める
まぶたに急に日が差し込んで痛い
(死後の世界でも痛覚ってあるのね...)
体が冷えているからか寒気までする
ポケットをまさぐられる感覚まである。
「うっわ...しけてんなぁ割に合わんわ
見殺しにすれば良かったわ」
頭上から声がしたので恐る恐る目を開けてみると
そこには流れるようなウェーブの金髪
エメラルドの瞳に透けるような白い肌...
の見た目とは全くそぐわないことをブツクサ言っている
美少女がいた。
「ちっこれで負け取り返そうと思ったのによ
面倒だからあのタコ焼いて無かったことに...
あ、起きたのお嬢さん」
こちらを一瞥した美少女は
中から濡れた札を取り出して私の財布を投げて返した
「えっと...貴方は、天使みたいな感じ?」
美少女は一瞬目を丸くしてから
抑えきれなかったのか吹き出した
「くっ...くく絵本のよみすg...ひって、天使!
ウチが天使とか!!ひっひははははは!!もうダメ
あはははっひーっお嬢さんさ、メルヘンチックは痛いよ
まぁ似たようなもんだけどさ」
手も抑えないものだからか唾が顔にかかる
「あ、あの天使さ「める」へ?」
「ウチ、めるって言うの人間の読み方だと」
そして徐に指を下に指して
「天使じゃなくて人魚な?アンタのこと助けてあげたの」
ボロ切れで胸を隠した上半身とは裏腹に
見る角度によってはピンクにも水色にも見える
ばしゃばしゃさせた魚の尾がついていた