してるの？
洛詩音はまた陸程文を見た。もうぼーっとしていて、目は徐雪嬌の胸元をじっと見つめ、首も固定されている。
徐雪嬌は春風のようにはしゃいでいた。
小娘には大殺器がないと思ってる？程文兄のような大変態は巨乳が好きなの、ふふ、偶然にも本小姐にはその資本があるの、不服？お母さんのお腹に戻って再生してね！
洛詩音の心はこの恨み。
突然ドレスを片方にめくり上げ、上品にソファに座り、優しくティーカップを捧げ、穏やかな笑みを浮かべ……
しかし、両足は揃えて、地面と45度の角度に……
陸程文は思わず振り返った。
【マジか！】
その二本の真っ直ぐで長く、曲線美のある足が揃って、少しずらして、ハイヒールの装飾も相まって、まさに人に無限の想像を抱かせる。
でも今は太ももまで見えている。女の最も神秘的でセクシーな殺し屋！
特に太ももの付け根の曲線は、こんなにも魅力的で、こんなにも人を夢中にさせる。
本当に男に無限の想像を抱かせる！
【ダメだ！もうダメだダメだ、この女のスタイルは良すぎる！】
【太ももの付け根の黒いガーターが、完璧に太ももの形を飾っている。マジか！】
【どんな女でも、この二本の長い足があれば、男を膝まづかせるには十分だ！】
陸程文はまたじっと洛詩音の太ももの付け根を見つめ、口はロボットのようにぶつぶつ言った。
「俺は冷清秋を救いに来たんだ。彼女は俺にとって大切なんだ……あなたは……」
洛詩音は少し動き、姿勢を変えた。
陸程文の呼吸も乱れ、洛詩音の動きに合わせて、声はさらに棒読みになった。
「解毒剤を……出して……くれないか……」
勝利の果実を奪われたのを見て、徐雪嬌は悔しがった。
今度は洛詩音が得意げになった。
小娘さん、ただのボールだけで私に勝とうなんて、まだまだだわ！
男はみんな同じで、最も夢中になるのは女の足。胸に関しては、そんなに大げさでなくても、適度でいいの。
この道理を、今日お姉さんが教えてあげるわ、無料で。
ふふ。
徐雪嬌は悔しさで息が荒くなったが、振り返って陸程文の色っぽい目を見て、心も悔しかった。
だらしない程文兄！私に足がないとでも！？
ダメ！
誰に負けてもいいが、この女には負けられない！
徐雪嬌は立ち上がり、一気に上着を脱ぎ、プリンセスドレスを引き裂いた。
陸程文は驚いた。
「おい、何してるんだ？急に服を脱いで？それに自分のスカートを引き裂いてどうするんだ？」
「ほっといて！」
徐雪嬌は心の中で思った。この狐女と張り合うぞ！
確かに、徐雪嬌は天才だ。
女の子は、男の子を誘うのはほとんど無師自通だ。
そして女同士の戦いは、さらに無限の創造力を発揮する。
特に徐雪嬌は学生時代から古霊精怪で、彼女にからかわれた男の子は数えきれない。
徐雪嬌のスカートは引き裂かれた後、完全に形を変えた。
プリンセスドレスはストラップドレスになり、上半身は肩、鎖骨、胸元が大きく露出し、下半身も太ももが見え、中間は平らなお腹とくびれた腰が露出した。
今の徐雪嬌は、ある種の特別な美しさを持っている。
正確に言えば、セクシーさだ。
美しさを打ち破るセクシーさ！
陸程文は清純なプリンセスドレスが引き裂かれた後、こんなに殺傷力があるとは思わなかった。
今の徐雪嬌は完全に雰囲気が変わり、清純で賢い美少女から……清純なミニスカートを着て、服を引き裂かれた……男に見せれば血が沸き立つ……他のパーツも引き裂きたくなる……
とにかく男の暴力的な幻想を引き出す完璧な美女になった。
陸程文は口を半開きにして、もう思考能力を失っていた。
徐雪嬌はふりをして、かわいらしい声で言った。「程文兄、好き？」
そう言いながらソファに縮こまり、足を揃えて引き寄せ、人差し指を口に入れ、軽く噛んだ。「また私をいじめるの？」
陸程文はもう頭がなかった。
彼はぼんやりと頷いた。「次はこうして、マジで……完璧だ。」
徐雪嬌は振り返り、洛詩音を見て、心の中で思った。
私と張り合おうなんて？
姉さんは言っておくが、天下の女を全部束ねても、私一人には敵わない！
洛詩音の頭はガンガン鳴り、悔しさで七転八倒した。
私、堂堂の洛詩音、欲女派の唯一の伝承者、男を殺し、男を殺し、男を殺すトップクラスの色仕掛けの女神……
あなたのような北国の小娘に負けるだと！？
洛詩音の目は冷たくなり、姉さんは今日あなたと最後まで戦う！
洛詩音は髪の簪を引き抜き、髪を下ろし、少し乱れさせ、そしてビリッとドレスを真ん中から引き裂いた……
陸程文はビリッという音を聞き、振り返った。「おい、また何してるんだ？」
陸程文はやっと気づき、急いで立ち上がった。「おい、君たちは何をしてるんだ？どうしてまた服を脱いでスカートを引き裂いてるんだ？君たち……」
すると、二人の女は同時に、威圧的に叫んだ。「余計なこと言うな！黙って座って見てろ！」
陸程文はもうぼうっとしていた！
頷いた。「ああ。」
そして座り、頭の中で突然一つの問題を思い出した。
あれ？今日……俺は何をしに来たんだっけ？
何だっけ？
あっ！見えた！パンツ！紫だ！
俺は本当にダメだな、こんな時にどうして気が散るんだ！？
