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幼馴染は決意する

本日初投稿!

 その日の子供達との井戸端会議はそこでお開きとなってしまった。当たり前だ。みんな一目散に逃げ出してしまったのだから。老婆に心配されながらも、大丈夫だと言って働き続ける私の脳裏には、今日のラジオがへばりついて離れない。

 自分はこれからどう生きるべきなのか。此処での生活を捨て非情な現実と向き合っていくのか、それとも現実から目を背けて偽りの平和を享受するのか。結論は未だに出ない。


 夕食を食べ終わり、食器を流しへ運ぶ。蛇口を捻り水を出す。器を満たしていく水は心を写し出す鏡の様に波紋を描いていた。水面を眺めながら懐古していると老婆に声を掛けられた。


「あんた、なんで泣いとるんや」


「えっ......どうして」


 手で頬を拭うと、手の甲は濡れていた。そして老婆は続ける。


「何かしたいと思う事があるんやったら、それをするべきや。せんかったら、いつか後悔する時が来る。あんたは、どうしたいんや?ゴホッ、ゴホッ」


「大丈夫、おばあちゃん?まだ体良くなって無いんだから、あんま無理しないで」


 咳き込みながらよろめく老婆を労るように千鶴は囁く。しかし老婆は差し出された手を振り払い強くも思いやりの篭った口調でこう言った。


「わしらみたいな先の無い者の事なんて忘れて、自分で撒いた種ぐらいちゃんと拾ってきな!こっちの事はもう心配せんでええから」


「分かったよ、おばあちゃん。一応病院の元蔵さんには伝えておくから。明日出るよ。

それと、今までありがとう、おばあちゃん」


 そうして千鶴は決意した。あの泥濘へと足を踏み込むと。

次の話もそのうち挙げるぜ!

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