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君の世界

 もし、この世界に永遠に変わらないモノがあるとしたら…

 それはなんなのだろう…

 それによって俺たちは何か変わるのだろうか…

 この世界にそんなモノは存在するのだろうか…

 いや、存在する。

 永遠に変わらないモノ…

 それは…



 数学。

 それが今の俺の答えだ。いや、おそらく、変わることがない俺の答えだ。

数学はどんな道を通ったとしても、きちんとそこに存在してくれて答えがある。

俺は、それ以外ははっきり言って信じていない。人間でさえもだ。

いや、この世界には一人だけいた。信じられる人間が…


 「おにいちゃん。クルちゃん、おなかすいた。お昼ご飯作って。」

「はいはい。くるみ。」

俺は新島勇気だ。この春には高校一年生だ。そして、今、空ヶ荘一号室にいてお昼ご飯を作っている。

「春休みなんだし、どっか行こうよ~おにいちゃん」

「ごめん。くるみ。おにいちゃん、夕方からアルバイトなんだ。」

「えー、なら夕方までに帰ってこれるところにいこうよ。おにいちゃん。」

「じゃあ、どこいく?」

「おにいちゃんの高校!」

「え?行ってどうするの?行ったって意味ないんじゃないの?」

「おにいちゃんがこれから生活するところを見ておきたいの~」

俺は呆れながら、作り終わったチャーハンを皿に盛り付けていると、

「おにいちゃん、ご飯。」

「はいはい。あとちょっとだから。」

俺は盛り付けた皿をテーブルに運んだ。

「わぁ、今日はチャーハンか~」

すると、くるみはチャーハンを早速食べようとした。

「くるみ。いただきますは?おまえもう、中学二年生だろうが。」

新島くるみ。俺の妹だ。中学二年生である。

今は訳あって、親戚の家に預かってもらっている。

「いただきます。」

「いただきます。」

少しこしょうが足りなかったかな?

「くるみ。おいしいか?」

「うん、おいしい。」

「でも、味付けが薄いんじゃないか?」

「ううん、いつものおにいちゃんの味付け、ちょっと濃いもん。」

そうだったんだ。一人で作って一人で食べていると、味付けがちょっとひどくても、気づかなくなっちゃうもんな…今度からは気をつけないといけないな。

「ごちそうさまでした。」

俺はさっさと食べ終え、皿を片付けていた。

ふと、くるみを見ると、野菜が皿の隅によけられていた。

せっかく、健康を考えて、栄養のバランスも計算して作ったのだが…

「くるみ、ちゃんと野菜も食べるんだよ。」

「やだ…」

「なら、お出かけいかないだけだ。」

「そんなのやだ。食べる」

くるみはささっと野菜たちを食べた。


 くるみが大好きな歌を歌っていた。

「おにいちゃん、早く~」

「わかった、わかった。」

俺は少し急いで玄関へ向かった。

「おにいちゃん、なに、その紙袋?」

くるみは俺が持っている紙袋が気になるようだ。

「お楽しみだ。」

「わかった。早く行こ、おにいちゃん。」

「はいはい。」

俺たちは空が荘を出て、徒歩10分の俺が春から通うことになる、空ヶ丘高校へ向かった。

空ヶ丘高校は超進学校であり、部活も盛んである。

生徒数は、一クラス40人で10クラス、それが三年までいるから、ざっと1200人いることになる。

さらに部活に関しては生徒会が公認しているのが、60あり、非公認も合わせると100を越える部活があるらしい…それに必ず部活に入らなければならないという暗黙の了解があるそうだ。

このことは、この間、中学校の文化祭に来た先輩たちが言っていたことだ。

途中までくるみと話していたが、ある道に入った瞬間、くるみは息をのんだ。

「きれいだね…」

「あぁ、きれいだ。」

そのとき、くるみの頭の上にひとひらの桜の葉が落ちてきた。

くるみはそれを手に取る。

「本当にきれい…」

くるみは泣いていた。

くるみも思い出しているのだろう。

二年前のきれいだった

俺たちの世界を…



 「へぇー、おにいちゃんの学校広いね~」

「そうだな。」

「中に入りたかったね。」

学校側は春休みで部活や特別な用事のない限り、生徒は入れないと言っていた。ましてや、これから来る生徒だとしても、まだ入学式をしていない人間を入れるわけがないと言っていた。

「そうだな。でも、新学期のお楽しみって事で良いけどな。」

「私はあと二年よ!」

「というか、くるみは空ヶ丘高校に入れんのかよ。今の成績で。」

「入れるわよ。お姉ちゃんは天才だったんだから。同じDNAよ。」

「まぁな。努力次第でなんとかなるかもな。」

「そうよ。」

「じゃあ、ちょっと別の場所に行かないか?」

「うん。」


 「ここなら、私も知ってるわよ。」

「そうか。しってたか…」

この街の地名、空ヶ丘。

その由来となった丘に俺たちは来ている。

街を一望できて夕焼けなどもきれいに見える場所だが少し入り組んだ道を通っていくので、本当のツウだけが知っている場所である。

「くるみ、これ食べるか?クッキーだ。もう三時だからな。おやつの時間だ。」

俺は紙袋をくるみに差し出した。

「やったー。おにいちゃん、大好き!」

「おい、くるみ。抱きつくな。」

「ねぇ。」

くるみじゃない女子の声がした。

俺が振り向くと、

「私にも分けてよ、クッキー。」

風奈だった。


初めての小説なのでコメント、お願いします

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