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『繋がり』



「世界はひとつでは無い」



焦げ臭い焦土の匂いが充満する大地の中、一人の男が真紅の髪の毛とあちこちが汚れた軍用コートを火の粉に混じる風になびかせながら目の前伏せているにいる青年に話し掛ける。



「君はそれをその目で見てきたのだろう?」


「……」



青年の服はあちこちが焦げ、青年もまた火傷をあちこちに負っていながらも立ち上がろうと力みを入れる。



「全ての世界には物語がありその流れを正しく遂行するのが君の任務だったが……」



男はゆっくりと地面を踏みしめて、青年へと近づきしゃがみこむ。



「君はどうやら、任務より信念を優先した様だな」



男はそう言うと青年に背中を向けて立ち上がると、煙草をくわえ指先から出した火をつける。



その時だった



「……『バインド』」



青年がそう呟いたか思うと男は黒いロープの様なエネルギー体に縛られ、身動きが取れなくなる。



「……やはり、諦めないか」



男は苦笑しながら自分の身体に巻き付いたロープを見つめると、青年の方へ視線を向ける。


そこには、ボロボロになりながらも立ち上がり、右手を前に突き出しロープを握り締める青年の姿だけがあった。



「……世界の繋がりを絶つなんて許さない……必ず止めてみせる!」



青年は歯を食い縛りながら男に向かって叫ぶと、更に血が滲んだ手に力を込める。



「……ゼノ、短期間でここまでとは」



男はそう呟くと同時にフィンガースナップの予備動作に入ると



「『インフラマラエ』」



と、唱える。すると同時にパチンという音と同時に指先から火花が散り、男の全身が炎に包まれる。


そして、その炎はみるみると勢いを増していき青年も思わず後退りする程だった。


しかし、それでも青年はその手を離す事は無かった。



「今度こそは逃がさない!!」



そう叫びながら必死に堪えるがその力は長く続きそうは無い。



「……もう一度よく思い出せ」



炎の中で男は静かに語りかける。



「お前がどこから来て、どうしてこうなったか」



男は青年の目を見ながら言葉を続ける。



「自分が何者なのかを思い出して、その上で答えを見つけろ、ゼノ!」



その瞬間炎の勢いが増し、遂にロープを焼き切り、男を豪炎で包み込む。


そして、あまりの暑さに青年は顔を歪めながら炎の中の男を探す。



「ハァ……ハァ……」



息を整えようと呼吸を繰り返す度に熱気が喉を痛めつける。


そして、遂に視界が歪み始め、意識もやや朦朧として来た。



(まるで、あの時見たいだ、あの……時)



青年の意識は過去へ逆行し始める。

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