真の愛と幸せを運んでくれたもの
それから三ヶ月後、私たちは盛大な結婚式を挙げた。
王国中の商人や領主が祝福に駆けつけ、クラウディア領は祝祭ムードに包まれた。一方、フェリックス王子は王子領の経営破綻により、王位継承権を弟に譲ることになったと風の噂で聞いた。
私たちの結婚から一年後、クラウディア領は王国で最も繁栄した領地となり、私とダニエルの経営手法は『クラウディア・メソッド』として各地で採用されるようになった。
新婚生活も順調で、私は毎日が幸せだった。ダニエルは私の能力を理解し、尊重してくれる理想の夫だった。
「エリザベート、今日も一緒に頑張ろう」
「ええ、ダニエル。あなたと一緒なら、どんな挑戦も楽しみです」
私は時々思う。もしあの日、婚約破棄されなかったら、こんなに素晴らしい人生を歩めただろうか、と。
フェリックスとの結婚は、きっと私を不幸にしただろう。彼は私の能力を理解せず、ただの装飾品として扱ったに違いない。
本当の愛とは、お互いの長所を認め合い、一緒に成長していくものなのだと、ダニエルとの生活で学んだ。
私の書斎で、ダニエルが新しい事業計画を練っているのを見て、私は微笑んだ。
「今度は隣国との貿易協定ですか?」
「ああ、君のアイデアを参考にさせてもらったよ。やはり君は天才だ」
「私一人では何もできません。ダニエルがいてくれるから」
私たちは顔を見合わせて笑った。
逆境が私に真の愛と幸せを運んでくれたわけだ。
【完】