プロローグ
俺はただの高校生。
いや、[ただの]では無いな。
俺は学校に行けてない。所謂不登校だ。
しかし、そんな不登校にもちゃんとした理由が…
無い。
いや、あると言えばあるかな。
それは[ゲーム]だ。
ゲームはこの残酷な現実を忘れさせてくれる。
運動が出来なくても、勉強ができなくても、友達がいなくても、人との会話が苦手でも、
ゲームはそんな事を忘れて、楽しめる。
こんな最高な物を作ってくれた人に感謝だ。
もうこうなったらいっそ、人生が丸々ゲームになってしまえばいいのに。
そんなアホみたいな事を考えながら、風呂にも入らず眠りについた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
朝だ。
俺は朝が嫌いだ。
暑苦しい太陽光、外から聞こえる学生の声。
朝は俺を苦しめるためにあると言っても過言では無い。
しかし、今日はそんな太陽光も、学生の声も聞こえない。
神様が俺に祝福を授けてくれたのだろうか。
そんな馬鹿らしい妄想をしながら、いつも通りゲームを起動する。
俺が好きなゲーム。それは[RPG]だ。
RPGの世界にはAIしか存在しない。
変に喧嘩を売ってきたり、人間同士でのめんどくさい関係がないからだ。
俺は小学生の頃にモンスタークエストというゲームに出会い、皆がオンラインの対戦ゲームをしてるなか、1人だけ狂ったようにずっとそのゲームをしていた。
皆が輪になってオンラインゲームの話をしている中、俺はずっっっと1人でRPGをしていた。
RPGは俺の居場所だった。
俺はそんな思い出の深いRPGを初めてそろそろ8年近く経つ。
そんな8年間、俺は今まで色んなゲームに出会ってきた。そして、色んなゲームをし、色んなゲームに飽きてきた。
しかし、モンスタークエストは8年間ずっと飽きなかった。
そんなモンスタークエストが今日、とうとう100週を突破する。
日本人なら誰しも見たことがあるだろう戦闘画面。
自分のパーティーは全員レベルMAXまで行って、毎回同じやり方でクリアする。
しかし今回は違う。記念すべき100週目だ。
いつもとは違う方法をしよう。
いつもは主人公に対して魔法使いや賢者がバフをかけて、必殺技で倒す。そんなロマン溢れる展開を99回も見てきた。
しかし、俺はそんなやり方に飽き飽きしていた。
だから今回は[チート]を使ってみる。
ゲームを愛するものにとってチートは最低最悪な行為。
しかし記念すべき100回目にはインパクトが欲しかった。
アイテム欄から石ころを取り出し、魔王に投げつける。
石ころは実際1ダメージしか入らない。スライムすら倒せない雑魚アイテムなんだが、チートを使えば、そんな雑魚アイテムで、99999ダメージを出すことが出来る。
俺はチートを使った石ころを魔王に投げつけ、倒した。
魔王は最期のセリフを吐き、消えていく。
それがこのRPGの終わり方だ。
しかし、魔王が中々話出さない。
チートを使ったからゲームの動作が少し落ちてるのだろうか。
そんな事を考えながら、100回目のクリアを目前にドキドキし始める。
とうとう、魔王が話し始めた。
しかし、そのセリフはいつもと違った。
[repeat]
その瞬間、視界が白く染まった。
なんだこれは。
突然の出来事に思考が止まる
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
白く染った視界がどんどん晴れていく。
[え?]
そこには、俺がやってたゲームと同じ、
[最初の村]があった。