第2話 捜索
【前回迄のあらすじ】
『オジカ事務用品』に勤める平凡な青年『平 盆人』は、偶然、異世界の無敵の軍『衛鬼兵団』の司令官『ユイ』と出会い、この世界での『暫定司令官』に任命される。
憧れの鷹音さんが勤める『㈱アティロム』に単身で突入した盆人の肩をつついたのは、何と! 鷹音さんその人だった!
盆人は鷹音さんの口から自分が『素敵だ』と評判になっている事を聞いて驚く。
更に、二人で盆人の持参した短冊を結び付ける場所を探し始める事になった!
俺を上目遣いで見つめる鷹音さんの、はにかんだ顔が、あまりにも可愛過ぎて思わず目を反らした。 ……彼女はクスッと笑い、視線を笹の葉に向けた。
他愛もない話をしながら、笹の葉の隙間を探していたが、鷹音さんが、唐突にサッ……と移動したかと思うと、一枚の短冊を手で隠した。
「あ、見つけましたか?」
「あ、いえ、これは……」明らかに動揺している。 彼女の色白の頬と耳が、ほんのりと紅く染まって実に可憐だ。
「あ~、鷹音さん! さっき俺の短冊見たんですから、見せて下さい!」……ちょっと、強引な感じもアピールしておこう。
「これは、本当に、違うんです」……と言って、笹の葉の奥に隠してしまった。
目標座標、記憶完了。 後程確認に向う。
……空きが無いですね……等と言いながら鷹音さんを見ると、本当に一生懸命に俺の短冊を結ぶ隙間を探してくれている。
……そんな彼女の目を盗み、先ほどの目標座標に戻って、チラ見した。 そこには……
『野華さんみたいに、綺麗になれますように』……とあった。 なんだ、こっちかあ。
それにしても、自分から隠すなんて、なんて奥ゆかしさだ! 益々好きになった。
短冊を、彼女が隠した状態に戻し、何食わぬ顔で彼女の側に戻った。
【次回予告】
盆人の短冊を結び付ける場所が見付からず、歩き回る二人……。
すると鷹音さんが、とんでもない提案をして来た!
次回 第3話『一生のお願い』をお楽しみに!