親友
会話文章作品第二弾
『作文とは違って』から『親友』へタイトル変更しました。
「なぁ、小説書くのって意外と難しいんだな」
「どうしたんだよ急に」
「この前さ、作文の出来が良かったって山野に誉められてから、『それなら小説ってヤツ書くのも意外と簡単なんじゃねぇの』って思ってさ、俺なりに小さな物語を考えてみたわけさ」
「だからか……、お前の机の上『何かぐちゃぐちゃになった紙が散乱してるな』ってお前ん家来てお前の部屋に入ってからずっと思ってたんだ」
「お前、そんなの見てたのかよ。趣味悪ぃんじゃねぇか? っと、そんな事よりさ、小説ってヤツ書いてみたら大変なんだって! 作文だったらさ、経験した事や読んだ本の中身について書いたらいいだけじゃん。でも、小説ってヤツはさ、真っ白な紙に何も無いトコロから物語を引っ張り出してきて、それを文章にしねぇといけねぇの。昨日、安易に考えて夜書いてみたんだけどさ、ああでもない。こうでもない。って頭掻き毟りながら、結局出来たのが、この紙屑の山ってわけ」
「趣味ってなんだよ! なんだかんだ言ったって、この部屋の中に居たら、嫌でも目に入るっての! てか何? お前、小説家にでもなりたいわけ?」
「いや、そういう訳じゃないけどさ。でも、山野のヤツに作文だけじゃなくてよ、こういう事も出来んだぜ。って見せてやりたくてよ」
「現国のセンコーに何自慢したいわけ? ちょっと誉められたからって、調子コイてるだけじゃねぇのか? ……まぁ、俺に言わせたら、文才ってヤツ? そんなのがねぇ限り小説家なんて文字ばかり書いてるヤツにはなれねぇだろうし、現国のセンコーを唸らせる程の物語を書くなんて、夢のまた夢だと俺は思うけどね」
「さっきから黙って聞いてりゃあ、好き勝手言ってくれんじゃねぇか! しかも、俺のベッドに横になったまま漫画読んでるだけのヤツに言われたくねぇよ!」
「だってよ、お前、今日俺がここに来てからずっと机に向かってにらめっこしてたかと思ったら、突然『なぁ、小説書くのって意外と難しいんだな』だぜ。そうも言いたくなって当たり前じゃねぇか?」
「お前なら少し気持ち分かってくれるかと思ったんだよ。まぁ、調子コイてたって言われたら、半分当たりかもしれねぇ。でも、意外と難しいからこそ、一度きっちり書いてみてぇんだよ」
「そんなモンなのか? じゃあよ、ここでダベってねぇで、ちょっと出掛けねぇか?」
「出掛けねぇか? って漫画読みながら言うなよ。まぁ、それはいいとして、何処に行くんだよ」
「目的地なんてねぇ! てか、情報収集ってヤツだ。こんな部屋ん中でいくら頭捻ったって何も出てこねぇって。外に行ってよ、その辺ブラブラしてる方が、何か発見でもあったりしてよ、お前の言う小説? ってヤツの材料になるんじゃねぇの?」
「お! なるほどな! じゃっ、早速行くか!?」
「ちょっ、待ってくれ!」
「何だよ! お前が言い出した事じゃねぇか!」
「後ちょっと待ってくれ。この巻、もう少しで読み終わるからさ」
「ってかお前、何しに俺ん家来たわけ?」
「は? 何って、お前ん家に来る理由なんて一つしかねぇじゃん。暇つぶし、漫画読んで、何の意味もねぇ事ダベりに来てるだけじゃん!」
「お前なぁ! 友達なくすぞ」
「まぁ、そう言わず待ってくれよ。ホント後少しだからさ。その間に机の上の紙屑でも片付けてなよ」
「お前、サイテーだな」
「大丈夫。俺にはお前っていう親友がいるからよ!!」
どうでした?
物語として成立してました?