第31話(最終話)「紙職人レントの旅、そして――」
魔王との死闘から数週間。世界は、静けさを取り戻していた。
レントたちは王都に招かれ、盛大な凱旋式が行われた。
「英雄たちよ――この国を救ってくれて、ありがとう!」
王がそう宣言すると、広場には歓声が響き渡った。
レントは壇上に立つと、紙で作った王冠を頭に乗せてこう言った。
「えー、紙職人としては誠に光栄でありますが、紙の防御力はそこそこです!」
「何言ってんだ、もう伝説級だぞ!」
リーナが後ろから紙王冠をぶっ叩いて笑う。
「レント……すごく、すごくがんばったよね……!」
ミーナが感極まって号泣。レントの袖で鼻をかむ。
「おい、俺の紙服が溶けるからやめて! 紙は弱いんだから!」
「けど……」
カイルが真顔でつぶやいた。
「紙一枚が世界を救った。そう思うと、すごくないか?」
皆が黙り、そして笑った。
それは、心の底からの笑いだった。
こうして、レントたちの旅は一つの終わりを迎えた――
――が。
レントは、王の前でふと、こう言った。
「ねぇ陛下。……世界って、まだまだ広いですよね?」
「……うむ、もちろんだ」
「じゃあ……次はそっちにも紙を届けに行こうかなって」
そう笑うレントの目は、もう立派な冒険者のものだった。
旅立ちの朝、彼は新しい紙束をリュックに詰める。
その紙は、まだ何にも形を持たない。
けれど――これから彼が、新しい物語を折っていく。
「よし! 行こう、みんな!」
「はいはい、また無計画な旅だねー!」
「次こそ文明あるところ行こうね!?」
「今度は温泉のある街がいいな~!」
いつもの仲間と、いつものバカ騒ぎ。
紙職人レントの旅は、まだまだ続いていく。
⸻
― 完 ―
第1章-完
廃神殿の魔王はカミの封印がまだ解けないんだって
カミの封印が解けないなんて、きっと歴代魔王でも弱い方なんじゃない?
今後戦う事があるかもね




