第10話「魔物の村襲撃! 紙防衛線を突破せよ!」
エルスタン王国に到着して数日、レントたちはすでにギルドの依頼をいくつかこなし、少しずつ現地の感覚を掴んできた。
そんな中、ギルドマスター代理サリナから、緊急の依頼が舞い込む。
「魔物の群れが村を襲っている。現場へ急行して、村人を守りなさい」
「魔物の群れって……どれくらいの規模ですか?」
「村は小さく、数百人程度しかいない。だが、魔物の数は数十匹、しかも獰猛な種類よ」
「数十……?」
レントたちは、急いで現場へ向かう。車の揺れに身を任せながら、心の中で無駄な心配をする時間もない。
到着した先は、荒れた村。木造の家々がすでに燃えており、数匹の魔物が村人を追い回していた。
「これが魔物か……」
「獰猛だな。これなら、俺たちで戦わなきゃだな」
「でも、どうやって倒すんだよ、あんなの。紙の盾じゃ……」
そんなとき、サリナが冷静に指示を出す。
「まずは周囲を確認。攻撃できる場所を探して紙で防御壁を作って。リーナ、カイル、ミーナ、周囲を囲って!」
レントは言われた通り、紙の盾をいくつも作り、魔物たちの進行を食い止める。
「紙で止める! その隙に、みんなで反撃!」
次々と作り出される紙の壁は、魔物の猛攻を耐えしのぐ。
「行け! 紙の剣!!」
レントは紙の剣を硬化させ、目の前の魔物へと突進する。次々と魔物を切り倒す。
「わあああ! 紙、すげぇぇぇ!!」
「紙を馬鹿にしてた奴ら、見てろよ!!」
その瞬間、1匹の巨大な魔物が現れた。
「え、あれ……やべぇ!?」
「それ、なんだ?」
巨大な魔物――シャドウベア。恐ろしい大きさのクマのような魔物で、手に持った棘付きの巨大な槍を振り回している。
「なっ!? あんなのどうやって……!」
「レント、引き離せ! お前の硬化した紙なら、あの槍も受け止められるだろ!」
「わ、わかってる!」
レントは紙の壁を立て、シャドウベアの槍を受け止める。
「紙、硬化しろぉぉぉ!!」
全身の力を込めて作り出した紙の盾が、シャドウベアの槍を受け止める。その隙に、リーナが大剣で反撃。
「やるぞ、紙の盾を支えて!」
「分かった! 反撃のチャンスだ!」
カイルが槍で攻撃を防ぎ、ミーナがヒールで支援。全員で協力し、遂にシャドウベアを討伐する。
「うおおおおおおおお!!」
「倒した! やった、倒したぞ!!」
村の人々は歓声を上げ、レントたちに感謝の言葉をかける。
「お前たち、素晴らしい。紙を使った戦いなんて、こんなに強いとは思わなかった」
「これが紙の力だ!」
レントは満面の笑みを浮かべながら言ったが、心の中ではまだまだ足りないと思っていた。
「もっと強くなる。もっと紙の力を使いこなさないと……!」