第20話「合同作戦、始動! そしてレント、王と謁見へ!?」
王都近郊の森――その中心で、異常な数の魔物たちが集結していた。
「……まるで、何かに導かれているようだな」
カイルが地図を見ながらつぶやく。森の西側へ、魔物たちは一直線に進行を続けている。
「やっぱりただの自然発生じゃなさそうね」
リーナも警戒を強める。ギルドと王国防衛隊による合同作戦が始まり、レントたちは“遊撃班”として森の前線へと向かっていた。
そして――
「紙の橋、展開完了っ!!」
「え、うそ、空中から襲撃仕掛けてきた!?」
高台から、レントが硬化した紙橋を滑空板のようにして奇襲。森の中に潜む飛行型の魔物を一網打尽に。
「うおおお! 紙ってこんな使い方もできるのかよ!」
「さすが、風に乗る紙技術!」
冒険者たちの間で、“紙使い”レントの名前が次第に広がっていく。
一方、王城では――
「……ほう、面白い少年がいるものだな」
報告書に目を通すのは、王国の若き国王・ディアルト=レグナード。冷静沈着な知性派の王であり、戦場の経験も豊富な実戦派。
「王よ、件の少年、前線にて指揮官の補佐としても役立っております」
「ならば、一度会ってみる価値はあるだろう」
かくして、レントのもとに“謁見”の知らせが届く。
「えっ、王様と……!?」
「どどど、どうしよう、服とか持ってないんだけど!?」
「む、無理かも~~!!」
全員がパニック状態になるなか、リーナが冷静に背中を叩く。
「落ち着け。こういうのは堂々としてりゃいいのよ」
「え、リーナ姉さんなんでもできるの……?」
「ま、私も正装なんて着たことないけどな!」
「だめじゃん!!」
バタバタしつつも、レントたちは王城へ。緊張しながら玉座の間に足を踏み入れるレント。
その時――
「貴様が、“紙使い”か」
重厚な声が響く。玉座に座る王・ディアルトが、鋭い眼差しでレントを見つめていた。
「……紙にしては、随分と強固だと聞いている」
「は、はい! あの、固くできるんです、紙を!」
謎の説明に王が一瞬沈黙するも、ふっと笑みを浮かべる。
「よかろう。――国外への渡航許可を、貴様に与える。条件はただ一つ。“この国の名を汚すな”」
「は、はいっ!!」
こうしてレントたちは、ついに国外への旅立ちの許可を得た。
だがその裏で、何かが目を覚まそうとしていた。
――封印の地で、ゆっくりと、邪悪な気配が渦巻き始めている。
第1部完




