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インターミッション 1.5

帝国統一歴709年1月某日 首都惑星都市 マリーエンの某所


ヴァネッサは、ようやく現れた変人アレックをいきなり睨みつける。

そしてこの間に蓄積された怒りを、その根源とも言える変人アレックにぶつけるが如く怒鳴りつけた。

「あなた!・・・わたくしの許可がある事をいいことに、随分とやらかしてくれたわね!」

対するアレックは飄々(ひょうひょう)としている。

「これは異なこと・・・お嬢様。私はお嬢様の願いを叶えるべく、お嬢様に最大の利益をもたらすべく行動したのみですが?」

しかしヴァネッサも引き下がらない。

「仮にそうではあっても、ものには限度と言うものがあるでしょう?いったい・・・この大混乱にあるの星系世界の現状はどういう事?」

でも変人アレックだって引き下がる事はありえない。

このやり取りは、ずっと以前から続いて来た"私とお嬢様"とのお約束なのだから・・・。

「これは異なこと・・・お嬢様。私の休暇取得・・・もとい、私は・・・マリーエンブルクとお嬢様とノエル様にとっての、最良の結果をもたらしたはずですが?」

変人アレックの職場環境について、確かにいくらかの責任があるヴァネッサはそれを認めつつも、"じゃあこの収拾をどうつけるのだ"と追及する。

この展開を予想している変人アレックも、ちゃんと答えも用意している。・・・流石である。

「・・・お嬢様たちのファースト・ミッションは、多分ロタリンギア領になったのでしょう?・・・でしたら、私にもいくらかお手伝い出来る事はあると思います」

ヴァネッサは少々疑いながらも、その怪しげな提案について説明させる。

「・・・。ろくでもない提案なら当然却下だけれど、もし・・・ノエルさまの助けになる提案であるならば、少しだけ話を聞かないでもない・・・」

待ってましたとばかり、変人アレックはその構想をヴァネッサに説明する。

「ロタリンギアへの浸透手段については、ノエル様その他皆様の英知にお任せしますが、私の出番はその後かと考えます」

ついつい引き込まれるヴァネッサ。

「・・・具体的には?」

そこで自信満々の変人アレック登場。

「皆様方の最大の懸念であるはずの、ロタリンギアでの活動拠点と活動環境を私は提供できるかと・・・」

変人アレックへの敗北を悟ったヴァネッサは、已む無く・・・具体的な計画についての説明を受ける。

「・・・判りました。それはそのように進めることを承認します。・・・ただし!くれぐれもこれ以上の余計なやらかしをしない事!これは絶対!いい!」

しかし変人アレックは、やはり飄々(ひょうひょう)とヴァネッサの念押しを躱すのだ。

「これは異なこと・・・。私の記憶によれば、お嬢様の利益につながらない余計なやらかしなど、私は・・・過去ただの一度もやった記憶はないのですけれども?」

ヴァネッサはこれ以上のやり取りは"時間の無駄"とばかり、会見終了の言葉を告げてその部屋を後にする。

「・・・アレック。わたくしなら・・・あなたの記憶状況の正当さを確認するためにも、あなたには先に精神科を尋ねるように推奨するんだけどね」

アレック「・・・」


ともあれ・・・。

変人アレックは、次の間に控えていた彼女に対し、おもむろに声をかけた。

「・・・と言うことで、またもや私の正常な精神状態を確認するためだけの、新たなミッションが始まったという訳です」

いつの間にか変人アレックの傍に控える彼女は、変人アレックに返答する。

「・・・お任せいただければと。この想定は随分と前から準備しておりましたから・・・。所詮星系世界とは・・・たかが五つしかない狭い社会ですから・・・」

そう嘯く女性は余裕たっぷりに、変人アレックの要請についてその結果をも請け負う。

そして変人アレック自身も、自身の人選については絶大なる自信を持っているのだ。

「信頼してますよ・・・。これくらいのミッションがこなせなければ、到底あなたをお嬢様に推薦など出来ないのですから・・・」

そして二人は同時に片方はニヤリと口角を上げ、もう片方はたおやかに微笑む。

「・・・わたくしはいつだって、アレック様にご満足いただけるよう、わたくしの持つ能力の全てを示して来たのですから・・・。"乞うご期待あれ"と言うべきでしょうね」

変人アレックも彼女の言葉に頷きながら、彼女に言葉をかけその部屋を後にするのだった。

「私は、そこを疑ったことは・・・これまで一度もないのですから。なので・・・今度も期待してますよ。・・・"ジョアン・ダーク"さん」

部屋に残った彼女は独り微笑み、そして独白する。

「・・・わたくしにとっては、競争相手ライバルに"負けました"と言わせることが、わたくし唯一の存在意義であるのですから・・・。そう・・・その勝利条件とは、わたくしが周り全ての期待の斜め上を行き、"彼"に決定的な敗北を悟らせて、"参った!どうか私と結婚してくれ!"と言わせることなのです」

そう嘯く、彼女"ジョアン・ダーク"は・・・他領ではどうやら別の名前であったかも知れない彼女は・・・最後にその部屋を後にするのである。

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