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金魚と共に、初恋にさよならを

作者: さんっち

趣味は創作小説投稿、さんっちです。ジャンルには広く浅く触れることが多いです。


自分がお金や時間をかけたい!と思うモノに出会うまでが、1番大変ですよね。

私は女子大生。新歓で出会った彼と付き合い、数年間それなりに上手くやってた。


人生初の彼氏でさ。ちょっと良い女であろうと、やったことない化粧やら衣服に力を入れて。日々雑誌でオシャレを突き詰めて、男受けする女子を研究しまくった。デートスポットも、彼の好きなモノも、必死に追いかけた。


完全に思い込んでいたの。相思相愛だって、絶対に結婚するって。



「なんか、思ってたのと・・・俺が欲しい彼女と、違うんだよな」



数日前、一方的にフラれるまで。ショックで昨日、一昨日と引きこもり。あーちょっと動かないとな、と夏祭りにやって来た今日。


完全に計画が狂っちゃった。この夏、一緒に生きたい場所が沢山あったのに。この夏祭りも、一緒に行こうねと約束してたのに。


食べる気も遊ぶ気も無くて、フラフラと彷徨いてた。


あ、金魚すくいだ。ペット禁止の家だったから、近寄ることも無かったけど。先客の女の子は、袖口を濡らしながら挑戦してる。


「あっ、黒い子捕っちゃった。赤い子が欲しかったのに!」


ぶーぶー言っていたら、お店の人に交換して貰えたみたいね。追いやられた黒い金魚は、次第に端っこに行ってしまった。


なんか、私みたい。偶然私を手に入れたアイツが、欲しいのと違ったからと捨てられたみたいで。ふてくされて、縮こまって、消えたくなって。



・・・気付けば数百円を使って、その子を捕っていた。正確には、捕ってもらったけど。



水の入った金魚袋をぶら下げて、私は1人夜道を歩く。さっきまでと打って変わって、狭い中でも悠々と泳ぐ、黒い金魚。


ろくに酸素のない狭い世界じゃ、命は長くない。私も、魚を飼った経験なんて無いし。


でも何故かこの子は、長生きさせてやりたい。あの子の好みじゃ無かっただけ、アイツの好みじゃ無かっただけ。それを証明してやりたくて。


帰ったら部屋と連絡先を整理、金魚の育て方も調べなくちゃ。


一段落したら、好きなことをしまくろう。我慢してたラーメン巡りも、大好きなオタ活も再開しよう。



それくらいで乗り越えられる失恋でした。


これからが、ちょっとだけ楽しみになった。


読んでいただきありがとうございます!

楽しんでいただければ幸いです。

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