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5、執事メイド喫茶

「執事メイド喫茶?」


 渚くんの疑問の声が教室に響く。私もそこを疑問に思う。


「せやせや。執事とメイドの格好してやる喫茶や! 王子はんと姫はんがおったら、わてのクラスの出し物は間違いなく一位や――あてっ!」


 真くんの頭が叩かれる。


「長い!」

「あ、紗夜はーん!」


 真くんの隣には、彼のクラスメイトである紗夜さんがいる。彼女は確か真くんのクラスのクラス委員長だったか。彼女は私たちの顔をぐるりと見回した後、頭を深々と下げた。


「うちの真がご迷惑をおかけしたようで」

「そんな事ないわな、ね、光はん!」

「……」

「え、嘘や! そこ無言なん?! 光はん、どこでそんな高等テクニックを……?!」


 大慌てで紗夜さんに弁解している真くんだったが、彼女は真くんの話を聞かずに、こちらへと顔を向けた。

 

「真から合同で執事メイド喫茶をしませんか? と言うお話は聞きましたか?」

「ああ、今し方聞いたばかりで、まだクラスには確認を取っていなくてね」


 色々喋り出そうとしていた真くんを止めてくれたのが、紗夜さんだったからな。

 

「それは申し訳ございませんでした」


 紗夜さんは真くんの頭を掴んで、頭を下げさせる。真くんは彼女に対して何か言っているようだが……意外と楽しそうだ。

 問題ないか、と判断した私は皆の方へ顔を向ける。

 

「改めて確認するが、合同で執事メイド喫茶はどうだ?」


 そう私が訊ねると、返事をしてくれた。

 

「異議なし」

「面白そ〜じゃん! やろーよ⭐︎」

「ええちゃねぇ」

「面白そうじゃない」


 栞さんも頷いている……いや、一人だけ……。


「合法的に……合法的に……この衣装姿を見られるなんて……!! 最高すぎて鼻血出る……!」


 鼻息荒く、目が爛々と輝いている翡翠さん……まあ、彼女も通常運転か……。見てはいけないようなモノを見た気がした私は、隣の雛乃ちゃんを見る。ああ可愛いいから癒されるなぁ……。

 目の保養に見ていたら、私の視線に気づいた雛乃ちゃんは俯いてから、席に戻っていってしまった。寂しさを感じつつ、私は自分の仕事をしないと、と判断する。

 

「では、先生に許可を得る必要はあるが……我がクラスの出し物は、紗夜さん達クラスと合同で、という事で」

「よっしゃ、やりぃ!」


 真くんの声の後、すぐにスパーンという小気味良い音が耳に入ってきた。紗夜さんが真くんを黙らせたようだ。この二人も仲がいいよなぁ。


「ほな、光はん。一緒に許可取りに行こうや」

「そうだね。頼むよ」


 そう話せば、真くんの隣にいた紗夜さんも頷いている。


「光さんがいれば、真も脱線する事はないでしょう……光さん。何卒、よろしくお願いします」

「紗夜はん?! わての信頼度低い――いてっ」

 

 教室に笑い声が響く。

「笑ってもらってなんぼよ〜!」と胸を張った真くんと共に、私は先生へと許可をとりに向かった。

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