第19話「王都到着! そしてギルドからの緊急指令」
幾多の困難を越え、レントたちはようやく目的地――王都ラグレインの門をくぐった。
「でっか……」
あまりのスケールに、全員が口を開ける。高い城壁、巨大な市場、石畳を行き交う人々、そして中央にそびえ立つ王城。すべてがこれまで訪れた村や街とは比べ物にならなかった。
「ここが王都か……冒険者として、やっとここまで来たんだな」
「感慨に浸るのはいいけど、まずは宿探そ?」
「む、無理かも~……人がいっぱいいて、迷子になる気しかしない……」
人ごみにビビるミーナをなだめつつ、まずは冒険者ギルドを訪れることにした一行。だが、ギルドに入った瞬間――空気がピリついていた。
「おい、あんたら新人か?」
カウンターの受付嬢が鋭い目で彼らを見つめる。
「ラグレイン支部へようこそ。……だが、ゆっくりしている暇はない。すぐにでも人手が必要なんだ」
「え、いきなり?」
話を聞くと、どうやら王都近郊の森に“高レベルの魔物が集結している”という異常事態が起きているらしい。
「魔物たちは、なぜか西の方角を目指して移動している。だが、原因は不明。被害が拡大する前に討伐する必要がある」
リーナが眉をひそめる。
「西……って、あれじゃない? この国の外に通じる境界地帯じゃ?」
「そう。あそこを越えられたら、近隣の国に被害が及ぶ。だからこそ、急ぎ封じ込める必要があるの」
カイルが腕を組み、真剣な表情を見せる。
「今までの依頼とは違う……これは、国家規模の問題だな」
そんな中、レントはギルドの掲示板にふと目を留める。一枚の依頼書――それは“国王からの特別依頼”として貼られていた。
『王都防衛隊との合同作戦に参加せよ。希望者は指名制にて選出。評価に応じて面談の可能性あり』
「こ、これって……」
受付嬢が頷く。
「君たちはテルミナ村の件で名前が上がってる。紙のスキルを使った戦術支援、魔物撃退。噂じゃただの変わり種だと思われてたけど、今は違う。……王に会うチャンスを得るのも、そう遠くないわよ」
「ま、まじかー……!?」
「ついに王に……いや、まずは風呂に入りたい……」
「それは激しく同意……」
こうしてレントたちは、王都で新たな脅威と向き合うことになる。魔物の異常な動きの裏にあるものとは? そして、紙のスキルは再び活躍できるのか?