サブタイとか知らん
恋をする奴は馬鹿だ。
どうして他人のために過剰な期待をして
叶わないとわかるや裏切られたと宣うのだろうか
自分の思い通りにならないから泣くなんて子供の癇癪と同じ
所詮他人なんだから
わかっている
わかっているのにどうして私の視界は涙でぼやけているんだろう
「ほんっとバッカみたい」
ケータイを見れば元カレからの着信通知が山のように来ている
-ごめん もう一度話し合おう 好きなのは君だけ -
「そんなに言い訳するなら奥さんと別れてよ。
出来ないんでしょ。」
会社の直属の上司と付き合っていた。
あまり恋愛慣れしていない私にとって一生で一度最後でもいいと思える人だった。
休日は絶対私のために時間を作ってくれて
とてもマメに連絡してくれるものだから
まさか既婚で子供までいるなんて知らなかったのだ。
何も知らず3年付き合ってこの人と結婚するんだろうな
と思っていた矢先に知らない女性から電話がかかってきた。
-主人にまとわりついている女は貴方ね-
離婚はしないけれど慰謝料は請求するんだとか
会社にまで連絡したらしく私はめでたく地方に転勤
ありがたいことに実家から通える場所なものの
田舎だから噂が早いのか有る事無い事近所で言われている
里見なほ27歳 人生どん底である
「死ぬ気で勉強していい大学入って就活したのになぁ」
ふと頭に-そんなにしんどいなら死んじゃえ死んじゃえ-
という ちび◯る子の声が響く 。
日曜はアレを見るのが習慣だったからだろうか。
アレは誰も傷つけないし見ていて楽だからいい作品だ。
目の前には美しい真っ青な海
高校生の時は嫌いで嫌いで堪らなかった風景
でも今だけは、この海に抱かれて眠ってみたい気がした。
ポケットには最近不眠でよく飲んでいる眠剤やら
精神科の薬やら何やら
薬剤師じゃないからわからないけど
これ全部飲んで海に潜れば死ねるんじゃないの?
どうせ生きていたっていいことない。
救われないのはアレだけのことをされていても
まだ彼が好きなこと。
今までの苦労を全て無駄にされたことより
ずっと滑稽で絶望的。
「もう、いっかな」
頭で色々ぐるぐる考えて何が何やらわからない
頭が体についていかないままに
足を進めていく
寄せては返す波と砂の感触が気持ちいい
胸あたりまで水が来て、
濡れないように手に握っていた薬を口に放り込む
水無しだから吐きそうになったがグッと堪えて
胃に塊が落ちていくのを感じながら
ゆっくりゆっくり足を進める
痺れてどうにもならない体を波に任せて
目を閉じた