第3話「冒険者登録と、ギルドと」
次の日。レントはリーナに連れられて、村の外れの街へとやってきた。
人生初の冒険者登録——それは、彼にとって“紙職人脱出計画”の第一歩。
「ここが冒険者ギルドか……なんかゴツい人ばっかり……」
「当たり前でしょ。ここ、魔物狩りで生計立ててる人ばっかだし」
「……俺、紙なんだけど」
「黙ってろ」
ギルドの受付には、やる気ゼロっぽい猫背の女性がいた。
カリカリと書類を書きながら、視線だけをチラリ。
「新規登録ですか~? はい、名前と年齢、それとスキルを書いてくださ~い」
「え、はい……えっと、レント・クラフト。15歳。スキルは……あらゆるものを硬くする、です」
「ふぅん、紙職人?」
「違います、紙の勇者です」
「なんかややこしいですね~」
淡々と処理され、無事に登録証をもらったレント。
「よし! これで晴れて冒険者だ!」
「登録しただけで調子乗るなっての。これからクエスト受けて、結果出さなきゃ意味ないの」
そう、冒険者ランクはFから始まる。実績を積めば上がるけど、最初は「雑草抜き」とか「逃げた猫探し」とか、正直パッとしない依頼ばかり。
だがレントは、ちょっと違った。
「これだあああああああ!」
掲示板を見て、レントが叫んだ。
「え、なに? なに見つけたの?」
「これ! “野犬討伐”! めちゃくちゃ紙剣向きじゃん! 俺、犬倒してレジェンドになる!」
「……まずは普通に猫探してこいバカ」
「でも俺の紙はカッチカチなんだよ!? 絶対いけるって!」
「ほんと紙って怖ぇわ……」
こうして、レントの冒険者としての第一歩が始まった。
紙を武器にし、紙を盾にし、紙で人生を切り拓く。
誰もが“無理”だと思ったその道を、彼はただ一人、バカみたいに突き進んでいく——!




