屋敷の中に
服を着たあとで一人にしてもらった。
窓の外はすでに赤くなってきている。
異世界に来たことも、体のこともやっぱり実感がわかない。
いろんな事が起きて普通なら気づくはずのことにも気付けていなかった。
動けるようになると体の違和感も強く感じるようになる。
気分を変えたくて部屋を出ると、広い廊下を真っ赤な人が歩いてくる。
こちらに気づいて話しかけてきた。
『この屋敷にお客とは珍しいねー』
「あ、はい マコトといいます あなたは?」
『私はルビー 今日はハガネを探しに来たんだ
ところでどうしたんだい? 悩みごとでもあるのかい?』
「どうしてそう思うんです?」
『何となく としか言えないけどそんな気がしたんだ
話くらいなら聞いてやっても・・・』
そこまで言ってルビーさんが突然私を突き飛ばした。
その直後、見覚えのある黒いものが上から降ってきた。
『魔物どもがどうやってこの屋敷のなかに・・・ 結界はどうなってるんだ』
走って逃げるがいつの間にか魔物たちに取り囲まれる。
『私の後ろに隠れとくんだよ しばらく待てばハガネたちが来るはずさ』
そういってルビーさんが私の前にたつ。
ポケットからライターを取り出して火をつける。
『簡易術式展開 顕現せよ炎の魔神 我は求む友を守る力を!』
ライターの火が大きくなりまるでいきもののように動き手にまとわりつく。
ルビーさんがライターをしまってももう火は消えない。
魔物たちは一瞬火に怯んだようだった。
腰を少しおとし勢いをつけると魔物の群れへ飛び込む。
『炎に焼かれろ!』
叫び声とともに魔物たちが炎に包まれ消えていく。
『はぁはぁ ハガネたちは何やってんだ・・・!』
どれほどの数を倒したのだろうか、もう体力も限界に近い。
魔物の動きは遅くすぐに倒せるが、なんにしろ数が多い。
魔神を呼んだとは言え所詮は簡易術式での召喚だったために時間が経つにつれ力も弱くなってきている。
マコトが無事かどうか確認しようとしたとき、魔物の攻撃を避けきれずに壁に向かって飛ばされる。
「ルビーさん! 大丈夫ですか!」
急いで駆け寄ると息はしているのが確認できた。
怪我はしていないようだが気絶しているようだ。
(ルビーさん・・・ ボクにも力があれば、せめて元の体にもどれさえすれば・・・)
そう思ったとき目の前が真っ白になった。




