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夢物語  作者: 朱雀院 飛鳥
10/11

出発

ルビーさんに早い時間に起こされたせいでまだ眠たい。

眠い目をこすりながら人で溢れる城下町を歩く。

頭上で花火が上がっている。

「ステラさん その地図は?」

ステラさんは手書きの地図を眺めている。

『帝都にある店はみんな軍に届けを出してるんだ

 だからロゼに服を売ってる店を調べて地図に書いてもらったんだ

 ローズとマリーの両親の店があるんだって とりあえずそこいこっか』


帝都の内部での移動手段は地域によって異なるらしい。

東側と北側は主に車 西側と南側は馬車 といった感じで帝都の内部でも大きな差がある。

特に南側は車の立ち入りが制限されているとのこと。

帝都全体で共通の移動方法はポータルと空に浮かぶ飛行船。

夢見の館やステラさんの部屋のある親衛隊宿舎は北側にあり、目的地のお店は南側にあります。

ロゼさんによると誕生祭の間はポータルでの移動距離が制限されるそうで、飛行船で移動したほうがいいとのこと。

駅に向かうとロゼさんが先に連絡しておいてくれた一隻の飛行船が待っていた。

「とっても豪華で広いですね 飛行船ってみんなこうなんですか?」

『この飛行船は特殊なのよ 私も乗るのも久しぶりだわ』

『ハガネは屋敷から出ないからな 私も前にロゼと乗った時以来だけど

 ロゼにでも頼まないとこんな船使わせてもらえないからな』

壁や天井はガラス張りで真下以外の全ての方向が見えるようになっている。

下を見ると開会式のパレードが始まっているのが見えた。

『そろそろ船が動くよ 最初は少し揺れるから何かにつかまっといて』


いつの間にか寝てしまったようで、気が付くと飛行船は南部エリアに入るところだった。

南部エリアのほとんどは森や湖になっていて人々は精霊樹と言われる巨木の下の町を作っている。

目的地は南部エリアの中心 精霊樹の中でも特に大きい世界樹だ。

『もうすぐ降りるから忘れ物がないように気をつけてね』

「船を降りてからは遠いんです?」

『すぐつくと思うよ さっき迎えに来てくれるって連絡があったし』


船から降り迎えの馬車に乗り込む。

馬車で揺られながら外を見ていると1匹の鳥が飛んできた。

鳥は手紙を持ってきたようでハガネさんが封筒を受け取るとどこかに飛んでいってしまった。

『あの大きい建物ですね ローズとマリーがお休みが取れたそうで待ってるそうです』

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