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第3話 七夕

【前回迄のあらすじ】 


『オジカ事務用品』に勤める平凡な青年『(たいら) 盆人(はちひと)』は、偶然、異世界の無敵の軍『衛鬼兵団』の司令官『ユイ』と出会い、この世界での『暫定司令官』に任命される。


 ユイは会社の後輩で盆人と同僚の長瀬に、サバイバル・ゲームに誘われる。


 ユイの活躍で長瀬のチームは優勝し、盆人の部屋で祝勝会を行う。


 その時、盆人は長瀬から憧れの鷹音ようおんさんの会社『アティロム』で『七夕まつり』が開催される事を知り、七夕の短冊から鷹音さんの『願い』を知る可能性を見出した!

『株式会社アティロム』は大手総合企業で、子供達の情操教育にも力を注いでいる。 その為、恒例の七夕まつりは地域の幼稚園や保育園、小学校の生徒に短冊を配り、願い事を書かせているのだ。

 

 ご用聞きの振りをしてアティロムに顔を出すと、職員が総出で短冊を笹の葉に結びつけていた。


 残念な事に、鷹音(ようおん)さんはお休みだった。


 別の受付の(かた)にお手伝いを申し出ると、即OKをくれた。


 ……差し入れてくれた冷たい麦茶に目もくれず、人一倍、高速で短冊を結んでいく俺を見て、顔見知りの広報部長が「さすが、ヘイボンさんは非凡(ひぼん)だね~」と、褒めてくれてるのか何なのか良く判らない声を掛けてきた。 …俺は苦笑いを返す。


 ……バレないよう作業の手を止めずに、この膨大な枚数の中から鷹音(ようおん)さんの短冊を見付けようと必死になっている……とは口が裂けても言えない。


 数時間後、作業は終了したが、鷹音(ようおん)さんの短冊の発見には至らなかった。……この枚数の中から、たった一枚を探し出すなんて土台(どだい)無理な話だったんだ…



 疲労と失意から「ただいま」も言わず、部屋の隅でうなだれた俺を見て、ユイが心配そうに「また懸案事項か?」と聴いてきた。


 今日の事をひと通り説明すると「……そうか。その『タンザク』とやらを見せてくれんか?」


 帰りがけにアティロムのスタッフさんから『お願いを書いて持ってきて下さいね』と渡された短冊を背広の内ポケットから取り出して、ユイに見せた。


 それを持ったままユイが押入れを開ける。そこは『衛鬼兵団(えいきへいだん)前哨基地(ぜんしょうきち)』に繋がる秘密の入口だ。


 ……以前のように、部屋が基地化していると、誰かに見つかる危険があるので、押し入れに隠しておく事にしたんだ。 ……俺も急いで(あと)を追った。


 ユイが俺の胸にある例の『司令徽章』に声を掛け『通信参謀』を呼び出した。


 通信参謀は、『情報参謀』と打って変わってずんぐりむっくりした体型をしている。 そして、画像を走査(そうさ)したり傍受したりするのが仕事だからか、望遠鏡やらレーダーやら、それらしい装置をあちこちに身に着けていた。


 ユイが短冊を通信参謀に渡し、「これだが……如何(いかが)か?」と聴いた。


 通信参謀は短冊にライトを当てたり、液を垂らしたりしていたが、ユイに一礼し「可能に御座います」と言った。


 通信参謀に、アティロムの住所を聴かれたので教えると、通信参謀は、下士官を呼び出し、住所を伝えた(のち)、「出撃!」と命令した。

 

 『出撃』ってまさか……と妙な胸騒ぎを覚えたが、通信参謀も作戦参謀同様、一瞬で戻って来て「お待たせしました」と言って、一礼した。


 ……うん、待って無いぞ。


 通信参謀の(うしろ)には、数人の兵士が、大きな段ボール箱を抱えている。


 ……中には、願い事が書かれた短冊がぎっしり詰まっていた!


 お、お前ら、まさか『やっ(強奪)ちゃった』のかあ!?

【次回予告】


 衛鬼兵団、通信参謀の手で持ち込まれた、七夕の短冊……。 彼等は本当に短冊を『強奪』してしまったのか? ……そして盆人は、鷹音さんの『願い』を知る事が出来るのか!?


 次回 第4話 消滅 をお楽しみに!


【作者より】

 お読み頂き、心より感謝申し上げます。


 ブックマークやご感想を頂けますと、本当に励みになります。 


 何卒宜しくお願い申し上げます。

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