第5話「仲間と呼べる日」
Eランクに昇格し、浮かれまくるレント。
「ついに来た……紙職人じゃなくて、“紙の英雄”時代が!」
「まだEランクだし、紙で犬倒しただけだし、あと英雄って何?」
「俺の中で革命が起きてるんだよ!」
「知らんがな!」
そんなやりとりをしていると、ギルド掲示板にて、ひときわ真面目そうな少年が依頼とにらめっこしていた。
短髪、鎧姿、手には立派な盾と槍。姿勢はビシッと直立。まさに「真面目」そのもの。
「あ、あれ知ってる。確か……カイル・ヘインズくん。近くの教会の修道騎士見習いよ」
「……あの、失礼。もしかして、貴方たちも依頼を選んでいる方でしょうか?」
「そうだよ! 俺は紙の戦士レント、こっちは剣のツッコミ・リーナ!」
「紹介の仕方おかしいから!」
どうやらカイルも、新米冒険者として初の討伐依頼に挑もうとしていたようだが……
「……正直、一人では不安なのです。あの、もしよろしければ、ご一緒できませんか?」
「もちろん! 一緒に戦おうぜ、硬化紙で!」
「こ、硬化紙……?」
「この紙、硬くなるんだぜ! 槍の代わりにもなるし、剣にも盾にも!」
「それ、武器屋で買えば良いのでは?」
「彼はこう見えて結果出してるのよ……紙で野犬倒してEランクに上がった男よ」
「……理解が追いつきませんが、強いなら問題ありません。ぜひ、ご一緒に」
ということで、3人目の仲間が仮加入!
そして彼らが受けたクエストは、街道を脅かす小鬼の討伐。
「俺が紙で前線守るから、リーナがぶった斬って、カイルが後衛からフォロー!」
「いや普通は盾役がカイルなんじゃ……」
「私は攻撃を引き受けるのが得意です。後衛はむしろ……」
が、戦闘が始まると、意外な連携が生まれた。
レントの紙盾が囮になり、カイルが横から敵を突き、リーナがまとめてぶった斬る!
「こ、これは……戦術として、理にかなっている……!」
「おらおら紙の力ぁぁぁっ!」
「落ち着けレント!」
クエスト終了後、3人は焚き火を囲みながら一息。
「……改めて、ありがとう。今日の戦い、とても参考になりました」
「じゃあさ、また次も一緒にやろうよ! 俺たち、もうチームじゃん?」
「そうね。変なチームだけど、悪くないかも」
「え……私、まだ正式に仲間だなんて……」
「今この火を囲んでる時点で、仲間って感じしない? 紙の力で友情も硬化してんだよ」
「……バカすぎて逆に感動した……」
こうして、レントの仲間が一人、また一人と増えていくのだった。