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片腕お姉さまと地を転がる少年  作者: 渡辺ファッキン僚一
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なんとなく孤独になっているという状態でありたい。

 目に見えない壁ッ!




 もしくは目に見えないオーラ!




 みなさんご存知でしょうか?




 教室での私はそういった防御壁に強固に守られているです! やったー! 何物も恐くないッ!




 その防御効果たるや、あらゆるクラスメイトが距離を取って敬語で話しかけてくるレベルなのです! すっごーい! かっこいー!




 必要な用事がなければ、誰も私には話しかけてこないのです。




 休み時間には図書館で借りてきた文庫本を読んでおります。




 昨日までは『君の膵臓をたべたい』を読んでおりました。




 今日から意を決して『ドグラ・マグラ』を読んだろうかと思っていたんですが忘れてきました。チャカポコチャカポコ。あんな威圧感のある表紙ないよね!




 今はペタンと机に突っ伏して、狸寝入り。




 スマホを見てるのは、なんか暇なんですけど! ってメッセージを送ってるみたいだし、まっすぐ前を向いていたら、強がってる雰囲気が出そうな気がして恐い。




 なんとなく孤独になっているという状態でありたい。




 だけどさ、メッセージを発した方がいいのかな? とも思うんだ。




 だってさ、このまま友達がいなかったら、女子高生できないじゃん。




 私、女子高生なのに、女子高生できないの、これどういうこと? ワッツッ!




 はっきりと思うけどさー、私も女子高生してーよ。




 具体的に言うなら、スタバに行って友達と一緒に勉強したい。




 フラペチーノを飲みたいんだよぉ。だいたいなんだよ、フラペチーノってさ。意味わかんないこと言うなよー。聞いたことないんだよー。どこの言葉なんだよ。スペイン? イタリア? コロンビア?




 いろんな種類を出してさ、もう! レモンヨーグルトとかならわかるけどさ、桜餅とかあったもん! なんだよ、それー。通学路に店があるから定期的に新作が出てることだけは知ってるんだよー。




 おしゃれで可愛いじゃん!




 いかす! イェイ!




 マックでもいいんだよー。ポテトをシェイクにディップしてみんなで食べたいんだよー。




 おうぅぅぅ。


 おぅぅぅぅ。




 真顔で目をつぶったまま、心の中ではオットセイみたいに泣いてますからね。




 おうぅぅぅ。


 おぅぅぅぅ。




 オットセイでいいから友達が欲しい。




 そしたらおしゃれな海で魚を食べるんだ。


 おしゃれニシンを食べて、ニシンペチーノだって飲んじゃうもん!




 ……いやー。まー。自分がどうしてこういう扱いされてるのは理解しているんです。




 コミュ障でも、さすがにそのくらいはわかるんです。




 私、留年してるからね!




 それだけでハードルが高いじゃない。




 それがどんな理由だとしても、クラスメイトのみんな、私に気を遣って敬語になっちゃうよね。




 敬語ってだけでアイガーの北壁くらい大変な壁になっちゃってるもん。アイガーの北壁がどんなものか知らんけども。




 さらにこの腕。





 義手をはめていればまだ警戒心も薄れるのかもしれないけど、こうだもん。




 あまった袖が、ぐるんぐるんだもん。




 周囲に与えるプレッシャーが半端じゃないと思う。




 義手をつけた方がいいよ、って医療関係の人に言われることもあるんだけど、やっぱり私はしたくないのだ。




 ふざけんな、って思う。




 これが私なんだから。本物──生の私を見せつけてやる!

 そういう気概? 気合い? それを持ってないと、この厳しい世界で生きていける気がしない。




 この世界へのファックユーって気持ちを大事にしたいのだ。




 そのせいで、強固な防御壁を作ることになってしまったとしてもだ!




 でも、女子高生であることを捨てるほどの価値あるのかな?



 

 ……義手つけようかなぁ。




 意地を張っても楽しくないけど、スタバ行くのはきっと楽しいもんなー。




 なんだ、この無意味な意地は? みんな以外の歌という幻聴を聞くくらいにしか役立ったことがねー。


 もしかして、私の知らんとこで陰キャの片腕とか言われたりすんのかなー。落ち込むなー。




 本当に言われてても落ち込むし、妄想だとしたら自分の妄想に落ち込んでる自分に落ち込むなー。




 もう、あっちもダメこっちもダメな高校生活だけどこれからのこと考えたら高校は絶対に卒業しておきたいし……。




 でもいいの!




 私にはマボーがいるから!




 大好き! マボー!




 マボーは私のこと好きって言ってくれるもん。




 だから暗黒の学園生活にも耐えられるもん!




 もんもんって気持ち悪いなー、私。




 あー……。もういい! 高校は卒業するために来る場所!




 捨てた! いろいろ捨てた! マボーさえいればそれでいい。




「……あの。いいですか?」




 ふえっ?

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