夢の桜田町 「中華通りのお化け屋敷」
大きな駅を中心に、町が広がる。
ここは夢でしか行けない桜田町。
今日は日曜日、友達のカヤと商店街に来ていた。
「やっぱり混んでるね。」
なんて、話しつつ歩いていると商店街の奥、中華通りになっていた。
ここは飲み屋がおおく、酒と油の匂いが充満していて、いつも騒がしかった。
「奥に来すぎたな、戻る?」
と言おうとした時
[お化け屋敷]
なんて看板が目に飛び込んだ。
おしゃべりだけじゃ飽きて来ていた私たちは早速外の店員に話しかけた。
「イラッシャイ!ココのお化け屋敷はコワイよ!」
なんて胡散臭くいう店員に説明を聞いて中に入った。
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古く暗い家の中の部屋を一つ一つ回って行くらしい。
若干湿っているような、汚い部屋の中を回って行く、これといって怖いものがないなと思った。お風呂場に行った時に湯船の中から女が目元だけこちらを見つめていたのには少しびっくりしたが。
「あまり怖くないね」
カヤは安心したように言ったその時、
「きゃーーー」
お風呂場から音が聞こえた。
風呂場の女に気がついた他の客が叫んだのかと思ったがどうやら様子がおかしい。
ドタドタと音が近づいてくる。明らかに私たちを探している音だ、逃げようと思ったが入り口に戻るには近づいてくる音と鉢合わせしなくてはならない。
辺りを見回すと、タンスの上に不自然に小窓があった。ご丁寧に出口とも書いている。
すっかり怖くて縮こまっているカヤを先に小窓に押し込み外に出たのを確認したと同時に音の主が視界に飛び込んだ。
やっぱりお風呂場の女だ、ぼたぼたと全身から水が滴る音も聞こえる。
慌てて小窓から出た。
眩しい、カヤが心配そうに
「大丈夫だった?」
と声をかけて来た。
「うん、大丈夫だったよ、怖かったね。」
「びっくりしたよね、ドタドタって何かきて」
「きゃーーーって叫び声びっくりしたよな、他の客かな?」
「え?叫び声?」
あんな大きな音が聞こえてないはずがない、背筋が少し寒くなった気がした。
ふと、カヤの後ろ、少し離れたとこに立つ店員に視線が移った。
ニヤニヤとした顔が無表情に変わりまっすぐこちらを見て口を開いた。
「次はお前だ。」
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目が覚めた、冷や汗が止まらない。
「次はお前だ。」
また、耳元で聞こえた気がした。
それから朝までゆっくり寝れなかった。