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その少女、勘違いにより  作者: ぽんこつ
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メイド姿の女性に連れてこられた先には映画でよく見る王座の様な物があり、これまた王様の様な人、王妃様らしき人、王子様らしき人が座っている。

先程の男の子も連れてこられた様で彼も私と同じ様に呆然と立ち尽くしている。

周りに立っている中世の貴族の様な服装の人たちは私たちを困惑の表情で見つめている。


王様の様な人が威厳のある声で何か言っている。

隣の男の子の様子を横目でみると王様の言葉にビックリした様子だった。

まじで、だれか通訳して下さい。

なんて、なんて言ってるの!?

なんの糸口すらも掴めていない私だが、もう明らかに日本じゃないだろうと言う事は理解し始めていた。

ならば、ここは何処なのか。

誰か地図を見せてください。


現実逃避の間に謁見は終わり、応接室の様な場所で男の子と並んで私達は知的なイケメンの前に座っている。

彼がどの様な立場なのか全く分からず、私は流されるがまま、この場に座っていた。

どうやら、現状について説明しようとしてくれている様なのだがわからない。

男の子はそんな私の様子をみて一生懸命話しかけてくれるのだが、日本語ではない。

私が涙目になっていると彼は思い立ったかの様に懐から日本で見慣れた物を取り出した。

生徒手帳だ。

学生のようでその生徒手帳はきちんと日本語で書かれている。

ここにきてやっと日本語を見れて感動した。

彼は自分の名前を指差して自分を指さす。

彼の名前は、東條晃とうじょうあきらと書いてある。


「東條…晃くん…?」


と言うと彼はコクコクと頷き、私を指差して首を傾けた。

か、可愛い…。

じゃなくて私の名前を聞いているのだろう。


「…品川、百合華!」


私も必死に自分を指差してその後もユリカ、ユリカと繰り返すと彼はハッキリとユリカと言った。

苗字はややこしいので一旦諦める事にした。

なぜ日本人であろうこの子にも私の言葉が通じないのかわからないが少しずつコミュニケーションが取れた事に少しだけ安堵した。

迎えの知的なイケメンはセレスと言うらしい。何回も長い名前を言われたが聞き取れずセレスで落ち着いた。

何とか身振り手振りで会話してる内にいい事を思いついた。

日本語が読めるなら晃くんも、日本語なら書けるのではないかと思ったのだ。

そう思い手振りで紙とペンを要求すると羊皮紙とインクと羽ペンを用意してくれた。

紙にこの字がよめる?と書いて晃くんに見せるとコクコクと勢いよく頷いてくれたので、晃くんにも何か書いてみる様お願いする。

すると意外な事にきちんと日本語で、文字は日本語が書ける様だと書いてある。

やったーー!!!

これでやっと晃くんとは意思疎通ができる。

晃くんは私が何にも理解出来ていないことを不憫に思い、私と話をする時間をくれと説明してくれたおかげで私はやっと今どの様な状況に置かれているのか理解する事ができた。

全て筆談なので時間が掛かったがこう言うことらしい。


ここは日本ではない事。

そもそも地球ですらない。

コンスタート国の王城に現在私達はいて、魔王出現に向けて神子を呼び出す儀式により私達が召喚されたようだ。

んな訳あるかと思ったが、実際光り輝く晃くんを目の前で見ているので全くの嘘とは思えなかった。

そして1番重要な所、私はただただ巻き込まれただけ。

だから言葉が通じないのだ、と理解した。

よく小説やゲームであるあるだな。

と考えてまてよ、と思い至る。

コンスタート国、セレス、東條晃。

聞いたことあるぞ。

それは私が最近ハマっていたゲームに出てくる設定だ。

ま、まって。

まさかのblゲームの世界!?!?

よく思い出してみれば王子様の顔も、晃くんの顔も、セレスさんの顔ですら見覚えがある。実写化したらこんな感じだろう。

や、やばい。

こんな事が現実に起こりうるのかとパニックになりかけるが、心配そうな晃くんを見て冷静になる。

もう、そうとしか思えない。

まさかこの世界にきてしまったのか。

私は…歓喜した。

根っからのお腐れ様の私にとってパラダイスなのではないのか?

思わず綻んだ頬を見て晃くんが不思議そうな顔をする。

可愛い…じゃなくて!!!

晃くんはゲームで主人公なのだ!!

そう、可愛いのは当たり前。

彼はこれからこの国で神子として活躍すると共に禁断の恋に落ちる…。

あぁ、尊い。なんて尊いのか。

腐女子の頭は何処までいってもお花畑だった。


紙にありがとう、よく理解できたよ。私はこれからどうなるのか、と書いた。


晃くんによると、異世界の召喚された人はそれだけで尊ばれているらしく大切に扱われるらしいので安心してほしい。との事。

なぜ彼がここまで知っているかと言うと、私が白目を剥いて失神してる間に粗方の事は聞いたらしいのだ。


あぁ、神様。

腐の神様よ…私にこの様な機会を与えてくださり本当にありがとう…!!!

帰る方法は無くはない事を私はゲームで知っているのでその辺も心配はない。


明らかに表情の明るくなった私を見て晃くんは安心した様で微笑んでくれた。

尊い…。


と言う事で、私は今を目一杯楽しみたいと思います!!!

ごめん親友よ!帰ったら沢山土産話を聞かせてあげるからね!!!

と、今夜の約束をすっぽかしてしまった親友に心の中で謝った。










bl版では晃くんをヒロイン役として展開していってました。

乙女ゲーム版でも晃くんは神子として登場しているので主人公はまだ全然気づいてません。


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