第4話「硬化紙 VS 野犬軍団」
初めてのクエスト。それは、街の近くの森で暴れている“野犬”たちの討伐。
「いや~緊張するね! これが俺の初バトルだ!」
「初じゃないでしょ、昨日魔物と戦ったじゃん。しかも紙で」
「そっか! じゃあ俺、もうベテランか!」
「お前の脳みそも紙でできてんのか……」
リーナは呆れ顔だったが、ちゃっかり一緒にクエストに同行してくれている。
「ほら、いたわよ。群れで行動してるわね、6匹ってとこかしら」
「よし、見ててくれリーナ! 紙の力、見せてやるぜ!」
レントは紙を取り出すと、シュルシュルと“こより”を作りはじめた。
「え、それで戦うの? 投げ縄?」
「違う! これは《こよりスピア》!」
「技名つけんな!」
こよりを手早く数本作ると、全てにスキルを発動。
「《ハードン!》」
乾いた音と共に、紙のヒモが鉄のような硬度に変わった。
「いっけぇぇぇっ!!」
レントがこよりを高速で投げると、一本が野犬の鼻先に命中!
鋭い音を立てて、野犬が転がる。
「おおおおお!? 倒した!? 紙で!?」
「……あんた、マジで紙で戦ってるんだ……!」
残りの野犬たちが牙をむいて突っ込んでくる。
「リーナ! 俺が盾になる!」
「ちょ、紙盾で!? マジで行く気!?」
レントは丸めた紙束を硬化し、まるで鉄板のような盾を構える。
ドガン!
犬の突進を見事に受け止め、その衝撃で地面にのたうつレント。
「うぉぉぉっ!? 痛ぇぇっ!? けど守れたぁぁっ!」
「ガチで守ってるぅぅ!? なにこの紙野郎……!!」
そして、リーナが続けて大剣を振るい、残りを一掃。見事クエスト成功!
ギルドに戻ると、受付嬢はぽかんとしていた。
「……紙で野犬倒してきたんですか?」
「はいっ! 硬化紙で完封でした!」
「ほんとに紙職人やめていいんですか?」
「え、むしろこれが紙職人の最終進化では?」
「……登録ランク、Eに上げときますね」