第13話「異国の暗躍、魔王復活の兆し」
破壊者を倒したレントたちは、村を守ったことで一躍英雄となった。しかし、村の人々が落ち着いた後、彼らにさらなる衝撃的な事実が告げられることとなった。
「ありがとう、君たちのおかげで村は助かった。でも……」
村長の表情は沈んでいた。その目には、深い不安の色が浮かんでいる。
「どうしたんですか?」
「実は、あの魔物……破壊者が現れる前から、奇妙な現象が続いているんだ。異国の山脈の奥で、何かが動き出しているようで……魔物だけではなく、魔力の乱れも感じる」
「魔力の乱れ?」
レントは眉をひそめ、村長の言葉を考え込む。魔物が現れるだけでなく、魔力そのものに異常が起きているというのは、異常事態の証拠だった。
「魔王の復活……?」
「その可能性もある。何かがこの地に封じ込められている。しかし、それが何かはまだ分からない」
「それなら、俺たちが調査に行こう!」
レントの決意を聞いたリーナとカイルも即座に賛同した。ミーナは不安げな表情を浮かべていたが、仲間のために力を貸す覚悟を決めた。
「怖いけど、みんなが無事なら……頑張ります!」
その後、レントたちは村長の指示を受け、魔物が現れた場所を含む山脈の奥深くへと進んでいった。道中、異国の自然は美しいものの、どこか陰鬱な空気が漂っていた。木々の間からは異様な視線を感じるような気がして、レントは一層警戒を強める。
「ここまで来ると、あまりの静けさに逆に不安になるな」
「確かに。こんなに静かな場所は怖い……」
リーナが少し身構えながら言うと、カイルが冷静に頷く。
「だが、油断は禁物だ。どんな魔物が潜んでいるか分からない」
その時、突然、森の中から奇妙な音が響き渡る。それは、風を切るような音ではなく、何かが這いずり回る音だった。
「何だ……?」
レントたちは即座に周囲を警戒する。音は徐々に近づいてきて、ついに木々の間から現れたのは、異形の魔物だった。顔が不明瞭で、体は何十本もの細長い足で支えられており、身の毛もよだつような外見をしている。
「気を付けろ! こいつは『不死の歪み』だ! 死んでもなお、何度でも蘇る!」
「不死の歪み……?」
レントはその異形の魔物に対し、思わず後退した。最初に出てきた魔物のように、一度倒しても意味がないのかもしれないと感じたからだ。
「そんな……どうすれば倒せるんだ?」
「魔物にはいくつかの種類があり、こいつのような不死系の魔物は特定の条件を満たさないと倒せない。おそらく、こいつの弱点を突くか、体の一部を完全に破壊しない限りは倒せないだろう」
「なら、何か方法を探すしかない……!」
レントは再び「紙の盾」を作り、ミーナに回復魔法を頼む。リーナが攻撃を仕掛け、カイルがその隙に魔物の足を狙う。
「こいつの動きを止めることができれば、倒すチャンスが来るはずだ!」
リーナの剣が不死の歪みの触手を切り裂くが、その傷口がすぐに回復してしまう。
「くそっ、どれだけ切っても無駄か!」
「このままだと……!」
レントは思わず頭を抱える。しかし、その時、あることを思いついた。
「そうだ、こいつの体を固めれば……!」
「何をするつもりだ?」
「紙の硬化を使う! こいつの触手を固めて、動きを封じる!」
レントは全身の力を込め、紙を広げて硬化させる。そして、次々と触手に紙を絡ませていく。
「これで……!」
触手が固まり、魔物は動けなくなった。その隙を突いて、リーナとカイルが集中攻撃を仕掛け、ついに不死の歪みを倒すことに成功する。
「倒した……?」
「倒した。だが、これで終わりじゃないかもしれない」
その時、背後から再び奇妙な気配が近づいてきた。レントたちはその気配に身構えながら、次なる戦いに備えた。