第22話「ガランティア到着! 商人の町と騒がしい歓迎」
「おおっ、でっかーい!!」
フィーレント王国の首都――ガランティア。
レントたちが初めて訪れた国外の都市は、想像を遥かに超えて賑やかだった。
石畳の道を馬車が行き交い、露店がずらりと並ぶ。異国風の装飾をまとった建物群に、耳慣れない言語も飛び交う。
「ここが“商人の都”かぁ~……」
「ふふん、ガランティアは世界中の商人が集まる交易都市。何でも売ってて、何でも買えるのよ」
案内役を買って出たティナが、鼻を高くして自慢する。
「というわけで、まずは腹ごしらえ!」
「食べ物目的かい!」
ツッコミつつも、全員で屋台通りへ。串焼き、甘い果実酒、焼きたてのパン……異国グルメに舌鼓を打つレントたち。
「む、無理かも……美味しすぎて帰りたくなくなっちゃう……」
ミーナは目をうるうるさせながら、ふわふわのパンを抱えていた。
そんな平和な時間の裏で――
「……あいつが、“紙の勇者”か」
雑踏のなか、黒いローブをまとった男が一人、じっとレントたちを見つめていた。
「まだ未熟だが、力は本物のようだな。封印地に近づかせるわけにはいかん」
ローブの男はゆっくりと姿を消す。
そして夜――
「おかしいな、さっき買った紙袋が……」
レントが荷物の中に妙な紙を見つける。それは、見たこともない――黒い紙だった。
「何これ? 紙って白くないとだめでしょ。紙道を冒涜してる!」
「いや“紙道”って何……」
次の瞬間、黒い紙が淡く光り出し――突如、部屋中に煙とともに魔物が召喚された!
「わあああ!? なんか出たあああああ!!」
「ちょっと! あんたまた紙でなんかやらかしたでしょ!!」
「ちがう! これは俺の紙じゃない!」
混乱のなか、部屋の窓を突き破って入ってきたのは――
「そこまでだ!!」
金の装飾をまとった豪快な男、フィーレント国のギルドマスターだった。
「この町で暴れる奴は、例え魔物でもぶっ飛ばすッ!!」
巨大なハンマーを振り下ろし、魔物ごと床を粉砕。宿屋の女将が叫んだ。
「ぎゃあああ!! 床壊れたぁあああ!! 修理代払ってえええ!!」
「ひっ……!!」
レントの財布が震えた。




