第9話「さよなら王都、こんにちは異国!」
「……じゃあ、ついに旅立ちか」
王都の城門前。背中には荷物、手には許可証、そして胸には――紙(?)への情熱。
「これから向かうのは、エルスタン王国。魔物が多くて、人手が足りないらしいな」
「国外ってだけでもドキドキするのに、いきなりハードモードなのでは……?」
「む、無理かもぉぉ~っ!」
「よし、紙の飛行機で送ってやろうかミーナ。飛距離短いけど」
「そういう冗談が怖いんですぅぅ!」
馬車に揺られて数日――。
到着したエルスタン王国は、王都とは違い、どこか荒れた雰囲気だった。城壁は高く、警備兵はピリピリ。魔物の脅威が日常なのが伝わってくる。
「うわ……こっちは空気が重いね」
「けど、だからこそ俺たちの出番ってことだろ!」
その日のうちにギルドへ行き、挨拶がてら自己紹介をすると——
「“紙を硬くするスキル”? 本気で言ってるの?」
「紙の剣で戦うとか、小学生の遊びかよ」
他の冒険者たちは失笑。
が、受付の女性だけは違った。
「……面白い。紙でどこまで通用するか、見せてみなさい」
彼女の名はサリナ。この地のギルドマスター代理であり、かつて“伝説の矢”と呼ばれたアーチャーだった。
「明日の任務、ついてきなさい。異国の現実を教えてあげるわ」
「おお、これがいわゆる“いきなり修羅場”ってやつでは!?」
異国、異文化、異世界。
でもやることは一つ――
「俺たちは戦う! 紙の力でなッ!!」
「やめろその締め! 全部台無しになるからやめろ!」