第2話 一刀両断
『オジカ事務用品』に勤める平凡な青年『平 盆人』は、偶然『衛鬼兵団』の司令官『ユイ』と出会い、この世界での『暫定司令官』に任命される。
戦う事しか能のない『衛鬼兵団』と、後輩の『長瀬』の活躍で、盆人は憧れの女性『鷹音野華』の食事会に呼ばれるまでに進展した!
目の前に並ぶご馳走の数々に目が眩む元首脳とオジカ分隊!
それより……最近、戦闘シーンが少なくてちょっと心配……。
果たしてこのストーリーの人気や如何に!?
……じゃ無かった、盆人の恋の行方や如何に!?
「大変、お待たせ致しました。 拙い素人料理で恐縮ですが、お楽しみ頂ければ幸いです」
……!
……いよいよ、真打ち登場! 左腕にトーションをかけた鷹音さんがキッチンからお出ましになり、頭を下げた。
そんなそんな! どうか頭をお上げ下され!
あの鷹音さんが、俺を覗き込み、オーバーに畏まって……
「お客様、いかが致しましょう? 2つとも開いちゃいますか?」
……と、メイドさんよろしく仰った。
「是非、お願い致します。 あ〜! その前に、動画撮影させて頂いて良いですか?」
「恥ずかしいですが、どうぞ……」 ……と、鷹音さんの恥じらいフェイスが炸裂!
出たぁ〜〜! 伝家の宝刀! エクスカリバー! 戦艦大和の九四式46サンチ三連装主砲! ……後は……水戸黄門の印籠……?
この表情に抗える男性が存在するだろうか? いや、居る訳がない。それは、明々白々だ!
「オープン」の掛け声で、鷹音さんと落合さんが、同時に『開封』してくれた。 ……羽毛布団のようなフワッフワの半熟卵がバターライスを優しく包み込み、あったかい湯気が、ほわぁ……と、2本立ち昇った
美観、壮観! ……眼福とは、まさにこの事。
長瀬分隊のオムライスは、藤岡さんが器用に開き、デミグラスソースをかけ、生ミルクを加えた。
さすが……大手アティロムの社員は、教育が行き届いている!
次は、ユイの番だ。 ……さっきの動画は近すぎて、お料理しか撮れなかったので、俺は慌てて立ち上がり、鷹音さんたちの全身が撮影出来るポイントに移動した。 鷹音さんと落合さんが、素敵なスマイルを俺のスマホに贈ってくれた。
ユイは、目をキラキラさせてオムライスを見つめている。
……!
あのユイが、待ちきれない気持ちを自制して、スプーンを手に、ちゃんと『オープン』を待っていた。 食事マナーの躾は、俺の教育が奏功したようだ。 ……横柄な態度は一向に矯正出来ないが。
全員揃って、いただきます!
オムライスも、オニオングラタンスープも、超一流シェフ以上だ。……きっと。
サラダも見慣れない野菜がお皿に盛られ、まるで
………野菜の宝石箱だ ←語彙(泣)
夢のような時間は『矢』どころか5Gの如く過ぎ、次は我々、オジカ関東方面混成部隊が、お皿を洗う番だ。
……あ、ユイは良いよ! テレビでも観てて。
実は以前、ユイにお皿洗いを手伝わせた時、その圧倒的破壊力により、全ての食器が、文字通り『玉砕』した。
以来、我が家は紙皿を使用している。
お皿洗いが済み、鷹音さんが、海外旅行のお土産を配ってくれた。
男性陣は素敵なネクタイ。 女性陣には…ス、スワロ……ス?フ?だか何だか、キラキラした、宝玉が散りばめられた、綺麗なアクセサリー。
ユイには有名な、何とか? と言う、何処かの国の、兵士の格好をした、可愛いぬいぐるみを買ってきてくれた。
ユイは、初め戸惑っていたが、抱き心地が良かったのか、抱いたまま、鷹音さんの膝で寝てしまった。
……それを眺める鷹音さんの『温かい目』は、慈愛に満ちている。
……俺はその時
まさに、これこそが、情報参謀が言っていた『強大な要因』……愛だ。
……と、あの議事堂での軍議を思い出していた。
お食事会は大成功に終わり、トーク大会に突入した。
盆人の恋に進展はあるのか? そして、……無敵の衛鬼兵団の出番は!?
次回 第3話 概要 にご期待下さい。