戻った・・・?
再び前が見えるようになると、目の前に自分とルビーさんが倒れているのが見える。
今まで感じていた違和感が無い。
身体が本来の体に戻っている。
服装も使い慣れた剣も最後の時のままだ。
「これなら・・・!」
魔物たちの方へ振り返る。
ルビーさんが相当数を減らしたはずなのにまだまだ出てくる。
剣を手に取り呪文を唱える。
「稼動制限三段階解除」
声に応えるように剣が駆動音を鳴らしながら眩い光を放つ。
『やっと見つけた・・・!』
屋敷中を探し回ってやっと2人のいる場所を特定した。
少し前から夢見様の体調が悪くなり、メイドは皆つきっきりで捜索に人手が避けなくなっていた。
『間に合って・・・!』
息を整え何もない空間に刀を振るう。
すると目の前の空間に歪みが生じその歪みが大きくっていく。
ある程度広がると向こう側で人影が見えるようになった。
『二人ともご無事ですか!?』
二人は倒れていて動かない。
視線をずらすともうひとりの誰かが魔物と戦っている。
「そのふたりを連れ出して!」
その人影の声を聞いて急いで二人の元へ向かう。
『ルビー! 何をしてるのです 早く起きて!』
マコトを抱えながら叫ぶ。
ルビーは声に気がついたようでふらつきながらもあとを付いてくる。
目の前の残った魔物を切り捨てる。
大量にいた魔物ももう全部出尽くしたようだ。
『あなたも早く! もうすぐとじるわ!』
ハガネさんの声が聞こえる。
歪みを抜けて元の世界へ戻ってくると、とたんに体に力が入らなくなる。
地についた手を見ると薄らと地面が見え透けてきている。
『あなたは誰・・・?』
ハガネさんはこちらを警戒しているようだ。
詳しいことはわからないけどもうすぐ限界が近いのだろうということはわかる。
「これをマコトに・・・」
ハガネさんに剣を渡したところで、また目の前が真っ白になった。




