#0 プロローグ <全ての始まり>
初投稿です。自分のペースであげていくので、よろしくデス!
「先輩ー、俺彼女できたんすよー、めっちゃ可愛いですよー!」
また、この話か、太陽がいつにも増して早く、地平線に隠れようとしている。
部活の帰り道で、いつも可愛がってる後輩、祐介 (ゆうすけ) に言われた。当たり前だろう、こいつは男の俺からしてもとても、とは言わないがイケメンだ。
「さすがだな、俺の後輩なだけはある。」
「先輩、一度も彼女いないじゃないですか、モテる秘訣、俺が教えてあげましょうか?」
「いやいや、お前の秘訣を教えられても俺はモテないよ、それに今年は受験生だしな」
「理由作ってるだけでしょー、大丈夫ですって、先輩かっこいいですから!」
「露骨なお世辞はいいよ、そろそろ分かれ道だ、また明日な。」
「はーい! さようならです!」
そんなに彼女が大事なのか?必要か?
俺は、いや、本多 健太は最もどうでもいいことを真剣に考えていた。
俺のスペックは、スポーツは程々に、勉強もそこそこ、友達はクラスに四、五人、顔は中の下、彼女いない歴イコール年齢、、、、
まさに、モブ!小説の主人公たちを引き立たせる最高のモブ!
まぁ自分ではあんまり気にしてないがそれでも少しくらいは、爪痕を残したいと思っている。
そんなことを考えながら、オレンジの光に照らされている登下校の道を歩いて行く。
「キャーーーーーーーーーーー!、強盗!誰か捕まえてぇぇぇぇー!」
近くのコンビニから走って出てきた、全身黒の服を着ている男に向かって、女性が叫んでいた。
幸い、帰宅途中の人が沢山いたため、俺は他の人がなんとかしてくれるだろうという、まさに普通の考えで放っておいた。
間違いだった。。。。
なんと男はあろうことか、俺の方に向かってきている、当然、走って逃げる。
「はぁ、、、はぁ、、」
とにかく俺は、今までの人生の中で出したことのないくらいに本気で逃げた。
だか、もう無理だ。。
路地裏に逃げ込んだ俺の目の前に道はもうなかった、行き止まりだ。
俺はその場にうずくまった、情けなかった、これから、これからなのに。。。
なぜ俺を狙ったんだろう、中学生で弱そうだったから?すぐに殺せそうだったから?あーあ、彼女やっぱ作っとけばよかったかも、いやまず友達増やしとけばよかったかな?母さんごめんよ、もっと誇れるような、そう主人公みたいな息子がよかったよね、親孝行もこれからだったのに、。。
男がナイフを持ってこっちに向かってきている、暴走しそうになる俺の頭が一気にクリアになり、死を覚悟した。
「待って!、何しようとしてんの?」
知らない人の声がした。
男はゆっくりとそっちを見る。
俺は、動けずにいた。腰が抜けてたんだ。
女性は、同じ年くらいかな?、正義感の強そうな人だった。
男はまず女から始末しようとしたのか、女の方へと飛びかかった。
女は間一髪でかわす、だか、次はないだろう。
男は笑っていた。そしてまた女の方へ向かっていく。
俺は、生まれて初めて悔しいと思った。さっきはただの後悔だった感情が暗く歪んでいく。
「これじゃあ、結局今までと同じだ。」
このままじゃ、女は殺され、俺も殺される。
男は逮捕されると思うが、何も抵抗せずに殺されれば、俺たちは男の犯行のいい引き立て役だ。
最後の最後まで、引き立て役は嫌だ。
そう思った。
「うぉおおおおおおおーーー。」
気づけば俺は叫んで、女の方に向かっていた。
女を守るためだ。
俺は向かってくる男を受け止め、渾身の力で男の首を締めた。
と、同時に胸に焼けるような痛みを感じた。
「ぁ、あぁぁぁぁぁ」
男の持っていたナイフが俺の胸の中心あたりに刺さっていた。
男は気絶し、しばらくは動けなさそうだ。
女は警察と、救急車を呼んでくれたみたいだ。
その後に俺に向かってきた。
「血、血が出てるよ! もうすぐ来るから!
頑張って!お願い!」
「そんな、の知ってるよ。でも、もう間に合わ、ない。分かる、んだよ。か、覚悟は、してた、し、でも、最後、に、女の子を、主人公み、たいに守れて、よかったよ。爪痕、残せたよ」
女は俺を抱きしめて泣いていた、
「ありが、とう、」
どうしてここまで、初めて会った人に同情できるのだろう、と、思ったが、ただその一言が心地よくて、どうでも良くなった。
消えかかる意識の中で、俺が最後に見た景色は、雲の一切ない星空だった、ただただ美しかった。
俺はもう、何も譲らない、
もう引き立て役なんて言わせない、
最高の主人公になってやる!
そう誓った。。。。
次回から本編です。
全ての始まり、まさにその通りです
次回お楽しみに