第12話「異国の闇、迫る魔物の影」
巨人族を倒し、村の依頼を無事に果たしたレントたちは、再びギルドへと帰還し、その実力を示すことができた。しかし、サリナからの次なる依頼は、さらに険しい試練が待ち受けていた。
「次の依頼は、異国からの危険な魔物を倒すことだ。異国の闇に潜む魔物たちは、ただの魔物ではない。強大で、いわゆる「魔王の軍団」に関わるような存在だ」
「魔王の軍団……?」
「そう、少なくとも異国の一部では、魔王が復活を狙っていると言われている。魔王復活の兆しを止めなければ、この世界全体が危機に陥る可能性がある」
レントたちはその言葉に驚くと同時に、心の中で決意を固めた。もし本当に魔王が復活しようとしているなら、今のうちに力を尽くして戦わなければならない。
「その魔物、どこにいるんだ?」
「この地から少し離れた山脈の向こう、異国の国境近くの村に現れるという情報がある。すぐに準備して出発してくれ」
レントたちは再び、異国へ向けて旅立った。途中、険しい山道や密林を越え、ついに異国の村に到着する。
「ここが異国か……。雰囲気が、ちょっと違うな」
「なんだか、空気が重い感じだ。どこか不安定な感じがする」
村の人々は、不安げにレントたちを見つめていた。魔物の襲撃の兆しを感じているようだが、誰も声を上げることなく、静まり返っている。
「何か変だ……」
突然、地面が揺れ、遠くから不気味な唸り声が聞こえてきた。その声は徐々に近づいてきて、村人たちは恐怖に震えながら家の中に駆け込む。
「来るぞ……!」
その瞬間、大地を揺るがすような足音が聞こえ、巨大な魔物が姿を現す。それは、レントたちが今まで見たことのない、異形の姿をしていた。
「何だ……あれは?」
巨大な魔物の姿は、まるで骨と皮でできた不死の巨人のようで、目からは赤い光が灯っている。背中には複数の翼を持ち、手には巨大な斧を握りしめている。
「異国の魔物……伝説の『破壊者』だ。あれは、魔王の軍団に従う存在の一部だ」
「そんなものが……」
レントたちは即座に戦闘態勢を取る。リーナが大剣を握り、カイルが槍を構え、ミーナは回復魔法を準備する。
「まずは、レントが紙の盾を作って足止めをする! それに合わせて、俺たちが攻撃だ!」
「了解!」
レントは急いで紙を広げ、硬化させて大盾を作る。
「紙、硬化!」
大盾が完全に固まると、破壊者はそれに向かって一撃を振るった。紙の盾が魔物の斧に叩き潰されるが、レントはすぐに次の盾を作り直す。
「くっ、強い!」
「レント、少し離れろ! 俺が前に出る!」
リーナが飛び込んでいき、巨人の腕を狙って斧を振り下ろす。だが、破壊者はそれを軽く払い、リーナを吹き飛ばす。
「リーナ!!」
「大丈夫だ、少し休ませて!」
カイルが槍で魔物の足元を狙い、ミーナは回復魔法をかける。だが、破壊者の力は桁違いで、レントたちの攻撃はなかなか効果を上げない。
「これでは……!」
「待て、まだだ!」
その時、レントはふと思いつく。紙を使ってもっと大きな防御を作り、同時に攻撃を集中させる方法があるはずだと。
「紙、全開放!!」
レントはこれまでにない量の紙を使い、巨大な壁を作り上げる。その隙に、リーナとカイルが連携して攻撃を仕掛け、ミーナが回復をし続ける。
「今だ! 紙の剣!!」
レントはその隙を突き、全力で紙の剣を振り下ろす。それが破壊者の肩に命中し、ついに魔物が膝をつく。
「倒した!!」
「よし、まだだ! 突破するぞ!」
レントたちは最後の一撃を決め、ついに破壊者を倒すことに成功する。
村人たちが歓声を上げる中、レントは心の中で誓った。
「これで、魔王復活の兆しを食い止めた。でも、まだまだ強くならないと、次に来る魔物には勝てない」